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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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151:布を敷こう。

「あれ大丈夫かなー……」

 たまにふらつきながらも、その度にシルクにさわさわされてビクンとバランスを立て直しつつ訓練所から出ていくアヤメさん。
 どこをどう触ればアヤメさんがどう動くのか、だんだん把握してきてないかあれ。


「うん、まぁ、大丈……夫? じゃない、かな?」

「その答え方、大丈夫じゃないって言ってる様なもんじゃない?」

 お姉ちゃんがすっごい自信なさげに言うけど、大丈夫っぽさがまるで無い。

「どーする? みーちゃんに頼んで付き添ってもらった方が良いかな?」

 みーちゃん……あぁ、魔人さんか。
 うーん、どっか途中で行き倒れててもマズいしお願いしたほうが良いのかな?


「いえ、アヤメさんでしたら大丈夫ですよ。しばらくの間二人っきり……いえ、一人にして差し上げましょう」

 何やら満足げな笑顔のレティさんが、椅子と飲み物を片付けながらエリちゃんを止める。
 なんだなんだ、何で言い直したレティさんよ。
 まぁこんな大勢の前であんな姿を晒したら、一人にして欲しくはなりそうだけどさ。

「さぁさぁ、それよりもこちらはこちらのやる事を進めましょう」

 パンパンと手を叩き、滞っていた進行を促す。
 おぉ、良い音させるな。手を叩いて綺麗な音を出すのって、意外と難しいんだよね。
 いやそんな事はどうでもいいな。

 なんかさっきから妙にレティさんの押しが強い気がするけど、私の気のせいだろうか。
 まぁいいか。皆を待たせてるのは事実だし。



「うん、それじゃ本来の流れに戻るとしようか」

「はい。ではエリちゃんさん、座って頂けますか?」

 いや、エリちゃんさんて。
 まぁ別に本人が何も言わないみたいだからいいけどさ。

「ほいほーい。あ、そうだそうだ。この時の為に準備してたの忘れてたよ。ちょっと待ってねー」

 ん? エリちゃん側でする準備って何だ?
 防具は最初からつけずに初期装備の服だから、忘れてたって事は無いだろうし。

 ……なんか鞄からでっかい布が出て来た。
 いや、でっかいって言っても十五メートル四方くらいか。
 ばばーんって言いながら上を持って広げてるエリちゃんの足下までは届いてないし。


 なんか妙につやつやした布だけど、水を通さない加工がしてあるのかな?
 溶ける時の為の敷物だろうか。
 あ、良く見ると四隅に穴が開いてて、広がらない様に金属の輪っかで補強してあるぞ。
 なんかブルーシートみたいだな。

「でー、更にこれだー」

 ん、まだ何か……棒を四本? なんだあれ、テント用の鉄杭かな?
 片方が尖っていて、もう片方はあの布をひっかける為かフックの様になっている。
 でも結構長いし、あそこにひっかけると真ん中くらいしか地面につかないんじゃないか?

 ……いや、そんなのはどのくらいの間隔で刺すかによるか。


「これをー、これでー、どーん!」

 更に鞄から取り出した大きな木槌を、地面に軽く突き立てた杭の頭に叩きつける。
 おぉ凄い。一発でしっかり刺さってる。
 てかフック状の半端な形なのに、そんな力で叩かれて変形しない杭も地味に凄いな。

 それを四回繰り返し、満足げに頷くエリちゃん。
 目測の割に、結構綺麗な四角が描けてるな。


「でー、ひっかけてー…… よし、おっけー!」

 布の四隅をフックにひっかけ完成らしい。
 でも普通の四角い布だから、ちゃんと袋状になってないな。
 まぁ多分、そんなのを用意する時間が無かったんだろうけどさ。

「おっとと……あぶなー。うん、いいよー」

 もぞもぞと靴を脱いで、足をパンパン払ってから端をまたいで入っていく。
 布が少し浮いたところを踏んで、バランスを崩しそうになってるぞ。
 何とか転ばず立て直して中央に座り、下を向いて首を露出させる。


「このセットは何なの?」

「あー。こうしておけばさ、とろーって広がらずに真ん中に集まって飲みやすいかなーってね」

「あぁ、なるほどー」

 まぁ別に無くても飲めるけど、そういう気遣いはありがたいね。
 あとこれなら砂とかも混ざらないし。

「しかしこれでは、動けても脱出出来ないのでは?」

「いや脱出する必要は無いよね? その場で動いてみればいいじゃないの」

 別に誰かに襲い掛かる訳じゃないんだからさ。
 まぁカトリーヌさんくらい動けたら、低くなってる所から簡単に抜け出せそうだけどね。


「まー動けるって知ったのさっきだし、そもそもあんまり動ける自信も無いしねー。まずあの感覚に耐えなきゃ話にならないんでしょ?」

「あー、そうだろうね。カトリーヌさん、動く前から普通に会話出来てたし」

「ですわね。慣れればなんとかなるのではありませんか?」

「んー、頑張るよー。さーこい、覚悟は十分だぞー」

「はい。動かないでくださいましね?」

 エリちゃんがうなじをペチペチ叩き、手を引っ込めた後にカトリーヌさんがひっつく。
 一応サポートとして私も引っ付いておこう。



「それでは、行きます…… えいっ」

「いやいや多い多い多い!?」

 待ってカトリーヌさん、何でゆっくりって言ったのに気合いと共に注入したの。
 エリちゃんの胴体がプクゥッと膨らんだのを見て、慌てて【吸精】で吸い出したら何とかしぼんでくれた。

 咄嗟にやったけどなんとかなるもんだなぁ。
 でもこれ、膨れ方からして明らかに変質してるけど体は大丈夫なのかな。


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