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VRMMOで妖精さん 作者:しぇる
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123/678

123:養分をあげよう。

 またミシミシときしむ音がするのでどうしたのかと思ったら、右手を横にしてお腹の前に配置していた。
 近くまで登っていた珠ちゃんが飛び乗り、転がって体を休めている。
 あぁ、珠ちゃんの休憩所か。一度に登るには高いもんな。
 しかし手の平に完全に収まってて、凄くちっちゃく見えるなぁ。
 まぁ実際は私よりよっぽど大きいんだけどさ。

「にゃんこ、かわいいよねー。でもこの体じゃ撫でたり抱っこしたり出来ないから、体の上で遊んでもらうくらいしかできないんだよねー」

 私が下を覗いているのを見てめーちゃんが言う。

「まぁ確かにこの大きさとスピードじゃ無理だろうねぇ」

「んー。こんだけでっかいと普通の人もちっちゃくてかわいく見えるんだけどさー。力加減を間違えると危ないし。大きすぎて怖がられちゃうんだよねー」

「そりゃねぇ。私はもうサイズの差にも慣れたけどさ」


「一度木の姿のままで通った人を撫でようとしたら、危うく燃やされる所だったよー」

「いや、そりゃそうでしょ……」

「謝ったら敵じゃないって気付いてもらえて、思いとどまってくれたけどねー」

 というか木のまま撫でるって枝で殴ってるだけじゃないか?
 せめて声をかけてから人の姿で行きなさい。


「しかし、よくその種族で続けようと思ったね」

「いやー、白雪ちゃんは全然他人の事言えないと思うよー」

 うん、確かにそうなんだけどさ。

「まー、私の場合はピッタリだったからだねー」

「ピッタリ?」

「いやー、現実の生活がせわしないからVRでのんびりしようと思って始めたんだけどねー」

 なぜのんびりしようと思って開拓するゲームを……
 いや、町で色々やって支援に回るプレイもあるか。


「ここでぼーっとしてるのも、案外楽しいもんだよー。色んな感覚を強化してるから、意外と暇しないしねー」

 あぁ、【聴覚強化】も暇潰しの為に取ったのか。

「たまに盗み聞きみたいになっちゃうのは悪いと思うけどねー。木の姿してるせいで誰も居ないと思って、変な独り言を呟いてる人が通ることもあるし」

 あー……
 ふと思いついたしょうもない言葉とか、つい口に出したのを聞かれてたら恥ずかしいだろうな。


「それに元々そんなに動き回る気が無かったから、この体はほんとに楽でいいよー。姿勢を保つための力さえ必要ないしー」

 まぁそりゃ木だし。無理に動かさなきゃそうそう変形しないよね。

「まぁその分、動くと凄くお腹減るんだけどねー」

「え、変形した上に動いてるけど大丈夫なの?」

 っていうか食べ物はどうしてるんだろう。
 そもそも何を食べるんだ?


「んー。この位なら大丈夫ー。あんまり動いて養分吸いすぎたら本気で追い出されちゃうから、気を付けないとねー」

 あぁ、地面から吸ってるのか……
 そりゃ畑の横で養分吸われたら農家も怒るわな。

「まぁ今も結構危ないっていうかー、どっかいって欲しいとは思われてるっぽいけどねー。水撒きのついでに一応お水くれるんだけど、わざわざバケツで『出ていけー!』って感じに幹にぶっかけられるしー」

 でも一応ちゃんとかけてはくれるんだな……


「あとこの形になってると、緑の部分が少なくてあんまり光合成できないんだよねー」

 緑……? あぁ、髪の部分か。
 確かに木だった時に比べると無いに等しいな。

「まぁあんまり広げて日光を独り占めしてると、それも嫌がられちゃうんだけどねー」

 作物に日が当たらなくなっちゃうのか。
 それはちょっと困るだろうな。


「一回調子に乗ってどこまで伸ばせるか試してたら、おじさんが笑顔で園芸用のおっきなはさみを持って近づいて来てさー」

 怖っ。

「ちょっと怒られて先っちょ切られちゃったよー。まぁ斧じゃなかっただけ優しいよねー」

 うん、まぁそりゃそうだけどさ。
 よくその時に追い出されなかったな。


 お、珠ちゃん登って来てる。
 ……ってなんてところで休憩してるんだ。そこまで登ってきたなら肩で良いじゃないか。
 ぐぬぬ。

 休憩は終わりなのかトンッと肩に飛び乗り、その勢いで横顔を駆け上がって登頂した。
 凄く痛そうに見える……
 まぁ何も言わないし大丈夫なんだろうな。

 頭のてっぺんにピシッと座って、やり遂げた顔になってる。
 あ、左肩に飛び降りた。うわ、見てて怖いな。
 そのまま腕を伝ってこちらに歩いてくる。


「よく頑張ったねー。えらいぞーっとっとっと……」

 私の所まで来たらスピードを落として、ゆっくりと横顔を背中に擦りつけて来る。
 うん、私は飛べるからいいけど、そうじゃなきゃ突き落そうとしてるようなもんだぞこれ。
 まぁいいか。

 今度は最初からちゃんと出来たので、なでなで増量だ。
 この調子で頑張るんだぞー。



 とりあえず後ろで日向ぼっこしててもらい、話を続ける。

「そういうわけで、他の種族みたいにご飯の心配も要らないんだよねー。自重が大事だけどー」

「まぁあくまでも他人の土地にいるんだしねぇ」

「んだねー。好き勝手したかったら何とかして自分の土地を買って、お世話してくれる人を探さないとだもんねー」

「動けない体じゃハードルが高すぎるねぇ。あ、そういえば【妖精魔法】に【施肥】ってのがあるんだけど試してみる?」

「おー、なんか良さげー。ちょっとやってみてー」

「はいはーい。えいっ」

 植物の体とはいえプレイヤーに使ってどうなるか判らないから、少し威力は下げておいた。
 使うのはHPだけど、魔法だからか調整は出来たな。
 よく解らないけどまぁ助かる。

 魔力を流し込んだ時みたいに爆散されたら本気で困るからな。
 私じゃここまで連れてこれないよ。


「おー! すごーい! おいしー!!」

 あれ、普通に好評だな。というか味とかあるものなのか。

「地面から吸うのよりも、すっごい良い感じだよー」

「それは良かった。まだ使えるけどどうする?」

「一杯ほしー! これならあんまり吸わなくて済むよー。助かるー」

「それじゃどんどん行こうか。要らなくなったら言ってねー」

「はーい」

 うん、妙な所で役に立ったな。
 【大洪水】でお水もあげられるし、【妖精】と相性いいのかな?

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