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SaveOurSоuls《セーブ・アウァ・ソールズ》 DE《こちらは》総通局・電波監理部・監視第二課 作者:にのい・しち
11/17

走れ!(×10)

 後輩の運転で目的地へ向かう不法無線局探索車、DEURASデューラス-Mの車内では十和田と同期が情報を整理していた。

「櫻木。電波の半径は?」

「およそ三百メートルだ」

「広くないなぁ……何が混信してんだ? CB、トランシーバー、業務用無線……」

 後輩が十和田に話かける。

「昨日、摘発した軽トラックが原因じゃないんですか?」

「俺達、電波監視官は見えない物を追ってるんだ。そう簡単に答えは出ねえぇよ……あの軽トラは普段は渋滞を回避する為、申告者の地域とは逆方面の北側を抜け道を使ってるらしんだ。今回は渋滞してなかったから抜け道を使わずに道なりに走っていて申告者の無線にたまたま混線したらしい」

「じゃぁ、振り出しですか?」

「残念だが、そういうことだ」

 銀のワゴン車が昨日と同じ場所、線路より南で申告者の家から約二百メートル圏内の住宅地へ来ると、車内のDEURASデューラスで監視を行う同期の櫻木を残し、十和田が月宮後輩にレーザー銃の形をした計測器を持つよう指示。
 二人は車両から降りて周辺を探索した。
 後輩が計測器の先を北へ南へ、東へ西とあらゆる方角に向けるが液晶画面の数値は周辺地域の認可が下りた無線電波を拾うだけで、探している違法無線らしき物は現れない。
反応が現れない測定器に飽きた十和田は後輩に話し掛け時間を潰す。

「なぁ、お前は何でこの仕事を選んだ?」

 彼女は振り向き、目線を宙に仰いで記憶が下りて来るのを待ってから話始めた。

「父が電子機器や無線を専門にした修理屋だったので子供のころから機械には慣れ親しんできました。父の影響で大学も工学系を専攻して将来は技術者を目指していたんですけど、今はネットが主流なので時代に取り残された無線機の数が減ると共に店の仕事が減るのは自然な流れで、つぶれるのはあっと言う間でした」

「世知辛いね」

「在学中に父の店がつぶれたことを機に安定した職を考えるようになり公務員を目指すことにして、電波監理局なら親しんだ無線機器や工学技術の知識が生かせると思って勉強してたんですけど、私の頭じゃ、地方公務員試験がやっとで……」

 彼女はその時の苦労を思い出しているのか肩を落とし言葉を区切る。

「でも、私、この仕事を選んでよかったと思ってます。開局手続きや周知で、今も無線を利用して興味を持つ人に出会えたり、違法電波の調査は探偵みたいでワクワクします」

「へぇ~、真面目だねぇ。こんな地味な仕事にそこまで思い入れがあるとは――――彼氏いないだろ?」

 後輩は彼の言葉に眉を上ずらせ小さく舌打ちした。十和田はそれを聞こえないふりをして先へ進む。
 そして、待ちわびた結果が現れ後輩が呼び止める。

「エターナル先輩!」

「変な呼び方するな! 何か見つけたのか?」

「もっと、東の方角みたいです」

「よし、新人。貸せ!」

 十和田は後輩から測定器を奪い取ると少年のようにはしゃぎ足を運ぶ。
 月宮後輩は呆れながらその足に付いていった。
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