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剣城來斗は異世界転生で一国の王の子供に!? 作者:結城斎太郎

第一章

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6 VS:シロウェル・テルカナ【Ⅱ】

 身体能力が上がった俺は、シロとの距離を詰めて懐に潜り込んだ。雷速………まではいかないが、それなりの速度での移動は可能だった。更に、距離を詰めるときに体中から煙が噴き出したため、それによってシロの視界が遮られた。
 その隙にシロの顔面を思い切りぶん殴った。煙の中から突然拳が出てくるのだから、かわせるわけも無く普通に食らった。威力の高さのため、シロは数十メートル離れた壁まで吹き飛んだ。壁に当たったダメージもあり、シロは壁に寄り掛かる体勢でぐったりとしていた。


「カハッ……………強ぇ…………何なんだ………ありゃ…………」

「凄ぇ………力だ。俺って、こんなことも出来たのか………てか、何で俺がこれを出来ることをアルアは知っていたんだ?」


 俺はシロを殴った後、自分の燃える両手首を見つめる。俺自身でも知らなかった力をアルアは何故、知っていたのだろうか。あの時に「中途半端な火力の炎」って言われたときはグサッときたけど。ええ、どうせ俺の魔法は中途半端な火力ですよ。自分が一番分かってますから。
 でも、その絶妙な中途半端があったからこそ成し得た業だ。要はガッツリ火力を出せていたら、流石にタフな俺でも体が炎に耐えられなくなるって事か。そりゃ血液に炎を混ぜ込むなんていう無茶苦茶なことをする奴聞いたこと無い。

 シロは壁を背にしたままゆっくりと立ち上がった。鼻の辺りをおさえていた。おさえている手の指の間からは血が流れ出ていた。鼻血だろうが、出血量的に骨が折れていると見て間違いないだろう。シロの表情を見ると、朦朧としているのが分かる。

 しかし、そんな状態でも瞬間移動は出来るみたいで、その場所からパッと姿を消した。やっぱ『零番騎士団』に所属しているだけあって、追い詰められたときの根性が出ているな。勝つまで負けていないくらいの執念が滲み出ているのを感じる。


「ライトさん…………そろそろ終いにするっすよ?」

「俺はまだ楽しみたいんだけどなぁ~?勝手に終わらそうなんて…………」

「ぐへっ……………あがっ…………」

「お前に決めていいわけないだろ?」

「あぁ……………ッ!!!!」


 俺はシロの気配を何となく感じた方を振り向いて、シロの首を掴んだ。そして、首を掴んだまま地面にシロを叩き付けた。シロの首には俺の手の跡が焼き付いていた。そろそろ終い………ね………別に俺には相手をジワジワと痛め付ける、そんなサディスティックな人間では無い。
 あれだけ意気込んでおいて、早々と終わらせるなんて俺的には少しいただけないのだ。状況からしてシロが俺に勝つ事なんて無理に等しいだろう。


「はぁ………ひゅっ………!!がぁ…………うぐぐ………」

「喉が焼けて声も出せなくなったのか?」

「がぁ………はぁ………………!!」


 髪を引き千切られ、鼻の骨を折られ、喉を焼かれているのに、それでも戦い続けるシロ。俺のことを化け物呼ばわりしていたが、お前のその執念深さも十分化け物だよ。正直、俺のタフさよりもシロの執念深さのほうがヤバいよ。観客引いてるもん。悲鳴聞こえるもん。
 シロはもう目を瞑りたくなるような顔になっていて、俺は本当に目を瞑った。シロの顔が本当に見てられなくなったのではなく、意識を集中させるために目を瞑ったのだ。確かに、モザイクが要るんじゃないかってくらいひどい顔をしているが。
 「目を閉じるなんて自殺行為だ」なんて思う方が多数いると思いますが、意外とそんなことは無い。寧ろ五感の一つをあえて使えなくすることで、人の気配をより感じるようになる。個人差はあるが、俺はより感じるようにタイプの人間だ。

 耳を澄ませて、シロの動きを聴覚を感じ取ろうとしていた。観客の声の中に聞こえる、シロの動く微かな音を聞き分けた。既にシロの動きの音は聞き取れていて、何処で何をしているのかは把握している。後、妙に聞こえる音が少ないのは瞬間移動してるからだろう。
 瞬間移動している間は無音だが、する時と着地する時は音がする。その音の大きさで距離が分かる。俺は、この感覚を滅茶苦茶鍛えていたので、目視よりも正確に位置を知ることができる。レイムさん協力の下で行いました。

 音が小さくなったり大きくなったりしているのは、シロが隙を狙うために瞬間移動を繰り返しているのだ。そして、微かな風の音が耳に入った。俺は風の音を聞くと同時に目を開け、鉄パイプを素早く正面に突き出した。


「あが………………っ!!うがぎ………っ!!」

「クリーン………………ヒッツ♪」


 突き出した鉄パイプはシロのみぞおちに当たっていた。声が出せないシロは獣のようなうめき声をあげて口から血を噴出した。俺の体からも煙が大量に噴き出してた。思い切り力を込めたため、それに伴った量が噴き出したのだろう。その煙の影響で、この馬鹿広い大広間は真っ白になった。

 そして、煙が綺麗に無くなると、顔がマジで放送事故レベルまで悪化しているシロが目の前にぶっ倒れていた。なんか想像以上にひどい顔をしていて、思わず顔を逸らしてしまった。本当にモザイクをかけなくてはいけないレベルだ。観客の方から聞こえた声も、まず悲鳴だった。


「………………………………………………」

「アハハハ……………やり過ぎちまった………………」

「え、えっと……………医療騎士団を連れてくるので……………ライト様、観客の皆様は少々お待ちいただけると幸いです」

「はい、分かりました」



____しばらくお待ちください_____



「けほっ、けほっ…………………あ”っ……あ”っ……!!うっ、うん……!!よしゅ、声出るようになった」

「『よしゅ』ってなんだよ、『よしゅ』って」

「うるさいっすよ。さっきまで声出なかったんすから仕方ないっすよ」


 しばらく待ってもらっていた間に起こったことを簡単に説明すると、俺とシロが医療専門の騎士の数人によって傷を完治してもらっていた。その医療騎士の中にはアルアの姿があった。アルアは戦闘においてのイメージが強いが、使っている能力は魔法とされていないので、正式に騎士としての立場は医療専門の騎士となっているのだ。
 医療魔法の技術の高いので、こういう怪我人の治療には呼ばれることが多々あるのだ。破壊神と呼ばれている奴が人の怪我を治すなんて不思議なものだ。世の中って何がどうなるかなんて分からないなって本当にそう思う。


「まったく、何で破壊神って呼ばれる私が人の怪我を治しているんだ……別に嫌なわけではないが…………………」


 やっぱ本人もそう思うみたいだな。しかも、医療魔法の効率の良い使い方を他の騎士に教えているのだから、余計に複雑な気持ちなのだろう。
 アルアは俺とシロの怪我を直すと、騎士団を連れて階段を登っていった。途中、歩くのを止めて俺の方を見て、口パクで何かを伝えようとしていた。

 だが、俺には全く伝わらなかった。気配を感じるという第六感的なスキルは備わっているが、読唇術のスキルは俺に備わっていない。なので、口パクで伝えられても困る。
 しかし、唯一分かったのは口元が少し微笑んでみえたくらいだ。見間違えかもしれないが。だって、アルアが俺に微笑みかける理由なんて無いだろう。

 アルアの口パクを不思議に思いながら、俺はシロの方向を見る。シロは俺に負けた悔しさなのか、床に寝そべって唸っていた。唸っているというか、叫んでいるに近いか?


「あぁー!!マジで悔しいっす!!本当に強すぎる……………」

「お前の執念深さも異常だったぞ。自覚は無ぇだろうが、俺どころか観客も普通に引いてたレベルだぞ?」

「根性だけなら誰にも負けないっすよ!!」

「ほんと、口調もキャラが一緒だな。騎士でマジな体育会系の奴がいるなんて予想外だわ」

「俺に勝ったってことは、『零番騎士団』所属は確定しているもんすけど………いちおう、この後の試合もやるみたいなんで………頑張ってください!!」

「おぉ、ここまで来たら完全勝利(パーフェクト・ビクトリー)だな!!」

「その心意気っす!!」


 そう言って俺とシロは握手をした。すると、歓声が溢れ出した。次は、リクとの戦いか。アイツもアイツで簡単に勝たせてはくれないだろうが…………何が何でも勝ってやる。

 俺は落ちている鉄パイプを拾って専用の休憩室に向かった。シロが後ろか抱き着いてきたので、そのまま一緒に向かった。てか、凄い暑い…………後、コイツ超汗掻いてるから湿ってる。何とも言えないウエット感が……………


「ライトさぁぁん♪」

「止めろよ………俺にソッチの趣味は無ぇ…………」




◇◇◇




「ア、アルアさん………?ライトさんが使っていた鉄パイプに何を細工していたんですか?」

「細工と言えば細工だが…………別に変な細工はしてないぞ」

「では………何を?」

「……………()()()()……………」

「えっ?何て言いました?」

「気にするな。お前らは医療魔法の開発でもしておけ」

「はい、分かりました」
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