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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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324/729

324:飛び乗られよう。

「いやー、これなら仲間に美味いメシが作ってやれるってもんっすわー。助かります」

 上機嫌で籠から鞄へ野菜を移していくロクさん。
 やっぱり料理当番なんだな。
 ……おー、あの量が全部入った。

「うふふ、良いのよぉ。たくさん有るから、いつでも取りにいらっしゃい」

「良いんすか? うーん、それじゃこっちも色々面白そうな物を仕入れて持ってきますよ。ただ貰うのも悪いし、お金で払っても使えないだろうし」

「あらあら、気を遣わせちゃってごめんなさいね? お金もランディたちに渡せば使えるけど、あの子たちにあんまりワガママ言っちゃうのも悪いものねぇ」

「あぁ、そういえば警備の人が居たっすね」

「うふふ。ランディあたりに聞かれたら、やれやれって顔で『好き放題言っているではありませんか』って言われちゃいそうだけれどね?」

 なんかすっかり仲良しな感じになってる。
 まぁジェイさんも、基本的には良い人だもんね。基本的には。
 ちょっと色々おかしかったりするだけで。

 ……ロクさんが妙な変身を遂げない事を祈っておこう。



 おや、メッセージ着信のポーンという音が頭に。
 お姉ちゃんかな? いや、エリちゃんだ。

『まだしばらく帰ってこない感じかな? 美味しいご飯が待ってますよー』

 ……これ、料理を作ってあるんじゃなくて自分の事だよね。
 そういえば戻って来るのを待ってるとも取れる言い方で別れてたんだっけ?
 一応カトリーヌさんとレティさんにも見せておくか。

 すごい普通に過ごしてたから忘れかけてたけど、あの人って【妖精】(わたしたち)に食べられたくてうちに居るんだよね……
 ま、まぁ一応『もうすぐ帰ります』って返事しておこうか。
 突然来たにしては結構長居しちゃってるしね。


「ジェイさん、私たちはそろそろお暇させていただきますね」

 私が送信ボタンをポンッと押したのを見たレティさんが、代わりに言ってくれた。
 私が言ったんじゃ、ロクさんには聞こえないもんね。

「あら、そう? それじゃ上に戻りましょうか」

 壁の一部をくぱっと開きながら言うジェイさん。
 入って来た時と微妙に場所が違う気がするけど、別に固定されてる物じゃないし問題無いだろう。


「ぴゃっ!?」

「おわっ!?」

 なんだなんだ?
 いきなり後ろに居たぴーちゃんが突っ込んで来たけど、一体どうした……ってなんで頭にラキが乗ってるんだ。
 しかも自分の半分くらいのサイズのキャベツの切れ端抱えて。

 ……そういえばレティさんの手の上に居なかったな。
 どっか私から見えないとこに引っ付いてるのかと思ってたよ。


「おやラキさん、お帰りなさい」

「お、もう半分も食ったのか」

 あー、あっちに行ってる最中にじっとしてるのが退屈になって、ここが広いのを良い事に元気に走り回ってたのか。
 でもいつもに比べればかなり我慢した方だな。
 って半分食べたって事は、あのキャベツって元はラキと同じくらいのサイズだったのか。
 ぽっこりさえしてないけど、一体その量はどこに入ってるんだよ。
 いや、人の事は全然言えないんだけどさ。

 というかラキがぴーちゃんの頭に乗ってて、ぴーちゃんが体勢崩して私に突っ込んだって事は、棚の上から大ジャンプして飛び乗ってきたのか。
 外したら床にダイブだったけど、外さない自信はあるし別に床でも問題無いから跳んだんだろうな。
 ……あれ、なんかシルクの機嫌が……?


「あ」

 ヒョイっとラキのおしりを摘み上げて、ぶらぶらさせつつ自分の手の平に乗せるシルク。
 普段なら胴体を摘まみそうだけど、何か怒ってるのかな?

 あ、持ってたキャベツを横に置かされた。
 ラキが珍しくしょんぼりした顔になってるし、お説教タイムなんだろうか。

「飛び乗ったことでぴーちゃん様が白雪さんに衝突してしまいましたから、それを叱られているのではありませんか?」

「あー、なるほど。痛くはなかったけど、確かにちょっとびっくりしたね」

 背中に頭突きを食らう形にはなったけど、大した衝撃じゃなかったし。


「シルク、とりあえず…… あ、うん」

 移動しようって言おうとしたらこっちを見て笑顔で頷いて、またむすっとした顔に戻って手の上のラキを見ながらスーッと小部屋に移動していくシルク。
 まぁうん、ちゃんと動いてくれるなら良いか。

 確かに今回は大丈夫だったけど運が悪かったら怪我するかもしれないし、危ない事は危ないと叱っておいてもらおう。
 いや、シルクは私に(・・)突っ込んだから怒ってるだけの可能性もあるけど。

 ……『ごしゅじんさまにそんなことしたら、すっごいこわいことされちゃうんだよ!?』じゃないよね?
 うん、そうでないことを願う。



 シルクに続いて全員が小部屋に入って、入り口がぱくんと閉じられる。

「それじゃ、悪いけど飛んでる子は一緒に動いてね」

 うん、他の子はともかく私とカトリーヌさんは自力で移動しないと、このスピードでも壁にへばりつくことになりかねないからな。
 まぁこれくらいなら潰れはしないだろうけど、骨の数本は覚悟する必要がありそうだ。


「そういやこれって、どうやって動いてるんだ?」

「うふふ。どうやってると思う?」

「……外からわずかにヌルヌルと擦れるような音が聞こえますね。蠕動(ぜんどう)を利用しているのですか?」

「あらあら、正解よー」

 目を閉じて耳を澄ましたレティさんの解答に、肩の太い触手二本で拍手するジェイさん。
 でもロクさんは「んー?」って顔してるな。


「え、それって喉とか内臓とかのアレ?」

 喉のっていうか食道も内臓じゃない?
 いやそこはどうでも良いか。腸とかの事を言ったんだろうし。

「うふふ、そうねぇ」

「言うなれば、私たちを入れたカプセルをごくりと飲み込んでいるようなものですね」

 今は吐き出してる方向だけどね。
 ……なんかそう言うと人間ポンプみたいだな。

「えー…… つーかその言い方だと、食われてる感が増すからやめてくれよ」

 気持ちは解るけど、そもそもずっとお腹の中に居るわけだし今更じゃない?
 まぁ気分の問題か。


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