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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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135/679

135:迎え入れよう。

「ふぎゃっ」

 おいおい、受け身くらい取ろうよ。
 いくら下が芝生とは言っても、別に柔らかくも無いんだから普通に痛いだろうに。

「あー、大丈夫ー?」

「けほっ…… う、うん。んもー、恥ずかしいなぁ……」

 まぁ落ちたの一人だけだからなぁ……
 アヤメさんは笑ってるし、レティさんは手で口元隠してるし。


「んー、それじゃここに座ってー」

 地面に伸ばしていた右手をひっくり返し、手の平を上にして地面から少し浮かせた。
 指を第二関節で曲げてるのは手すり代わりかな?

「むー、トロい子って言われてるみたいで悔しいけど、もう一回落ちるのも嫌だからなぁ。ありがとね」

「そりゃあんた一人だけ無様に落ちりゃ、トロく思われもするだろ」

「無様とか言わないでよぅ……」

 辛口だな、アヤメさん。



「さー、みんなちゃんと掴まったかなー? あ、髪掴んでもいーよー」

 めーちゃんの問いかけに全員が大丈夫だと答える。
 お姉ちゃんも指先をしっかり掴んでる。

「うふふー。よーし、それじゃー立つよー。はーい、上にまいりまぁーす」

 ミシミシときしむ音をさせ、ゆっくりと立ち上がっていくめーちゃん。
 おー、人を四人乗せてても全く問題無いみたいだな。


「しかし、乗ってる方はともかくめーちゃんはなんであんなに嬉しそうなんだ?」

 上がっていくのがちょっと怖いらしく必死に指先に掴まっているお姉ちゃんを見ながら、アヤメさんが呟く。

「あー、人間はちっちゃくて可愛いって言ってたよ」

「まぁあんだけデカけりゃ普通の人間なんて園児か赤ちゃんみたいなもんだろうけどさ」

「なんとも羨ましい限りです」

「うぉわっ!?」

 いつの間に後ろに来てたんだよモニカさん。
 二重に聴覚が強化されてるアヤメさんでも察知できないとかどうなってんだ。


「モニカさん、びっくりするから普通に出てきて下さいよ」

「申し訳ございません。つい癖で」

 なんで庭師やってて気配を遮断する癖が付くんだよ。

「まぁそれはともかく、自分からは触れないから遊んでもらうのが嬉しいみたいだよ」

「あぁ、まぁあの動きじゃねぇ」

「それにでっかいから、迫っていったら怖がられる事も多いだろうからね。私と違って普通は慣れてないから」

「確かにな。デカいのに迫られるっていうと大抵は敵だし」

「実際一回木の姿で撫でようとして、燃やされそうになったって言ってたよ」

「そこはせめて人型で行けよ……」

 やっぱり普通はそう思うよね。


「あ、でも根っこだけは速かったよ」

「あー、あんたが刺された奴ね」

「うん。まぁ刺されたっていうか真っ二つになったっぽいけどね」

「いつもながら脆い体してんな」

 あぁいや、太かったから収まりきらずに千切れただけで、刺されたってのには変わり無いか。



 あー、そういえばカトリーヌさんはシルクに殺させずにめーちゃんのエサにすればよかったな。勿体ない。
 あ、でもスキル登録してないから【養分吸収】は使えないか。
 うーん、すり潰して土に肥料として混ぜておけば……

 ……っていやいや待て待て待て待て!
 何考えてんだ私は。というかエサってなんだ。
 別にめーちゃんはペットとかでは無いだろ。

 む、私が変な事を考えて動揺してる間に、めーちゃんは立ち上がり終わったみたいだ。
 ちょっと行ってみよう。


「おー、高-い。良い眺めだなー」

「わ、わ、ちょっと怖いね」

「三階くらいかな? 他に何も無いから余計に高く見えるねー」

 少し怖がりつつも概ね楽しんでるみたいだな。


「おぉ…… ゆ、揺らさないでね……」

 大喜びで来た割に怖がってるな、お姉ちゃん。
 まぁそんなに広くないし、足も付いてないから結構怖いか。

「んー? ……うふふー、それー」

「えっ、やー!?」

 おお、めーちゃんやるな。
 オドオドしてるお姉ちゃんを乗せた右手を、まっすぐ上に伸ばしたぞ。
 高いなおい。


「うー、ひどいよー」

「んー、ごめんねー。なんかついねー」

「いーなー。見晴らし良さそー」

「確かに良いけど、それ以上に怖いよぅ…… あれ、あそこに居るのって仲間の人達じゃない?」

 あ、本当だ。遠くで兎さんがこっちを指差してるのが見える。


「げぇっ、やばっ!?」

 おいどうした熊さん。
 もしかして何かやらかした挙句に連絡なしでこっち来たのか?

「ちょっとごめんよっ!」

「んー?」

 めーちゃんに一声かけて顔の前に回り込み、耳を持って鎖骨に足をかけしゃがみこんで隠れる。
 おいおい危ないな。ちょっと間違えたら転落してるぞ。

 兎さんたちは三人でこっちに向かって走って来てる。
 でもこのままじゃ門の所でモニカさんに殺されちゃうな。
 いや、流石に無理矢理押し入ろうとはしないか。


「モニカさん、この熊さんのお友達が来てるから通してあげて下さい。魔人と兎と人間の三人組です」

「承知しました」

「うー、ヤバいヤバい。どうしよ…… あの人、入口で止めてくれないかなぁ……」

 あぁ、私の声聞こえないから逆の理由で向かったって知らないんだな。


「とりあえず何とか降りて……あっ」

 足元の鎖骨に手をかけ、片足ずつ下に降ろしていく熊さん。
 しかしめーちゃんの胸部は出っ張っているので、両足が宙に浮いてどうしようも無くなったらしい。
 ネックレス……いや、ネクタイみたいになってるけど何やってんだこの人は。

「たーすけてぇー」

 ジタバタ足を動かしてみるも、余り効果は無い様だ。
 っていうかあんまり暴れると手が滑るぞ。


「んー、両手がふさがっちゃってるからなー」

「私が肩に乗れば左手が空くんじゃないかな。そっち回ってくれる?」

「ごめん、ちょっと怖くて無理ぃ……」

「そんなー!?」

 うん、まぁ高くて滑る足場で回り込むのは怖いわな。
 乗った時みたいに頭を下げてないから、手を離して上を通るか足元に何もない前後どちらかを通らないといけないし。


「おいこらぁーっ! ……っていや、なにしてんのお前」

 怒鳴り込んでくるなりよく判らない状況を目にして戸惑う兎さん。
 うん、まぁこれは仕方ないよね。普通こんなことになってるって思わないし。

「たすけてー」

「はぁ…… 怒る気も失せるよこんなもん」

「うん…… あ、やっほー」

 とりあえず当面の危機は回避したみたいだな。
 まぁ説教は残ってるだろうしそもそも落下の危険から脱出するのが先だけど。
 魔人さんは上の女の子と知り合いらしく、手を振っている。
 とりあえず挨拶するか。


「こんにちはー」

「あ。こんにちは、妖精さん。入れてくれてありがとうね」

「いえいえ。で、この人今度は何したんですか?」

「今度はでっかい食虫植物に自分から飛び込んで行きやがったよ。ウツボカズラみたいな奴」

 そういえば出てくるなり「あれもダメか」とか言ってたな。
 本当にダメだなこの人……


「なんていうか申し訳ないです」

「うん、悪いのはそこでぶら下がってるバカだから気にしないで」

「バカでいいからとりあえず降ろしてよー」

「うっせぇ、そのまま反省してろ」

 おぉ、おじさん厳しい。
 ただそこ、人の体の上だからね。


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