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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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152/733

152:もちもちしよう。

「んもー、ゆっくりって言ったでしょう? なんで一気に行っちゃうかなー」

 エリちゃんのうなじから唇を離してカトリーヌさんに注意する。
 危うく私まで一緒に死んじゃう所だったし、ちゃんと言っておかないとね。

「も、申し訳ありません。少しやる気が空回りましたわ……」

「まぁ止められたからいいけど…… エリちゃん、体は大丈夫?」

 胸の辺りが倍くらいに膨れ上がってたからなぁ。
 っていうかなんか服伸びてたのに、ちゃんと元に戻ってるぞ。
 これも謎仕様か?


「……んふぅー」

 返事が無く、ただ満足げな息を吐く音だけが返ってきた。
 これは大丈夫ってことで良いんだろうか。

「だ、大丈夫? なんか風船みたいに膨らんでたけど……」

「あはハぁー。大丈夫大丈夫ゥー。なんか変な感ジだけど生きてるヨー」

 いや、なんかあんまり大丈夫じゃなさそうなんだけど。
 溶けた時みたいにちょっと声が濁ってるし。


「本当に大丈夫? ……ひぃっ、なんかクニュってしたぁ!?」

 近づいてエリちゃんの肩を指でつついたお姉ちゃんが、感触に慄いて飛び退く。
 なんか抵抗なく第一関節までズブッと入っていったな。

 ちょっと気になったのでつま先を立てて押し込んでみる。
 うわっ、ほんとだ。ちょっとだけ抵抗があるけど私の力でも押し込める。
 おー、すごい。足首までエリちゃんに埋まっちゃったよ。
 ちょっとぬくい。


「失礼します…… おぉ、これは柔らかいですね。吸い付くような感触です」

「もチ肌ー」

「いや、そういうレベルじゃないと思うけど……」

 お姉ちゃんが引き抜いた指先を見ながらツッコむ。
 なんだ、カトリーヌさんの時みたいになんか付いて来てないか気にしてるのか?


「おー、凄いですね」

「ワー。すっゴいのびるネー」

「いやいやレティさん、何で摘まんで引っ張ってるの」

 声を聴いてそちらを見ると、レティさんがエリちゃんの二の腕の皮を摘まんで伸ばしていた。

「いえ、柔らかいなぁと思いまして少し試しに。……まだ伸びますねぇ」

「どこマで行くかナー?」

「うっわ、もう私より長いじゃん。それ、ちゃんと元に戻るの?」

 私よりというか、既に三メートル位伸びてる。
 もうちょっとでカトリーヌさん二人分だな。


「あっ」

「アッ」

「あっ…… えーっと、血が出てないって事は大丈夫……なのかな?」

 引っ張っていた皮が中ほどでプチンと千切れて垂れさがる。
 うん、痛がる様子もないし血も出てないな。


「済みません、調子に乗り過ぎた様ですね……」

「いーヨいーよ。なんか痛ク無いし、伸びたのモ戻って来テるし大丈夫でショー」

 あ、ほんとだ。伸びて垂れてたのがちょっとずつ縮んでいってる。
 お姉ちゃんが開けた穴も、へこんだところが戻ってきて元に戻ってるな。


「ソれどうしヨ? なんかグニグニしたラ、クっつかないかナー?」

「ダメ元でやってみますか」

 摘まんでプラプラさせていたエリちゃんの一部を、千切れた所同士を合わせて指で揉むレティさん。
 私で吐いた割には、あんまり抵抗なくそういう事するんだな。
 慣れてきてしまったんだろうか……


「お、なんカついたっぽイよー」

「良かったです。おぉ、一緒に戻っていきますね」

「そんなんで良いんだ……」

 元通りの質感になって少しづつ体に戻っていってる。
 なんか雑な体になっちゃってるなぁ。
 【妖精】の魔力が半端に染み込んじゃったせいだろうか。
 ……いや、それ以外の理由が何も無かった。


「ちょっト、手ー握って引っ張ってミてー?」

「はい、良いですよ。……おぉー」

 うわぁ、すっごい伸びてる……

「わーい、腕長ーイ」

「ごめん、凄い言い辛いんだけどちょっとこれは……」

 お姉ちゃんが暗に気持ち悪いと言う。
 まぁ左腕だけが細長く伸びてたら仕方ないわな。
 アレもう立ってても地面に手の平付いちゃうだろ。


「モーいーよー。それ以上ヤったらまたプちって取れちゃイそうだシー」

「はい。腕は動かせますか?」

「ンー、だめだー。全然上がらないネー」

 まぁそりゃ無理だろう。
 レティさんが引っ張るのやめて止まったら、細くなった分柔らかいのか重力に負けて垂れ下がり始めたし。


「ドーしよ。とりあえずてキとーにまとめて、この辺に投げトいてくレルー?」

「はい、解りました」

 握手していた左手を離し、手首を持ち直してロープを回収するようにヒョイヒョイと輪っかを作りながら戻って来るレティさん。
 ……それ巻いちゃって大丈夫なの? まぁ駄目なら自分で言うか。


「ふムー。これで両手足を延ばせば、私も夢ノないすばでー」

「いや、動かせないし戻っちゃうでしょ」

 っていうかそこに束ねられた腕の成れの果てを見てると、妖怪みたいになった姿しか浮かばないんだけど。
 いやそんなに伸ばさなきゃいいだけだろうけどさ。

「うん、言っテみただケー。これ、根元かラちょっと引っ張っテ離しタら、シュルシュルって戻らなイかな?」

「いやいやいや」

 昔の掃除機か何かか。


「あハハ、冗談じょーダんー。とこロでユッキー、埋まってるけどだいジョぶー?」

「へ? ……おわぁ!?」

 知らない内にめり込んだ右足の周囲が元に戻って、まるで同化したかのようにすっぽり包まれてた。
 なんとか引き抜い、ってわー!? 右足を引き抜く為に踏み込んだら、左足も埋まったー!!

 片方を引き抜こうとしてもう片方に力を入れると、その分だけズブズブと埋まっていく。
 どうしよう、もう膝まで入っちゃったぞ……


 負荷を分散させようと、前のめりになって手をついてから脚を上げてみる。
 ……うん、まぁね。埋まるよね、手。

 あれ、これヤバくない?
 このまま沈んでいって顔まで行ったら、息も出来なくなるぞ?


「雪ちゃんがエリちゃんに寄生したみたいになってる……」

「してないよぅ! たーすけてー」

「わ、私が触ったら上と下に別れちゃうかもだけど……」

「やめてよね!? うー、カトリーヌさん見てないで引っ張ってー……」

「は、はい。……抜けませんわね」

 カトリーヌさんが後ろから腰に手を回して、【浮遊】で引っ張ってくれるが中々抜けない。
 でも少しは出てきてるし、このまま頑張れば抜けるかな?


「カトリーヌさん、少し離れてもらって良いですか?」

「はい。私では力不足な様なので、お願いしますわ」

「ん? おわっとっと。……おー、抜けたぁ。ありがとうレティさん」

「どういたしまして」

 カトリーヌさんが離れてすぐに、レティさんの人差し指と中指がお腹の前に回され、ゆっくりと引き抜いてくれた。
 流石に人間の力は違うなぁ。
 私の腕や脚がもげない様に力と速度をきっちり加減出来るのは、レティさんならではかもしれないけど。


 ……あれ、よく考えたらそのまま溶かしちゃえば良かったんじゃ?


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