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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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194/672

194:耳を撫でよう。

 蜜の瓶を持ったモニカさんを引き連れ、カトリーヌさんと一緒に愛想を振りまきながら採取場所へ向かう。
 なんか少しだけど、昨日より人が増えてる気がする。
 「妖精さん」がここでお仕事してるって広まってるのかな?
 なんかNPCっぽい人の割合が増えてきてるし。

 見た目でちゃんと区別することは出来ないけど、あの私服のおばちゃんとかはどう考えてもNPCだよね。
 いや、もしかしたらプレイヤーが擬態してるだけかもしれないけど、全く意味が無いし。



 今日も満面の笑みで顔の前に瓶を配置するモニカさん。
 うん、まぁ気になるってだけで実害は何も無いから良いんだけど。

 うーん、でもやっぱあのピコピコしてるクマ耳が気になる。

「モニカさん、ちょっと良いかな」

 ふーっと【妖精吐息】を顔に吹きかけ、声をかける。

「すぅー………… はい、何でしょう」

 何故深呼吸した。いや、なんとなく察する事は出来るけどさ。


「ちょっとの間、耳動かすの止めててもらって良いかな」

「は、はいっ!」

 期待に満ちた顔で姿勢を正し、微動だにしなくなるモニカさん。
 いや、そんな構えなくても。

 ……これ、このまま蜜を集めだしたらまた崩れ落ちるかな。
 いや、流石に酷いからやらないけどね。



「カトリーヌさんも一緒にどう?」

「えぇ、喜んで」

 カトリーヌさんも誘って二人でスイーッとモニカさんの頭の上に飛び、ちょっと申し訳ないけど頭に着地。
 ……ぬくい。というか少し熱い。興奮し過ぎじゃないか?
 また鼻血噴いたりしないだろうな。

 二人で背中合わせになって頭頂部に座り、両脚を伸ばしてクマ耳にモフッと抱き着き撫でまわす。
 うはー、短めの毛がもこもこしてて気持ちいー。


 ……なんかお尻の下からプルプルと振動が伝わってくる。
 少し上半身を傾けて下を見てみると、折りたたんだハンカチを口に挟んでいるのが見えた。
 何それ、歯が砕けそうなくらい噛み締めてるって事?

 まぁいいや。
 傾けた上半身を元に戻し、再度抱き着く。
 うむー、良いなぁ……

 表面をむにむに揉むように手を動かし、少し毛を逆立ててからそこに顔をぼふっとうずめる。
 うーあー。きもちぃー。


「うふぅっ!? ふぅーっ、ふー……」

 あ、ごめん。ちょっと刺激が強かったのかな?
 少し強めにぶるるっと震えた後、ふるふると震えながら呼吸を整えてる。

「ちょっとやり過ぎたかな? カトリーヌさん、離れてあげよう」

 カトリーヌさんを促してから頭を踏んで飛び立ち、少し離れて振り向く。

「はい。あ、最後に私も……」

「んぅっ!?」

 私と同じ様に顔を埋めて、更に深呼吸までするカトリーヌさん。
 おいおい、モニカさん大丈夫か?


「ふぅ、堪能させて頂きました」

「モニカさん、大丈夫? 歩ける?」

「はい、大丈夫です。何も問題は御座いません」

「いや、すっごい足元ふらついてるけど……」

 脚に全然力が入ってないぞ。
 まぁ大丈夫って言ってるんだし、そっとしておこう。
 実際一応歩けてはいるし。

 ……っていうかよく考えたら、アリア様を待たせておいて何遊んでんだ私は。



「ふー、こんなものかな」

「はい、これだけあれば十分かと。お疲れさまでした」

 瓶の蓋をキュッと閉めるモニカさん。

「あ、モニカさん口開け」

「はい!」

 かなり食い気味に返事をして、あーんと口を開くモニカさん。
 こっちの言葉を遮るのは良いのか? いや、私は別に気にしないけどさ。


「はい、ありがとうございましたー」

 蜜を数滴集めたボウルをポーンと口の中に放り込み、着地前にボウルを消す。

「はぁぁ…… ありがとうございます!」

「……モニカさん、もう一度お口を」

 蜜をしっかりと味わって礼を言うモニカさんに、カトリーヌさんが口を開くよう要求する。
 んー、あれダメな感じだな。


「待ってモニカさん、開けちゃダメ。飛び込もうとしてるから」

「は、はい」

「バレましたか……」

「だって顔が完全にそんな感じだったんだもん。毒だからダメって言ったでしょー?」

「あ、そうでしたわね。気を付けます」

 ソニアちゃんやめーちゃんが大丈夫なのは、あっちが特殊なだけなんだからさ。
 相手に被害が出ちゃうのはダメでしょ。

 ……いや、ついさっき撫でまわしてふらふらにした私が言うのも何だけど。



「おぉ、戻ってきたな」

「お待たせしました。モニカさん、蜜をお願いします」

「はい。姫様、どうぞ」

「うむ、確かに。……よし、確認してくれ」

 何やら紙にサラサラッと書いてこちらに見せる。
 あー、受け取ったよってサインか。

「あ、はい」

「うむ。ではコレット、頼む」

 コレットさんがそっと近寄って紙を受け取り、薄い木箱に入れて私の物置に収めた。
 まぁ私より大きな紙だし、家の中には置けないか。


「ところで、皆は何を…… っていうかコレ何ですか?」

 何やら木製のごちゃごちゃした機械がテーブルの上にある。

「む、見た事が無いのか? これは布を織る機械だ」

「いえ、それは何となく判りますが…… なぜここに?」

「今作った。時間が無かったので簡素な物だし、見栄えも良くないがな」

「いや、あの短時間でこんなものが作れるって言うのが凄すぎる気がしますけど」

「何、慣れだ慣れ」

 むぅ、スキルを伸ばせば不思議じゃなくなるんだろうか……
 いやそもそも私、生産スキルはまだ何も持ってないんだけどさ。


「というか何でそんな機械を?」

「ラキが糸を出しているのを見て、これを使って布を作れるんじゃないかと思ってな」

 あー、まぁ確かに出せるけどさ。
 思い付きでこんなの作っちゃうのか。

「試してみるための縦糸はこちらで用意しておいたから安心しろ」

 あー、セットしてある大量の糸はアリア様の私物か。
 ……いや、どう安心しろって言うんだそれは。


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