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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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243/733

243:洗われよう。

 この石鹸、なんかほのかに良い香りがするな。
 香料でも混ざってるんだろうか。
 何の香りかは良く解らないけど、結構好きな匂いだし何でも良いか。
 ちゃんと油は問題無く落ちてるんだしね。


 こしこし擦っている内にお尻の細かい毛で泡立っていったのか、お尻の先まで泡まみれになったラキ。
 さて、流そう……って洗面器のお湯はさっき浸かってたから、ちょっとバターの油が混ざってるな。

 これで流してもしょうがないし、一旦捨ててもう一回お湯を……
 ん、なんか手の上のラキがシルクに取り上げられた。
 何事だろうか。


 摘まんだラキと目を合わせて、何か話し合っている様に見える。
 喋れない子達だけど私の召喚獣同士、何らかの手段で対話出来てるのかな?
 口は動いてないみたいだけど、お互いに頷いたりしてるし。

 良く解らないけど話が終わったらしく、左手の甲に乗せられたラキが肩に向かってたったか走っていく。
 泡まみれのままだけど、濡れたり泡が付いたりして良い様に湯あみ着に着替えてるし大丈夫なんだろう。
 なんだろ、私を洗うついでに流してあげるって感じの話になったのかな?



 シルクがタオルを片手に乗せてシャワーのスイッチに触れ、降り注ぐお湯で水気を含ませる。
 せっかくなので横から新しく作った洗面器にお湯を溜め、横に居るぴーちゃんの口元を手で洗ってあげた。
 そんな申し訳なさそうな顔にならなくても大丈夫だよー。
 羽で拭ってから羽を洗う事も出来るだろうけど、乾かすの大変でしょ?

 おや?
 シルクの方を見て頷いたと思ったら、私に頭を下げてからぱたぱたとお風呂から出て行ってしまった。
 どうしたのかな。

 あぁ、タオルが脱衣場に有るから拭いておいでって指示したのかな。
 シルクが手に乗せたタオルをこれーって感じで私に示してるし。



 再度取り出した粉石鹸を全てタオルにふりかけ、わしゃわしゃと泡立てるシルク。
 もこもこ泡が出てきて、良い香りが広がっていく。
 十分だと判断したのか一旦タオルを広げて真ん中を手の平に乗せ、泡を集めてその上に置いた。

 ん?
 こっち見て「さぁどうぞ」みたいな仕草で、私から見れば一抱えもある泡の山を示してきた。
 そこに飛び込めって事かな。うん、気持ち良さそうだ。


 勢いよく行くと飛び散ってしまうので、普通に近づいて頂上にお腹を乗せてゆっくりと下降していく。
 おお……
 真下にある泡が柔らかく反発しつつ、抑えられて少しずつ横に逃げていく。
 いやー、思った以上にふわふわしてて気持ち良いな。

 シルクが反対の手で垂れ下がったタオルの端を持ち、横に逃げた泡を落とさない様に拾って背中や脚に塗り付けていく。
 あ、前側にも来た。
 目や口に入っても困るし、閉じていようか。



 優しく泡でこする様に全身を洗い、一旦手を休めるシルク。
 おや、さっきまでとは少し違う感触が。
 わざわざ二種類のタオルを持ってきてたのか。

 さっきより少しだけ強めに、つま先から上に向かって順番にこすっていく。
 別に良いんだけど、こういうのって上から下に行くもんじゃないのかな。

 まぁ人間と違って下側の方が汚れやすいって事も無いだろうし、問題無いのかもしれないけどさ。
 【浮遊】のおかげで、普段から重力はあんまり関係無いし。


 さっきのより少し毛が硬めだから、腿の内側やお尻を洗う時は少しくすぐったかった。
 まぁ我慢できる程度だし大人しくしていよう。

 背中側を肩まで洗い、くるりと仰向けにしてお腹をこしこし。
 うぅ、我慢我慢。

 そのまま前面を一通りこすって、腋を通って左腕へ。
 うひー、くすぐったくてちょっと力が入ってのけ反っちゃうよ。


 声を出しそうになるのを我慢しつつ、少し薄目を開けてみる。
 あれ?
 シルクの右手に、タオルがかかってない。
 こすり方からして端っこを持ってると思ったんだけど……


 ……おい。

「シルク、ちょっと待ってストップストップ待って」

 うん、少し落ち着こう。
 シルクは私を擦っていた手を制止に従って止め、「どうかしたの?」って顔をしつつスッと自分の背後に隠す。


「えーっと…… うん、怒らないからその後ろに回した右手、ちょーっとこっちに見せてくれるかな?」

 私の言葉に、ビクッと体を硬直させてしまうシルク。
 しまった、詰問してる様に取られたか。
 叱ってる訳じゃなくて、確認させてほしいだけなんだけど。

「あー、大丈夫大丈夫。よしよし、怯えないで。本当に怒ったりしないから」

 これ以上怯えさせない様に、ゆっくり優しく声をかける。
 うん、初めから怒るつもりは無いしね。

 ただツッコみたいんだ。
 いやほんと君ら、なにやってんだってさ。


 「ほ、ほんとにおこらない?」って感じでおずおずと隠した右手を背中から出すシルク。
 いや、そんな怯えるのに何でやっちゃうかな。

 シルクの差し出してきた人差し指と中指だけをピンと立てた右手には、泡に紛れて見覚えのある鮮やかな緑色が。

 ……うん、やっぱりラキだよねこれ。
 手で泡を退けてみると、指先にお尻を向けて全部の脚と腕でシルクの指にがっしり抱き着いているラキの姿が出てきた。

 確かにラキのお尻は体毛に覆われてるけどさ。
 仲間をスポンジ……っていうかブラシ代わりにして私の体を洗うのはどうなのよ。


 いやうん、ラキに全く悪気が無いってのは良く解るよ。
 シルクの指の付け根の辺りから、凄い得意げな「私頑張ったよ! 褒めて褒めてー!」って顔でこっち見てるし。

 むぅ、少し不本意ではあるけど悪さをしたわけじゃないしな……
 指で軽く撫でておこう。
 私の手は泡まみれだけど、どうせラキも全身あわあわだし。



「シルク、そんなしょんぼりしなくて良いよ。これも私のためにやってくれたことなんでしょ?」

 流石に悪戯とか嫌がらせじゃないだろうし。
 今までもお世話が行き過ぎる事はあっても、基本的に全部私に尽くそうとしての行動だったもんね。

 シルクがしょぼんとした顔のまま、こくっと頷く。


「うん、気持ちは嬉しいんだけどね。でもラキは道具じゃないんだから、できれば普通のタオルで洗ってほしいな」

 再度頷くシルク。
 そうそう。ちゃんと解ってくれれば良いんだよ。


 はいそこ、「えー?」みたいな顔しない。
 だーめーでーすー。

 あと戻ってきてたぴーちゃんも、あれ自分のふかふかで出来るかなーみたいに視線を落とさない。
 もっとだめです。


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