挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
24/399

24:本を読もう。

 外で日向ぼっこしていた珠ちゃんをモフモフして役場へ戻った。
 案内板から図書室の場所を見つけ、そちらへ向かう。

 奥の方でライサさん蜜を献上しているのが見えた。
 喜んでくれてるみたいでちょっと嬉しいな。


 食堂とは反対側の通路を進み、図書室と書かれたプレートの貼られたドアの前まで来た。
 しかしドアが閉まっている。本の保存とか遮音の為かな?

 どうしよう…… これじゃ入れないぞ。
 試しにドアを思いっきり叩いてみたが私の力じゃ音が出ない。手が痛くなっただけだ。

 そうだ、【空間魔法】登録したんだから【跳躍】で入ったり出来るんじゃないかな?
 いや、やっぱりやめておこう。
 もしかしたら入っちゃいけない時間なのかもしれないし、それで不法侵入なんてことになったらライサさんにも迷惑がかかってしまう。


 うーん、手で叩いても音が出ないなら道具を使えばなんとかなるかも。
 ボックスから銅貨を取り出して、両手で頭上に掲げて側面を叩きつける。
 なんとか四回コンコン、コンコンと鳴らすことが出来た。ノックするだけで疲れるなぁ。

 銅貨をしまって待ってみる。
 ダメなら一旦ホールに戻って受付で聞いてみよう。


「どうしましたー? あれ、誰も居ない?」

 ドアが内側に開き、職員らしき人が顔をのぞかせた。
 ……これ、外開きのドアだったらぶつかって死んでたんじゃ?
 全然見てなかったよ。すぐ死ぬんだから気を付けないと。


 近くて低い位置に居た私に気づいていないようなので、少し下がって顔の高さまで浮上した。

「悪戯かな……? へっ!?」

 ちょっと驚かれた。

「えっと、キミがノックしたのかな? そう。本を読みに来たの? はい、いらっしゃい」

 質問に頷いて答え、迎え入れて貰った。


「昨日皆が妖精さんが来たって言ってたけどキミの事かー。
 どうぞ、ここの本の閲覧はどれも自由だよ。ただし持ち出しは禁止だからね」

 頷いて本棚へ向かう。何があるかなー?


 特に目当てが有って来たわけじゃないから何を見るか迷う。
 この辺りが教本の類か。あんまりちゃんと並んでないっぽいな。

 「火魔法入門」「水魔法入門」「裁縫の基礎」「新版 明解魔法陣 入門編」「よいこのどくやく」「風魔法 なんだ今の!?
 戦闘用に毒薬を使う機会もあるかもだし、毒の本があるのは解るけどなんだこれ。
 まぁいいや、触れないでおこう。

 「ゼロから始めるレース編み」「初級錬金術」「はじめてのギター」「たのしいあんさつ」「空手道入門」
 ちょっと待て、また変なのが混じってたぞ。
 なんでそういう方面だけ子供向けっぽいんだよ。


 ちょいちょい混ざる色物が気になってしょうがないけど続きを見てみよう。

 「システマ入門」「必須ポイントを押さえたムエタイバイブル」「調薬の手引き」「八極拳入門」「カポエイラ ヘジォナウ」「教門長拳」「光魔法入門」「サバット 初級編」
 なんか格闘系に偏り過ぎじゃないかこの棚。

 直接役には立たないけど物理系のスキルも覚えてSTRとかも上げておいた方がいいだろうか。
 せめてお金くらいは軽々持ちたいよ。

 まぁ、今はそれはいいや。魔法の本や私でもできそうな生産の本を探そう。
 錬金術とか魔法陣とか、少し気になるし一応場所だけ覚えておこっと。


 お、「基礎から学ぶ魔力操作」なんてのがある。ちょっと見てみようか。

 ……取れない。
 うん、まぁ当然だよね。この本、私より大きいしね。


 受付に戻って本のあった方を指さして頭を下げた。

「ん?どうしたのかな? あぁ、本を取って欲しいのか。いいよいいよ、どの本かな?」

 飛んで行って本の背表紙をポンポン叩き、再度頭を下げる。

「お、渋いもの読むね。スキルの教本ってあんまり人気ないんだよねー。
 皆ポイントで取得して、独学で使っちゃうから」

 渋いのか?
 まぁ概要はスキル説明で読めるし、実際使えばなんとなく解るもんね。
 わざわざ町で本を読むより実地で試す人が殆どなんだろう。


 机まで持っていって置いてくれたので、その前に着地して再度お辞儀。

「どういたしまして。 一人で読めるかな?一緒に読んであげようか?」

 子供じゃないやい。 大丈夫だとアピールして戻ってもらった。

「読み終わったら仕舞っちゃうからまた呼んでねー」

 さて、読んでみよう。



 タイトル通り、至って真面目な【魔力操作】についての教本だった。
 【魔力操作】とは何かから始まって習得のコツや一般的な用途に応用例など、多岐に渡る情報が書かれているようだ。

 これが使えると魔法の軌道や出力、形状などに応用が効くようになり、物品などに魔力を流すこともやりやすくなるらしい。
 前者は魔法使い、後者は錬金術師が主に使うようだ。

 習得するには体に流れる魔力を感じ取り、その流れを操ろうと意識してみるのが良いらしい。
 ただ、その魔力を感じ取る事がかなり難しいらしく大抵の人は自力での習得を諦めてしまうようだ。
 うーん、魔力ねぇ。


 目を瞑って自分の体内に集中してみる。
 うーん?

 不意に近くで何かがぶつかる音がして、足元に振動が伝わる。

「こらこら。 ここで練習しちゃダメだよー」

 おおう、ごめんなさい。
 近くの床を指でトントンと叩かれたらしい。床じゃなくて机か。


 その場で頭を下げ謝って、本を仕舞って欲しいとジェスチャーでお願いする。

「あ、もういいの? それじゃ持っていくねー」

 一緒についていって、本を収めて貰ったところでまた頭を下げる。

「いいってば。これもお仕事だからね。他に何か読みたいものはあるかな?」

 正直な所さっきの色物や【調薬】の本も気になるけど、【魔力操作】の本に気になる事が書いてあったので試してみたい。


 なんでも魔力を使って火や水を動かす訓練をすることで魔法スキルを習得できるとか。
 最初に重いスキルを取ったせいでポイントが少ないから、ポイントを使わずに覚えられるならぜひ覚えたい。
 スキル枠、余りまくってるしね。

 ペナルティがある筈だから実用的ではないだろうけど、無いよりはあった方が良い。
 それをやる時間で使えるスキルを育てろって? 聞こえなーい。

 まぁそれ以前に【魔力操作】が習得できるかわかんないけどね。


 首を振ってドアへ戻り、ドアをぺちぺち叩いて頭を下げる。

「はーい。また来てねー」

 開けて貰ったドアの隙間を抜けて、手を振りつつホールへと戻っていった。


+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ