挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

21/709

21:休息しよう。

 店を出ると日が傾き始めていた。
 あれ、もうそんな時間なのか。待たせてごめんねポチ。

 いや、むしろまだそんな時間だったのか。
 メニューパネルから時計を見ると午後六時過ぎだった。


 日が暮れるまでは見て回ってみようかな。
 と思ったらお姉ちゃんからメッセージが送られてきた。

『町に戻ってきたよ。今どこかな?』

 こっちに来るのか。店の前だと邪魔になるし、そこのベンチで待つかな。
 大体の場所をメッセージで伝えてポチと一緒にベンチに向かった。


 先にポチにベンチに伏せてもらい、その背中に乗ってモフモフを堪能する。
 頭を撫でたりしていると中央広場からお姉ちゃんたちが歩いてくるのが見えた。

 あ、ポチを見つけたお姉ちゃんが駆け寄ろうとしてアヤメさんに捕獲された。
 レティさんがそれをスルーしつつ目の前に来てしゃがみ、ポチの首を撫でる。

「戻りました。服を買ったのですか? 可愛いですね。」

「離してよう」

「突撃するなよ?」

 うん、最初の時みたいにやられたら今度は上に乗ってるから死んじゃうよ。


「ただいまー。新しい服着てるー! 見せて見せてー」

「やっ。 おお、かわいいな。しかし、よく丁度いいものがあったな」

 ふわりと浮いてお姉ちゃんの前でくるりと回る。

「そこのお店に小さいサイズのハンカチがあったんだよ」

「服屋じゃなくて布屋の方? ハンカチなんて売ってたんだ」

「えぇ、小物も扱っていますよ。私もそこで一枚買いました。
 でもこれ、絹ですよね? たしかかなり高かったと思うのですが……」

「うん、銀貨八枚だった。このリボンはおまけで貰えたよ」

「はぁっ!? 八枚って殆ど全財産じゃないか!」

 アヤメさんが驚いて詰め寄ってくる。近い近い。
 まぁそういう反応になるよね。


「いやぁ、つい」

「ついで買う額じゃないって…… 【空間魔法】といい、漢らし過ぎるでしょ」

 失礼な。せめて思い切りが良いと言ってくれたまえ。


「雪ちゃん、そんなに使っちゃって大丈夫なの?」

「いやぁ、武器や防具は使えないし食料は必要ない。
 回復薬も飲めないしで、普通なら揃える必要がある物が軒並み要らなくなっちゃってるんだよね」

「あー、確かに。その身体じゃポーションだって飲めないわなぁ」


 お金を持っていても現状だと使い道がないのだ。
 あっ。
 【蜜採取】用の容器のことすっかり忘れてた……


「そうだ、私でも持てるような小さい容器に心当たり無いかな?
 出来れば蓋が出来る物がいいんだけど」

「うん?白雪が持てる小さい容器?何かあったっけ?」

「うーん、私たちが持ってるのは小さくてもポーション瓶くらいだよねぇ」

「何に使う物なのでしょう?」

「【妖精魔法】に【蜜採取】っていう魔法があって、それで採る蜂蜜を入れる容器が欲しいの。
 広場の露店で探してみたけど、売ってた一番小さいジャム瓶でも大きすぎて持てそうになくて」

「へぇ、蜂蜜を入れる容器か」

「蜂蜜には金属を溶かす性質があるらしいので、金属容器は避けた方が良さそうですね」

 レティさん、よくそんな事知ってるな。
 それじゃやっぱり小さい瓶を探すしかないかな。


「いっそ瓶を持って集めるのは諦めて、置いた瓶に手で持っていくのはどうかな?
 蜂蜜って抗菌作用あるって聞くし大丈夫なんじゃない?」

「雑だな、おい。 あぁ、でも手垢とかは出ないんだし手を綺麗にしてからやれば大丈夫なのかね?」

「抗菌作用と言いますか、糖度が高過ぎて内部で菌が生息できない環境ということですね」


 おお、その手があったか。
 いや、その置く瓶を持ち運べないのが問題なんじゃないか。
 ギリギリ持てる重さの瓶を用意して集めたら、そこから動かせなくなってしまう。

「集めた後動かせなくなっちゃうよ」

「あー、瓶だけでも持てないのに中身が入ったらそりゃねぇ」

「そっか。それじゃやっぱり小っちゃい瓶を作ってもらうか誰かに手伝って貰うしかないかなぁ?」

「そうですね。台車で運ぶという手もありますがあまり現実的ではありませんね。
 かなりの重量に加えて地面の凹凸が激しいですから。
 それに地表を歩き続けるというのも危険ですし」


 気付かずに瓶ごと蹴り飛ばされる未来が見える。
 ポチや珠じゃ持ってもらうのも無理だし、小さい瓶が用意できなきゃ誰かに手伝ってもらうしかないかなぁ。
 お金も無いからオーダーする予算は足りないだろうし。

 まぁ別に急いでやらなきゃいけない訳じゃないし、色々模索してみるか。

「一旦諦めるかぁ。まぁ自分で食べる分は欲しい時に作ればいいし」

「いいねぇ。甘味食べ放題か」

「試しに舐めてみる? 花ならその辺の空き地に少し咲いてるし」

「おっ、良いのかい? それじゃお言葉に甘えようかな」

 少し離れた空き地まで飛んで行って、採取した蜜を両手で受け止めて戻る。
 指を出してもらってその上に乗せた。

 アヤメさんの顔を見るに、どうやら好評のようだ。

「あ、いいなぁ。 雪ちゃん、私も欲しいな」

「私もよろしいですか?」

 追加で二往復する。
 二人の指にも蜜を乗せて、自分の蜜まみれの手を舐める。 あまい。

「甘ーい。ここだと太る心配も無いから取り放題ってうらやましいなぁ」

「皆、指出してー」

「ん? なんか指出せってさ」

 温水シャワーで自分の手と皆の指を流す。自分の両手を一気に洗えないのが不便だなぁ。
 続いてエアータオルで水気を切って温風で乾かす。

「便利な魔法ですねぇ」

「これも【妖精魔法】なのかな?」

「うん、名前と説明文はちょっとどうかと思うけど効果は便利だね」

「名前と説明文? どんな感じなんだい?」

 【大洪水】と【灼熱旋風】のパネルを出して渡す。

「うわぁ」

「これは……」

「凄いですね」


「まぁ便利だから……」

 パネルを消して釈明しておく。私は何も悪くないけど。


「さて、もうしばらくしたら日も暮れるし一旦ログアウトして休憩しようか」

「そうだな。それじゃ、また後で」

「はい。失礼します」

 アヤメさんとレティさんの二人が光るエフェクトを残して消えた。
 ほー、ログアウトする時はこんな感じなんだ。

「雪ちゃんも休憩挟んだ方がいいよ。あんまり長時間ログインしたままだと警告が出て、無視してると強制ログアウトされたりするから」

 夜の間だと閉まるお店も多そうだし視界が悪いのも危ないから、言われる通り私も休憩しようかな。

「そうだね。 えーっと、ここから、こうっと」

 メニューからログアウトの項目を開き、現実へと帰還した。


+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ