挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
32/436

32:草を取ろう。

 退出して二人で一階へ戻る。
 中庭で練習の続きをしようかと思ったけど、MPが心許ないな。
 要するにお腹空いた。そうだ。

「ライサさん、草むしりの仕事とかありませんか?」

 一石二鳥を狙ってみよう。しかし主食が雑草ってどうなの。
 戦えるなら敵から吸ってやればいいんだろうけどねぇ。


「草むしりですか? 特にそういった仕事は…… あ、この役場の裏庭がありました。
 庭師の方は居られるのですが、ここよりも公園等を優先しろと指示されており裏まで手が回っていないのです。
 報酬として銅貨十枚しか出せないのが心苦しいのですが、お願いできますか?」

「目的はご飯なんで報酬額は問題ないです。期限とかはありますか?」

「いえ、裏からの出入りで通る以外には使われていない場所ですので。 終わり次第報告して頂ければ結構です」


「それじゃやらせて貰います。建物の外から回ればいいですか?」

「ありがとうございます。やっていただく範囲の説明もありますので、今回はご案内させて頂きます。
 業務委託として手続きを致しますので少々お待ちください」

 今回はっていうのは一回で終わりそうにないって事かな?
 まぁうろついてうっかり変な所に入ったりしたらジョージさんに怒られそうだし、大人しく案内されよう。


 あ、忘れてた。
 事務処理の為に座ったライサさんの所へ飛んで行く。

「すいません、またスキルの登録をお願いします」

「はい、今回は何のスキルでしょうか?」

「【魔力操作】、【吐息】、【純魔法】の三つです」

「【魔力操作】は申請の必要のないスキルとなっております。
 【吐息】は【妖精吐息】の為ですね。【純魔法】はどのような用途でしょうか?」

「【魔力武具】で【蜜採取】の補助ですかね。器を作れば毎回手がべたべたにならなくて済むので」

「そのような使い方もあるのですね、了解しました。少々お待ちください」

 草むしりの手続きをやり始めた所に声かけちゃったからね。
 終わるまで待ってから登録も完了。

 っていうか今更ながらカウンターの内側に普通に入っちゃってるけど良いんだろうか。
 まぁさっきも普通にライサさんの前を飛んで二階に上がってたし本当に今更だな。



「それでは参りましょう。こちらです」

 案内に従い奥へしばらく進んで、少し大きめのドアを開けると草の生い茂った広場へ出た。
 本当に全然手入れしてないんだな。それにしても広い。これは確かに今日中には無理そうだ。

 まぁ私から見ればご飯が一杯あってありがたいって事なんだけど。
 これで味も良ければ嬉しいのになぁ。


「範囲ですが幅はここからあちらまで、奥はあの塀までという事でお願いします」

 うん、どう考えても銅貨十枚でやる範囲じゃないね。そりゃ心苦しくもなるわ。
 ここに回す予算なんて組まれてないんだろうな。

 まぁ私としては報酬はただのおまけだからどうでもいいのだ。

「はい、それじゃ始めますね」

「それでは失礼します」


 よーし、やるぞー。
 まず屋敷側の端まで飛んで行って、指定された四角形の一辺を削り取るように順番に吸っていく。

 あ、この草知ってる。茎がすっぱくて美味しい奴だ。これは口で吸おう。
 うん、美味しい。こういうのが混ざってるとちょっと嬉しいな。


 反対側に着いたら奥に少し進んでUターン……しようと思ったけどMPが殆ど回復していたので使っちゃおう。
 何しよっかな? あ、そうだ。小さい魔力結晶を作ってみて、【吸精】で吸えるか試してみよ。

 むむむー。お、二回目だしそこまで集中しなくても出せたな。
 大きさはどうしよう? さっきの半分くらいでいいか。で、ぎゅーっと。よし出来た。
 うん、完成品もきっちり半分くらいになった。リンゴくらいの大きさだな。
 消費MPは五百ほどだった。体積に比例してる感じかな?


「あのなぁ、人の仕事を増やすんじゃねぇってんだよ」

「わっ!?」

「また結晶を作ってたのか?」

「お腹が空いたので草取りをしていたら、MPが一杯になりそうだったので消費しようと思って。
 でも今回は五百くらいしか使ってませんよ?」

「いや、手段と目的が逆転してねぇか?
 っつーかお前、五百っつったら普通ならそれなりの規模の魔法が撃てる消費だからな?」

 普通はそうなのか。
 まぁ逆転に関しては仕事として受けてる以上、MPを無駄にしてでもちゃんとしないとだからね。


「まぁそういうことで、ここで私が結晶を作ってるだけなので気にしないでください」

「無茶言うなと言いてぇがまぁ解った。しかしここの手入れを嬢ちゃん一人でやるってのか?」

「銅貨十枚のお仕事です」

「それ、集団でやった時の一人頭の金額としか思えねぇんだが」

「まぁ私の主目的はMPの回復なので問題は無いです」

「その回復したMP使ってんじゃねぇか」

「まぁ訓練にはなるからいいんです。それとこの結晶を試しに吸ってみようと思いまして。
 ある程度戻ってくるならお弁当になりますし」

「ほう。そりゃ豪勢な弁当だな。まぁ圧縮に失敗して暴発で吹っ飛んだりしないようにな」


 それだけ言うとジョージさんは姿を消した。嫌な事を言い残していかないでよ。
 まぁいいや。とりあえずこれ吸ってみよう。

 おぉ、完全にとは行かなかったけど九割がた返ってきた。
 これは良いな。なるべく作っておこう。


 とりあえず同じ物を十個作ってボックスに放り込んだ。
 ボックスの容量の消費は重量で決まるらしく、全部入れても残り容量に変化はなかった。

 そして再度お腹を満たすべく、【吸精】を再開する。
 どうやら片道で大体十分くらいかかるみたいだ。

 四千くらい回復したので今度はステータスを見つつ、百点の結晶を三十個作る。
 六センチくらいのサイズになった。これなら装飾品にしてもそう目立たないんじゃないかな?


 しかし【吸精】の回復量が凄いな。雑草の生命力の高さのおかげかね。
 消していい対象が有る限り、MPに困る事は無いんじゃないか?

 いや、これ今は私一人だから問題ないけど沢山いたら蝗の群が通ったような有様になりそうだ。
 調子に乗っちゃ駄目だね。


+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ