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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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328/678

328:処刑してしまおう。

 ぺかーっと光って道を照らしながら家に帰ると、なんだか妙に園内に人が多い気がする。
 何かあったのかな?

「お帰りなさいませ、白雪様、カトリーヌ様」

「あ、モニカさんただいまー。なんか人が多いけど、何か起きたの?」

「いえ、特には」

「ふーん? まぁ何もないなら良いか」

 園内は大体把握してそうなモニカさんに聞いてみるも特に何も無いそうなので、とりあえず気にせず開かれた門を通って家に向かおう。


「ぬわーっ!!」

「……まだ何もしていませんよ?」

 ……突然の悲鳴に振り返ってみれば、いつもの犬さんがモニカさんの肩に担がれてる。
 いや本当(ほんっと)に懲りないな、あの人。
 何なの、カトリーヌさんの同類なの?
 あ、散らばってた人たちが門の周りに集まってきた。

「お、やっぱり行ったんだな」

「モニカちゃん、やれやれー!」

「今日は何が出るかな?」

 ……あー、うん。
 モニカさんによる処刑が一種のショーみたいな扱いになってるのね。
 いやそれ普通に考えたら相当趣味悪いぞ。
 ここだといくら殺されても死に戻りするだけだから、まだマシだけどさ。


「あだっ! うおぉ、ケツがぁ……」

「特に希望は無いですね? 有ったとしても聞く気は有りませんが」

 ドスッと肩から降ろして表の地面に座らせ、正面から両肩を掴んで話しかけるモニカさん。

「許して?」

 首をかしげて許しを請う犬さん。
 この人、普通にしてれば顔は良いのになぁ……

「可愛くないので却下です」

「ですよね」

 判ってるのに何でやったんだ、犬さん。
 あ、なんか頭から皮袋を被せられた。
 で、首のところで締まらない程度にきゅっと縛って、両手も細めの縄で後ろ手に縛った後にその上から胴体ごとグルグルと三周ほどきつく縛られてる。
 今日はわざわざ準備するんだな。

 ていうかあれらはどこに持ってたんだ。
 いや、まぁモニカさんだし不思議でも無いか。
 普通に考えれば【空間魔法】か【アイテムボックス】持ちなんだろうけど、この人達の場合なんか別の謎技能の可能性が捨てきれないからな……
 いや、多分無いけど。



「さて、お覚悟はよろしいですね?」

「よろしくないです」

 皮袋の中からくぐもった声が。

「ふぐっ」

 あ、胸に前蹴り食らって仰向けにされた。
 問いはしたけど、別に返事を聞く気は無いんだな。
 いや、「はい」って言ってたら普通に寝かせてもらえたかもしれないけどさ。


「皆様、少々後ろにお下がりください」

「はーい」

 モニカさんに言われて、素直にスペースを空ける観客たち。

「もう少し…… はい、そのくらいで大丈夫です」

「雪ちゃん、あれ放っといて良いの?」

「いやー、あれ本人も解ってやってるだろうしなぁ。昨日もお姉ちゃん達が奥に行ったすぐ後で捕まって処刑されてたし、これで三日連続だよ?」

「……それは殺されても文句言えないな」

 そういえば今日は犬さんのパーティーメンバー居ないな。
 いい加減、自分たちもモニカさんに目を付けられてしまいそうだからかな?
 止めさせれば良いのに……と思ったけど、単に諦められたんだな。
 初日は止めてたのに次の日にはもう呆れてたし。

 ……普通に衛兵に引き渡されて収監とかされちゃったらどうするんだろう。
 まぁうん、それこそ自業自得か。



「さて、危険ですのでそれ以上近寄らない様に。あ、そちらは空けておいてもらえますか?」

 犬さんの足の近くでしゃがみながら庭園の入り口に続くまっすぐな道を指さし、退いてくれと指示するモニカさん。
 あ、足を持ち上げてから足首のあたりを胴体と二の腕で挟んで、膝裏の近くを手で掴んだ。
 反対も同じようにして立ち上がって、犬さんを半ば逆さ吊りにしてしまう。

 なんか袋の中から「いででで」って悲鳴が聞こえる。
 まぁモニカさんの握力で思いっきり関節の近くを掴んでるからなぁ。
 そりゃ痛いわ。


「……ふっ!」

 うわ、掛け声と共にモニカさんがその場で回転し始めた。
 となると、当然足を固定されてる犬さんもその動きに引きずられるわけで。
 初めは地面に擦り気味だった犬さんの胴体が浮き上がり始め、どんどん水平に近くなっていく。

 いやいや、水平になってからもどんどん加速してるけど、あれとんでもない遠心力がかかってるんじゃない?
 途中からくぐもった悲鳴も聞こえなくなったし、その時点で意識は飛んだんだろうな。
 ていうかわざわざ袋被せたって事は、あれ中で色々飛び出ちゃってるんじゃないか……?


「はぁっ!」

 うおわっ!?
 モニカさんの掛け声の直後にとてつもない衝撃音が響いて、何かが庭園の門への道を吹っ飛んで行ったけど……
 ……うげ、地面に横になったモニカさんの手に、犬さんの膝から下が千切れて残ってる。

 てことは今飛んで行ったの、犬さんの膝から上か。
 ……飛んで行ったの、一つには見えなかったし原型は留めてないだろうけど。


「うっわ……」

「こりゃまた派手にやったな……」

 モニカさんが自分の体をひねる事で無理矢理に回転方向を九十度捻じ曲げて、回っていた勢いをそのまま地面に叩きつける力に変えたのか。
 起き上がっているモニカさんの横に、叩きつけた時の衝撃でへこんだ地面とそこを中心に放射状に広がる血痕。
 ……おお、見事に見物人の足元の手前で止まってる。
 変な所で無駄に凄まじい技術を見せるな、この人……



「さて」

 抱えていた犬さんの脚をポイッと投げ捨て、パンパンと砂を払うモニカさん。
 ……あれ? 脚、消えないな。
 めーちゃんの指みたいに、モニカさんが獲得した扱いにでもなってるのかな……?

 ん? なんかギャラリーの方からガシャガシャ聞こえる。

「おーう、思ってたより凄い事になってるけどお掃除すっぞー」

「おー」

 ……いや、準備良いなこの人達。
 スコップに猫車に……土嚢? あぁ、血の染みた土と入れ替えるための綺麗な土か。
 一体何を想定してるんだよ。

 なんだろう、残る血と残らない血が有るみたいだけど、条件がよく解らないな。
 ……まぁ別になんでも良いか。
 家にカトリーヌさんの血が染みついたとしても、シルクがなんとかしてくれるだろうし。
 まぁカトリーヌさんを引っ捕まえてなんとかさせるかもしれないけど……
 いや、それは無いか。
 カトリーヌさんに色々やるのは本人の希望だからやってるだけで、自分より立場を下に置いてるわけでは無いだろうしな。

 ……いや、どうだろう。
 カトリーヌさんがやらされることを望んでれば引っ捕まえるかもしれないか。
 まぁそれこそどうでも良いな。
 そうなる時が有れば判る事だし。


「ここは俺たちがやっとくよ」

「要らんところに手は出さないから安心してくれ」

「はい、助かります。では白雪様、お待たせしました。参りましょう」

「あー、うん」

 別段何事も無かったかの様な顔で門を閉めるモニカさん。
 まぁ待たされたっていうかこっちが勝手に待ってただけだけどさ。

 あ、脚が土と一緒に猫車に捨てられた。
 ……あれ、町の外にでも埋められるのかな?
 途中で衛兵さんに尋問されそうだけど大丈夫なのかな。

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