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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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14:お菓子を貰おう。

「それでは、こちらの球に手を触れて下さい」

 書き終えたライサさんが横の机から水晶玉のような物を持ってきて、書き込んだ紙を乗せた。
 おぉ、紙が光って消えた。読み込んだって事だろうか?


 自分の身長に近い大きさの、半透明な球に両手で触れる。

 球に触れた所から何かが体に入ってきて、ぐるっと回って出ていく感じがした。
 何これ気持ち悪い。

 一瞬の感覚の後、球が軽く光った。 まぶしっ。


「はい、完了です。離して頂いて結構ですよ。
 これで【浮遊】と【吸精】を使っても問題ありません」

 やった。早速試してみよー。
 ……ライサさんがめっちゃ見てる。はしゃぎすぎた。


 着地して頭を下げておく。

「すいません、ちょっと浮かれました」

「おっ、浮遊だけにか?」

 アヤメさんうるさい。

「いえ、問題ありません。ところで」

 ん?


「お菓子でもいかがですか? お連れの方も一つずつどうぞ」

 机の下から金平糖が入った箱が出てきた。何故だ。

「あら、ありがとうございます」

「おっ、砂糖は貴重だから嬉しいねぇ。ありがとう。 ほら、ミヤコも」

「わーい」

 あんたは子供か。


 私もお礼を言って箱から一粒貰う。リンゴサイズの金平糖かー、地味に重いな。
 貴重らしい甘味を一杯食べられるのはちっちゃい体の利点だな。
 むしろこんなに食べられるだろうか。

 舐めてみる。あまい。
 のはいいんだけど…… なんかガン見されてるんですけど。

「美味しいですか? どうでしょう、沢山上げるので私の家まで一緒にグッ!?」


 なにかおかしな事を口走り始めた瞬間、ライサさんの背後から首に腕が回され絞られる。
 あ、落ちた。

 そのまま引きずられて奥の扉へと消えていった。
 なにこの役場こわい。


「失礼しました。先ほどの手続きは完了しておりますので、手数料として銅貨四枚をお願いします」

 入れ替わりで別の人が何事も無かったかの様に引き継いだ。
 あれは日常風景なんだろうか……

 銅貨は持っていないので銀貨を一枚取り出す。

「はい、確かに。こちらがお釣りです。お確かめください」


 おおう、そうだった。
 銅貨九十六枚も持てないぞ。ボックスに放り込むにも時間がかかる。
 っていうか入るだろうか?鞄を併用すればギリギリいけるかな。

 一旦お姉ちゃんに持ってもらっておいて、後で頑張って入れよう。
 私の声が聞こえないであろう職員さんに誤解を受けない様に、ジェスチャー混じりにお願いしておく。


「他にもご用件がございましたら承りますが」

 大丈夫だと(アヤメさん経由で)告げてその場を離れる。金平糖はボックスに入れておこう。
 やっぱ飛べてもついていくので精一杯だな。
 でもついていけるって事は私の感覚だと四十キロ位は出てるのかな? 凄いな【浮遊】。
 でも絶対に下は見ない。怖いから。

「しかし何だったんだあれは…… まぁいいか。とりあえず食堂に行こう」

 ライサさんの衝撃が抜けきらないアヤメさんの先導で食堂に向かう。


 食堂の扉も開放されていた。
 おぉ、結構広いな。 この体だといまいち広さが掴めないけど五十人は余裕で入れそうだ。
 いや、貴族の邸宅の食堂って考えるとそうでもないのか?基準が解らない。
 まぁどうでもいいか。


 席に着いたら店員さん(職員さん?)が注文を取りに来た。

「皆お茶でいいよね? 四つお願いします」

 待て待てお姉ちゃん。一人分なんて無理だって。

「いや、三つでお願い。ミヤコ、あんたいい加減に妹のサイズを理解しなよ」

「あぅ。今のはただのうっかりだよ」


 追及しても仕方ないのでとりあえずお金を置いてもらって片付けよう。

 まずは鞄から銀貨を一枚残して全部ボックスへ。
 そして鞄に出来るだけ銅貨を詰めていく。九枚で打ち止めだった。
 やっぱり銀貨と同程度の容量を使うようだ。

 さて、残り八十五枚。
 お世話になったのもあるし、ここの支払いを持たせてもらって六枚をお姉ちゃんに渡しておく。


 そこから私の戦いが始まった。
 一枚十キロ近い銅貨を持ち上げてボックスへ押し込む作業の繰り返し。

 見かねた皆が手伝ってくれようとしたが、私の手で入れないと入らないらしい。
 世界は妖精に厳しい。


 三十枚ほど入れた所でお姉ちゃんから、

「私の指の上に乗っけておいて、雪ちゃんが手で持ってずらして落とし入れてみるのはどうかな?」

 という案が出たので試してみたら上手くいった。

 そこからはかなりペースを上げて入れていく事が出来た。
 一回お姉ちゃんが手を滑らせて私に向けて銅貨を飛ばしてきた時は死ぬかと思ったけど。


 十分ほどかけて全ての銅貨を入れ終わる。腕が疲れたー。喉かわいたー。
 と思ったら目の前に何かが差し出された。

「よろしければ、こちらをどうぞ」

 レティさんがティースプーンで少しだけお茶を掬って出してくれた。
 この人、気遣いスキルが尋常じゃないんですが。

 先端部分から少し飲んでみる。疲れた体にお茶が美味い。

 ニコニコと見てるお姉ちゃんはスルーだ。スルー。
 餌付けされてる小動物を見るような目で見るな。


 さて、落ち着いたところで話を再開しよう。

「えーっと、何まで話してたんだっけ?」

「雪ちゃんの【応援】が見たいっていう話」

「却下」

 両手で×を作っておく。


 少しはこっちからも聞いておこうか。

「そういえば皆の職業ってなんなの?種族は見た目で大体解るけど」

「私たちの職業か。まず私は【獣人(兎)】の【斥候】だよ。
 三人だけで組む時は回避系の前衛担当だ」

「私は【獣人(狐)】の【魔法師】。後衛で火力担当だよ」

「私は【魔人】の【癒術士】です。回復や補助などの支援担当ですね」

 大体見た目とイメージの通りだった。
 お姉ちゃんが誤爆しそうな気がしたけど、普通のテンションの時は落ち着いてるから大丈夫だろう。


 ……多分。


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