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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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340/678

340:匂いを探ろう。

「あー、ビックリしたぁ……」

 元の形に戻って動かせるようになった手を、ぐーぱーしながら呟くお姉ちゃん。

「お姉ちゃんからは見えてないけど、頭も思いっきり変形してたもんね」

「うへー…… あっ、大丈夫だよシルクちゃん。ほらほら、なんともないよー」

 ごめんなさい……って顔になってるシルクを見て、お姉ちゃんが慌てて無事を伝える。
 まぁ確かに少し不注意だったかもしれないけど、私も忘れてたしなぁ。

 どうせ【妖精】と同じで、本人から見たサイズでの謎法則が働いてるんだろうな。
 見ては無いけどシルクが普段通りに動いてたとしたら、お姉ちゃんからすれば足場と壁が一瞬で時速六十キロ以上で動き出した様なものだろう。


「シルク、大丈夫だったみたいだから、次からは気を付けてゆっくり動き始めようね」

 しょんぼりと頷くシルク。
 うん。知ってさえいれば、シルクの繊細さなら問題なく移動してくれるだろう。

 お、すっごい慎重に加速し始めた。
 流石にそこまでゆっくりじゃなくても良いだろうけど、その辺は乗ってる方と運ぶ方、双方の慣れかな?
 いや、そもそも慣れるくらい使うのかって話ではあるけど。


「いやー、自分も似たような目に遭ってるのにうっかりしてたよ」

 シルクの移動に同期して私も動きながら、カップの端の方に座っているお姉ちゃんに声をかける。

「え? 雪ちゃんも?」

「いやいや、やったのお姉ちゃんだからね? 私を手に乗っけて立ち上がった時のアレだよ」

「あっ」

 やった事を忘れてたわけじゃないだろうけど、関連付けて思い出しはしなかったらしいな。


「うぅ、同じ立場になってみるとどれだけ酷い事しちゃってたかがよく解る……」

 まぁ痛くないからまだマシだとは思うけどね。
 あぁ、でも私より更に小さいから人間相手だとその差が相殺されるかな。

 ていうかさっき腕めちゃくちゃになってたけど、あれって一割でも相当痛いと思うんだけど。
 あれはそういう体質になるから痛みが発生しないって事かな?
 限界が来て初めて痛くなるとか。

 まぁ良いや。痛くないならその方が良いだろうし。


「多分テーブルに着いて人間に囲まれたら、私が最初怯えまくってたのも理解できると思うよ」

「うぅ、脅かさないでよぅ」

「いや、心の準備をしといた方が良いよって事。みんなでっかいからね」

 まぁ足下じゃないだけまだマシかもしれないけど。

「み、見ておきたいけど今端っこに行くのは怖い……」

 立ち上がろうとしてふらついて、あわわと座り直すお姉ちゃん。
 危ないから大人しく座ってなさい。


「あ、そうだ。多分みんなの声がかなり大きく聞こえると思うから、耳が痛くなるかもしれないのは覚悟しておいて」

「うん、さっきアヤメちゃんの声が聞こえてたから、そこは大丈夫。雪ちゃんの声もおっきいって事は、私は大声出した方が良いのかな?」

「あー、そうだね。二重に強化されてるアヤメさんや高性能すぎるコレットさん達はともかく、アリア様には聞き取りづらいかもしれない」

 アリア様が【聴力強化】を習得して、まだそんなに経ってないし。


 おや、シルクの後ろについてきてたカトリーヌさんがキョロキョロしながらカップに寄って来た。
 なんか「あれー?」って顔してるけど、どうしたんだろう。

「どうしたの? なんか気になってるみたいだけど」

「いえ、何やら良い香りが漂っていまして。どこから出ているものかと辿って来たのです」

「んー、そう?」

 少し気にしてみるけど、特にそういう匂いは判らないな。

「はい、確かに。……あぁ、なるほど」

 更に近づいてきて、何かに納得がいったらしいカトリーヌさん。


「白雪さんの位置では判らないのも無理はないですね。この香り、おそらくミヤコさんから発せられていますよ」

「へ? 私から?」

「えぇ。近寄るにつれて強く感じられたものが、こちらに回り込むと殆ど判らなくなりました」

 あぁ、私は進行方向に居るから風上になってるのか。
 でも何でお姉ちゃんから?
 さっき持ってた時は特にそんな事無かったけどなぁ。


「うーん、自分じゃ判らないなぁ……」

 自分の手や腕をクンクン嗅いでみるお姉ちゃん。
 試しに私もシルクの横に回ってみよう。

 ……んー?
 あぁ、確かに何か…… うん、ほんとだ。

「はいちょっと失礼」

 横からカップに手をかけ、顔を近づけてみる。
 おぉ、ほんとだ。ここまで近づくとハッキリ判る。

 これイチゴかな?
 お姉ちゃんの魔力ってイチゴ味だし、それと関係してるのかな。


「んー、やっぱわかんないや。雪ちゃん、ちょっと嗅いでみてくれる?」

 お姉ちゃんが座ったまま両手をこちらに向けて掲げてきた。
 まぁうん、気にはなるから良いけどさ。

「んー、うん。これお姉ちゃんだねぇ。さっきは何も無かったのになぁ」

「私なのかー…… なんでだろね?」

 えーって顔になるお姉ちゃん。
 まぁ自分が匂うって言われたら気になるよね。
 ……ん?


「お姉ちゃん、ちょっと左手下ろしてみて?」

「え? うん」

「で、今度は右手と入れ替えて」

「はい」

 んー、やっぱりさっき潰れた側の手の方が強く感じる。


「どうしたの?」

「ちょっと立ってみて?」

「むぅ、答えてくれない。良いけどさー」

 ぶーたれながらそろそろと立ち上がるお姉ちゃん。
 大丈夫、これ終わったらちゃんと言うよ。


 立ち上がったお姉ちゃんに手を伸ばし、両肩を軽く掴んで顔を近づけ、さっき潰れた頭を嗅いでみる。
 ……うん、やっぱり。

「ごめん、ありがと。座っていいよー」

「えっと、何だったの? ちょっと恥ずかしいんだけど」

「どうもさっき潰れた所から匂いが出てるみたいなんだよ。お姉ちゃんの魔力と同じ、イチゴっぽい良い匂いがふわふわしてる」

「えー…… そっか、こっちの手は無事だったから差があったのかぁ」

「あ、でもだんだん薄くなってきてるっぽいし、出てるって言うか潰れた時に出て残ってるって感じなのかも」

「どっちにしろ、よく解んないなぁ……」

「だねぇ。あ、そろそろ着くよ」

「あ、ほんと? って私そんな遠くまで離れてたっけ」

「いや、普通に飛べばすぐなんだけどシルクが慎重に移動してくれてるからね」

「おおう、申し訳ない」

 シルクがふるふる首を振る。
 まぁ実際、問題になるのは加減速なんだからずっとゆっくりじゃなくても良かったんだしね。

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