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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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315/676

315:立ち話をしよう。

 おいおい、大丈夫かあれ。
 悲鳴にハッとなって手を離したジルさんが、ぐったりしてる二人にごめんねごめんねと頭を下げてる。
 また表情が消えてるから感情が判り辛いけど、多分今のは大体合ってるだろう。

「うぐぐ、肋骨が……」

「うぐぐ、何本か折れた……」

 少し遠いけど、かすかに二人の声が聞こえてきた。
 ……そんな状態でもキャラ作りはサボらないのね。
 いや、もう癖になってるだけかもしれないけど。


 ていうかあのジルさんが顔に出すって、一言でどれだけヘコんでるんだ。
 いや、あの(・・)って言えるほど知らないけどさ。
 あ、ランディさんが出てきて治療してる。

「と、とりあえず私たちも行こうか」

 ポカーンと見ていたお姉ちゃんが、我に返って皆に声をかけた。
 うん、ずっと見てても仕方ないからね。

 当然ランディさんもこちらに気付いているので、皆が歩き出すのと同時にこちらに向かってきた。


「こんばんはー。見学希望者を連れて来ました」

「こんばんは。……おや、君は前に一度来ましたね」

 ロクさんを見て話しかけるランディさん。
 そういえば追い返されたって言ってたな。

「あ、はい。妖精さんがここに入ったことが有るって言うんで、紹介してもらおうかと」

「ふむ。きちんと手順を踏んで来たのは、君が初めてですね」

「えっと、その言い方ですと他の人は?」

 言い回しが気になったお姉ちゃんが質問する。
 うん、手順を踏まない人が居たって事だよね?


「殆どの方はそのままお帰りになるのですが、稀に私共の制止を聞かずに押し入る方が居ますね」

「あらら。それって不法侵入って事になっちゃうんですよね?」

「そうですね、私はここの門番でもありますので。『それでも良いから入りたい』と言っていただければ許可は出すのですがね」

 苦笑するランディさん。
 まぁ「やめておけ」って程度の話だもんね。


「というか、ランディさん達なら簡単に止められるんじゃないんですか?」

 少し気になって口を挟む。
 この人達に止められないプレイヤーって、少なくとも今の時点じゃ居ないと思うんだけど。

「はい。ですが、中のお二人が喜びますのでね。侵入者は素通しする約束なのですよ」

「あー……」

 なるほど、生贄に丁度良いのか。

「……それは門番としてどうなんでしょう」

 うん、アヤメさんがツッコみたくなるのも解る。


「通さないでほしいと言われていれば、当然阻止しますよ。まぁ門番という名の、お客様と侵入者を仕分ける係ですね」

「要は、ここでちゃんとあなた方の許可を取って"お客様"として入らないと……」

「まぁ、実験体の餌になるか新たな実験体になるか、といったところではないでしょうか」

「うへぇ」

 アヤメさんが途中で区切った言葉に繋ぐ形で、物騒なことを言うランディさん。
 いや、まぁどの場所でも不法侵入が見つかった時点で生きて帰れないだろうから、物騒なのはここに限った話ではないんだけど。


「それとは別に一度お帰りになってからしばらくして、壁を乗り越えて忍び込む方もいらっしゃいますね」

「えっと、多分そっちも放っておくんですよね?」

 お姉ちゃんが一応って感じで聞いた。
 まぁそっちだけ止めるって事は無いよね。

「ええ。わざわざ駆除しに行かなくて良いので、警備としては大変楽な職場ですよ」

 にこりと笑顔で言うランディさん。
 いや駆除て。
 まぁ裏から忍び込んでる時点で完全に犯罪者だろうし、扱いもそんな感じになっても仕方ないか。



「ふー、助かった」

「ふー、死ぬかと思った」

 あ、ぐったりしてた双子が復活した。
 隣でジルさんが九十度のお辞儀で静止してる。

「良いよジル、怒ってないよ」

「良いよジル、こっちもごめんね」

 許しの言葉を貰って頭を上げ、双子の落とした荷物を拾い上げるジルさん。

「うんうん、僕らも手伝うよ」

「うんうん、ランディ、よろしくねー」

 ジルさんを挟む形で左右に並んで、仲良く門の中に消えていく三人。
 これからご飯作るんだろうな。


 見えなくなったところでお姉ちゃんが口を開く。

「えっと、行っちゃいましたけど良いんですか?」

「まったくあの子たちは…… ま、ここの仕事は忠告と案内だけですので、一人で十分なのは確かですがね」

「案内してる時に次が来ちゃったらどうするんです?」

「その時は出てもらいますよ。あの子たちもそれは理解していますので問題は有りません」

 まぁ、お客様を放っといて忠告しに行くわけにも行かないか。
 いや、案内って言ってもそこの入り口までだからすぐ終わるけど。



「さて、それじゃ案内をお願いします」

「はい。皆様、こちらへどうぞ」

 ここで話し続けていても仕方ないので、とりあえず中に入れてもらおう。
 ランディさんの後にゾロゾロついていき、門を開けてもらう。

 全員が敷地内に入ったのでランディさんが門を閉め、研究所(ジェイさん)に向かって歩いていく。


「おっと」

「え?」

 前を向いたまま思い出した様に口を開いたランディさんに、すぐ後ろに居たアヤメさんが反応して疑問の声を上げた。

「言い忘れていましたが、"お客様"だから安全が保障されるという事は有りませんので悪しからず」

「……そういうのは、入る前に言ってほしかったんですが」

「あー、まぁ雪ちゃんも言ってたし、今更じゃない?」

 控えめに抗議するアヤメさんと、それを宥めるお姉ちゃん。
 うん、元々「入れてもらえると思うけど安全は保障しない」って言ったもんね。


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