挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

230/733

230:反省してもらおう。

 ずっと持っていてもらうのも悪いので、とりあえず一旦部屋の真ん中にある机に集まる。

「離れたら効果が無くなっちゃうのかしら?」

「多分そうですねぇ。もしかしたら時間の方かもしれませんけど」

「それじゃ、もう一度お願いね」

「はーい。……あ、そっか」

 【跳躍】で中に入ろうとしたら、ジェイさんが普通に触手でカパッと蓋を開けた。
 戻ってきて近づいたせいで効果が復活してたらどうするんだろうと思ったら、中の小さいジェイさんが粉に触手を突っ込んで、ちゃんと確認してたみたいだ。
 まぁ多分危険な物の扱いには慣れてるだろうし、私みたいな素人が心配しなくても大丈夫か。
 MPの消費が抑えられるのは助かるし。


「うふふ、おかえりなさぁい」

「おわっ」

 私が水槽に戻ってジェイさんが蓋を閉めると、小さいジェイさんが触手を広げて抱き着いてきた。
 咄嗟に【跳躍】で背後に回りこみ、巻きつかれるのを回避する。
 もー、抑えた分をすぐに消費してしまったじゃないの。

「あらら、寂しいわー?」

「いや、だってジェイさんヌメヌメしてますし…… これ自分で着替えられないから、染み込んじゃうと面倒なんですよぅ」

「粘液は調節できるから大丈夫よー? ほら、ぴーちゃんもベトベトになってなかったでしょ?」

「あ、そういえば確かに。ってぴーちゃん、大丈夫だから蹴らないであげて?」

 小さいジェイさんが私に飛びかかってきたのを見てか、ぴーちゃんがジェイさんの頭に飛んで行ってげしげし蹴ってた。
 でも平然としてるし、全然効いてないっぽいな。
 まぁとりあえず、粉を出して積んでおくか。


「きゃー、ぴーちゃんこわーい。……うふふ、いらっしゃーい」

 怒ってくるぴーちゃんにふざけて怖がってたジェイさんの後頭部が、ぴーちゃんの飛びかかって来るタイミングに合わせて左右にぐぱぁっと開く。

「んぴゃぁーっ!?」

 あー、勢いよく行ってたせいで止まれずに突っ込んだな。


 こちらに見える様に、ジェイさんがくるりと顔を横に向ける。 
 あー、羽と頭だけ残して胸から下が全部、はむりとくわえ込まれてしまったらしい。
 離せーってべちべち叩いてた羽も、髪の毛みたいに出てきた触手に掴まって取り込まれた。

「ぴぅー……」

 ジェイさんの後頭部から頭だけを出したぴーちゃんが、こっちを見て悲しそうに助けてーと鳴く。


「うふふ。ご主人様が止めるのを聞けない悪い子は、ちゅぱちゅぱしちゃーう」

「ぴゃっ!?」

 ぴーちゃんをくわえた後頭部がぐにゅぐにゅ動いて、ぴーちゃんがくすぐったそうな声を出す。

「ほどほどにしてあげてくださいよ……?」

「ぴぁー……?」

「いやー効いてないっていっても、実際蹴っちゃってる訳だしさ……」

 私の言葉に「助けてくれないのー……?」って声が返ってきたけど、私のためとはいえ敵じゃないって言ってる相手を攻撃しちゃったもんは仕方ない。


「痛くしないから大丈夫よー? うふふ。私、マッサージ得意なんだから」

 まぁ生き物の体の事は良く知ってるだろうしなぁ。
 ひぃーって顔してるけど、諦めて揉まれてようね。

「あ、そういえば……」

 ジェイさんの何か思い出した様な言葉と同時に、部屋の壁にあった本棚が壁ごとこちらにせり出してきた。
 生き物の図鑑や薬学の本とか、資料になりそうなものが色々詰まってるな。


「ぴーちゃん、さっきから見てたわよねぇ。うふふ、私がめくって見せてあげるわ。どれが良いかしらー?」

 後頭部のぴーちゃんをくるっと回して顔を下側にし、右手に持った布を巻いた棒で本を一つずつトントンと指していく。

「……ぴっ」

 あ、すごいムスッとしてるけどちゃんと選ぶんだ。
 本とか読むのが好きなのかな?
 でもサイズも小さいし手じゃなくて羽だしで自分じゃ中々読めないよね。


「はいはーい。これが良いのねー?」

 本棚の上から四角い棒が貼りついた板を取り、右手の棒を上手く使って本棚から板の上に本を倒れ込ませる。
 あぁ、書見台って奴か。
 粘液は調整出来るって言ってたのに素手で持たないのは、一応用心してって事かな?

 ぴーちゃんが選んだのは植物の本かな?
 ここからじゃよく見えないし、まぁ良いか。



「それじゃ、こっちの続きもやりましょうねぇ」

 くるっとこっちを振り返るジェイさん。

「あ、この私の下にある山が戻って来てから出したやつです。十分に時間は経ってるかと」

「そうねー。ではでは…… あら、やっぱり距離かし」

 粉の山にぽふっと触手を置いた小さいジェイさんが、言葉の途中で頭まで固まる。
 【妖精吐息】をふーっと。


「それじゃ、これに入れてもらって良いかしら?」

 小さいジェイさんが水を汲んだバケツを差し出してきたので、落ちている粉を掬って水に溶かす。
 あらかた回収して、パンパンと手を……
 叩いたら飛び散った粉が体に付いたのか、小さいジェイさんが石化し始めたので慌てて治療する。

「すみません、ちょっと迂闊でした」

「うふふ、良いのよ。それじゃ、外に出て少しずつ離れてみてくれる?」

「はい」

 【跳躍】で水槽から出て、とりあえず私の感覚で十メートルほど離れる。
 でも少しずつって言っても、石化しちゃったらその度に戻らないといけないんじゃ?

 ……あー。
 小さいジェイさんの触手の先端が、もっと小さな、私から見ても手のひらサイズのジェイさんになってバケツにひゃっほーうと飛び込んで行った。
 気を付けないと、毒液が飛び散って触手にかかっちゃいますよ?


+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ