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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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238/679

238:捕まえよう。

「うぅ……」

 うつ伏せのまま気を付けの姿勢でまっすぐ倒れているサフィさん。
 ……実は結構余裕あるんじゃない?
 まぁこのまま寝られていても困るので、【妖精吐息】で起きてもらおう。

「あ゛ぁー……」

 なにそのゾンビみたいな声。
 ん、なんか左手で自分のほっぺたをつんつんし始めた。
 そこに吹けって事かな?

 違うみたいだな。
 なんかチッチッて感じで指を振ってまたつんつんしたし。


 あ、もしかしてそこを踏めとでも言うんだろうか?
 ……うん、とりあえずやってみよう。

「ふあー、ふにふにー……」

 なんか合ってたらしい。

「ちょっと蹴ってみてー」

 なんか言い出した。
 まぁ別に良いけどさ。


「あぅぁー、いやされるぅー」

 むぅ、やっぱり本気で蹴ってみても全く効かないな。
 勢いを付けて両足で突っ込んでみたりもしてるんだけどなぁ。
 まぁ表面の柔らかい壁を蹴ってる様なものだから、足首や膝を痛めない程度にだけどさ。

 なんか悔しいので横から着地して座り、正座の状態から体を前に倒して足元のほっぺたをべちべち叩く。
 【浮遊】で重力の方向が関係無いから出来る事だけど、やっぱり景色の違和感がすごいな。

 でもこれ、慣れていって普段から上下を関係無くしておけば何かの役に立つかも?
 いや、まぁ無いと思うけど。


「ふわー……」

 むぅ、こっちは思いっきり叩いてるのに気持ち良さそうな声を出しおって。
 逆にこっちの手の平がちょっとヒリヒリしてるよ。

「うふふ。白雪ちゃん、頑張って叩いてるけど傍から見てると可愛いだけよー?」

「むぅ、やっぱりこの体じゃ全力でもそんなもんですよね」

「でもこのままじゃ駄目だものね。ちょっと離れてくれるかしら?」

 ジェイさんの言葉に従って、サフィさんの頬を蹴って飛び立つ。


「ほーらサフィちゃん、調子に乗ってないで立たないと、息が出来なくなっちゃうわよー?」

「んむっ!?」

 おおう、床がサフィさんの形に合わせてずぶっと沈んだ。
 体の前半分が床に埋まってる状態になったな。

「むーっ」

 顔に隙間なくぴったりフィットしているのか、引っこ抜いた両手を床について力を込めても、すぐには抜けない様だ。
 あれちょっと痛いんじゃない?


「ふぬっ、ぷはっ、ふはー」

 グッと背中にも力を込めてがぼっと引き抜き、今度は仰向けに転がるサフィさん。
 まぁ今は息を吸いたいだろうから、起き上がらないのは仕方ないだろう。

「ほーらほら、早く立たなきゃ。どんどん沈んじゃうわよー?」

 うわぁ、ジェイさん容赦ないわー。
 さっきみたいに一気にではないけど、ちょっとずつずぶずぶ沈めていってる。

「あわわ、解った、解ったから。ちょっと調子に乗ったのは謝るから」

 慌てて立ち上がって、私に向かってぺこぺこ頭を下げるサフィさん。
 いや、別に私は怒ってないから良いんだけど。
 どうせこの後、急ぐ用事が有るわけでもないしね。


「うふふ。白雪ちゃんについてるのも、ちゃんとしたお仕事なんでしょう? しっかりしなきゃダメよー?」

「くっ、ここに居たら酷い目にあうだけ。私は先に外で待ってる」

 あ、逃げた。
 いやー、それ、ダメなんじゃないかなー?
 ジェイさんに弄られまくって、逃げたくなるのは解るけどね。


「あらあら、護衛が護る相手を置いて逃げてちゃ駄目でしょう?」

「ひぎゃ」

 あー…… やっぱり。
 通路を走って逃げてたサフィさんが、左右から勢いよく迫ってきた壁に挟まれた。
 完全に包まれちゃったから、悲鳴も途中で掻き消えたよ。

 って今更だけど壁、割と素早く動かせてるじゃないの。
 なんだかんだ言って、実はあの登場がやりたかっただけなんじゃ……?
 まぁ何か色々と条件が有るのかもしれないけどさ。


「あれ、大丈夫なんですか?」

「うふふ。息は出来るようにしてあるし、怪我をしないようにちゃんと柔らかい壁で挟んでるから大丈夫よー?」

「あぁ、それなら大丈夫ですね」

 なんか合わせ目が完全に閉じて壁になった先から、かすかに抗議の叫びが聞こえた気がする。
 うん、気のせいって事にしておこう。

 ……っていうか、普通に左右から迫ってきただけの壁に、素直に挟まれるってどうなの?
 ジョージさんやコレットさんなら涼しい顔して回避してそうだけど。
 いや、あの二人と比べちゃいけないんだろうけどさ。


「そうねぇ…… 例えるなら、これくらいかしら?」

「ぴゃっ!? ……ぴーっ!」

「うふふ。ごめんなさいねー?」

 ジェイさんが触手でぴーちゃんのふかふかを両側からぷにっと揉んで、頭を蹴られている。
 うん、謝るならやらなきゃ良いんじゃないかな。

 しかしまぁ、柔らかい事はよく解った。
 あれは羽毛でもふもふなのも相まって気持ち良いからな。



「それじゃ私達も行きましょうね」

「あれ、サフィさんはどうするんです?」

「うふふ。あの子は表で合流しましょうね」

 あぁ、私が表に出るまではお仕置き継続って事か。
 まぁもうちょっとだったし、そうかからないだろうから頑張ってもらおう。
 なんか通路が曲がって迂回してる気もするけど、これも気のせいという事にしておこうか。

 実際、私を置いて逃げようとしたのは確かだしね。
 この中じゃ護衛は要らないって話になってたんだから、良いんじゃないかとも言えるけど。


 まぁやわやわで挟まれてるみたいだし、息も出来てるみたいだから精神的に疲れるだけだろう。
 むしろ捕まってるって思わなければ、ぷにぷにで気持ち良いんじゃない?
 ジェイさんの事だから、多分軽くマッサージもしてるだろうし。
 まぁ自由に動けないし、自分の意思で抜けられないのは問題か。

 あ、やっと出口か。
 うん、入った時の事を考えると、三倍くらいの距離を無駄に移動してた気がする。

 玄関の床にピピッと筋が入って開いていき、中からサフィさんが乗った床がせり上がって……
 いや、なんで気持ち良さそうに寝てんの?


「うふふ。やっぱりサフィちゃんは可愛いわねぇ」

「何やったんです?」

「あら、おかしなことは何もしてないわよ? ただ横に寝かせて、温かいお肉で柔らかく包んであげてただけねぇ」

「あー……」

「うふふ。とーっても気持ち良いベッドになれた自信があるわ」

「まぁ実際寝ちゃってますしねぇ…… いや、この人割とどこでも寝ちゃうってイメージが有りますけど」

 フェルミさんの工房でも普通に隅っこの物陰で寝てたし。
 あー。ジェイさんの中、狭くて暗いのもサフィさんが寝るのに丁度良い感じだったのかな……?


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