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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
33/612

33:中断しよう。

 反対側に着いては結晶を量産することを繰り返す。
 他の事もやってみようかと思ったけど、余剰分を結晶にしておけば後で訓練に集中できるから貯蔵を優先することにした。

 黙々と吸い続けていたらメッセージの届く音がした。お姉ちゃんからだ。

『町に戻ってきたよ。今どこかな?』

 昨日と全く同じメッセージだ。コピペか?
 うわ、もう十九時だよ。二時間以上やってたのか。


 噴水広場で合流して、屋台で何か食べようと返信しておいた。
 それじゃ切り上げて戻るとしよう。

 裏門は閉まってるし、通り抜けたらジョージさんに警告されそうなので大人しく来た道を戻……れない。ドアが閉まってた。
 むぅ、仕方ない。怒られたら素直に謝ろう。流石にいきなり攻撃はされないよね?

 裏門へ向かって飛んで行き上を通り抜けようとした瞬間、見えない壁にぶつかった。うん、多分ぶつかったんだと思う。
 一瞬で痛みも感じる暇が無かったけど、顔がひしゃげるような感覚があったし。
 なにより今、噴水広場に居るしね。


 結界か何かが張ってあったんだろうか?
 まぁ柔らかく受け止めてくれるような優しい壁は張らないよね。

 あれ、見られてたらかなり恥ずかしいなぁ。
 あっ、一応ライサさんに中断の報告しに行かないと。黙って消えるのもよろしくないだろう。


「何をやってんだよお前は……」

 役場に入った瞬間、呆れ顔のジョージさんに声をかけられた。見られてた!?

「えっと、見てました?」

「最後だけな。結界に何かがぶつかったから確認しに行ったら、お前さんが消えていく所だったよ」

 うあー。


「呼びゃあドアくらい開けてやるのによ」

 その手があった。

「突っ込んだ理由もお見通しですか……」

「やっぱりか。言っとくが俺が声かけた後に閉めた訳じゃねぇぞ? 最初から閉まって……」

 ジョージさんが突然言葉を切って、ニヤリとした笑顔になった。
 これは悪戯を思いついたって顔だ。凄い嫌な予感がするぞ。


「おーい、ライサー! お前がドア閉めて帰ったせいで嬢ちゃんが死んだらしいぞー!?」

 ちょっ!? 何を言い出すんだ!?そんな事言ったらまた……

 うわぁ!突いた手を支点にした前転でカウンター飛び越えてダッシュでこっち来た! なんだあの動き!?

「申し訳ございませんでしたぁーっ!!」

 ライサさんが見事なスライディング土下座を披露する。

 やめて!皆こっち見ないで!!
 ジョージさんは腹抱えて笑ってんじゃないよ!!
 くそぅ、仕事を増やされた仕返しか。覚えてろ。


 必死に説得するも頭を上げてくれない。ここで水をぶちまけるわけにもいかないぞ。
 っていうかそろそろお姉ちゃん達も広場に来る頃だろう。
 こうなったら最終手段。

「私は大丈夫ですからーっ! 気にしないでくださーい!! また来まーーす!!!」

 逃げるが勝ちだ。問題の先送りとも言う。
 土下座するライサさんと笑い転げるジョージさんを残し全力で飛び去った。




 ふー、やれやれ。
 明日顔を出すのが気まずいけどしょうがない。あ、お姉ちゃん達居た。
 なんか三人でパネル見ててこっちに気づいてないな。

「おかえりー。待たせちゃったかな。 何見てるの?」

「あ、雪ちゃんだ。ただいまー」

「戻りました」

「あー、ただいま。なぁ、一体何をやらかしたんだ?」

「え?」

「いや、暇つぶしに掲示板の雑談スレ開いてみたんだよ。
 そしたらなんか今しがた「妖精さん」が役場で土下座されて逃げ出したって話が書き込まれててさ」

 なっ!?


「これ白雪だろ?」

「あー…… うん。いくら言っても立ってくれないし時間も無いから諦めて逃げてきた」

 そういえばシステムのとこに掲示板とかあったな。
 忘れてて覗いてすらいないや。

「何があったら土下座されるような事態になるんだよ……」

「あれ今日三回目の土下座なんだよね…… 一回目は別の人だけど」

「濃すぎる一日を過ごしてるなぁ」


「何があったって?」

「なんか今日一日で三回も土下座されてるらしい」

「なんで!?」

「いや知らんけど」


「えーと、端的に言うと殺されて、翅もがれて、退路を断たれて死ぬ羽目になったかな」

「町の中で酷い目に遭い過ぎだろ。 殺されて一回、翅をもがれて一回、死ぬ原因を作られて一回だとさ」

「そんな、雪ちゃんを殺すだなんて! 誰にやられたの!?」

 お姉ちゃん、言えた立場じゃないぞ。

「お前が言うな。まぁ私も気になるな、誰なんだ?」

「王女様」

「はっ!?」

「王女様」


「あー…… 喜べミヤコ、犯人が解ったぞ」

「誰なの!? やっつけてやるんだから!」

「頑張れ。王女様だそうだ」

「えっ。 えっ?  えー……?」

「どうした、ほれ行ってこい。役場の二階に住んでる筈だぞ」

「無理だよぅ……」

 お姉ちゃんがしょぼくれた。まぁそりゃ無理だよね。


「というか、王女様に土下座されたのですか…… 凄い体験ですね」

「そうか、ちゃんと謝って貰えたんだよね。とっちめなくていいんだ」

「日和ったな」

「うるさいよぅ」


「ちなみに後の二回は最初に役場行った時の受付のお姉さんだね。こっちも両方事故みたいなものだから怒るような事じゃないよ」

「あの人か。ってかなんでそんな役場に入り浸ってるんだ? それよりもなんで二日目で王女様に会うような事になってるんだよ」

「図書室で本読んだり、中庭で登録してないスキルの練習したりしてた。今日は殆ど役場に居たよ。
 王女様はなんか色々あって役場に蜜を納品することになって、その話を詰めるからって呼ばれた」

「へぇ、役場の中庭ってスキル使用可能区域なんだ。知らなかった。
 でもなんでその流れで死んだんだ?」

「最初のお姉ちゃんと同じ感じ。飛び付きで胸に叩きつけられて、多分その後に抱きしめられたと思う」

「あー。そりゃますますミヤコには責められんわ」

 お姉ちゃんの「え、何で?」という問いにアヤメさんが一通り説明した。
 「ミヤコも同じ様な事やったじゃん」って言われてしょんぼりしてる。


「そろそろご飯食べに行こうか。お腹空いちゃったよ」

「そうですね。何にしましょう?」

「行ってから決めればいいんじゃないか?」

 私は分けて貰うだけだからなー。
 外であった事などを聞きながら中央広場へと向かった。

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