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SaveOurSоuls《セーブ・アウァ・ソールズ》 DE《こちらは》総通局・電波監理部・監視第二課 作者:にのい・しち
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走れ!(×10)

 後輩の運転で、目的地へ向かう、不法無線局探索車、DEURASデューラス-M。
 その車内では、十和田と同期が情報を整理していた。

「櫻木。電波の半径は?」

「およそ、三百メートルだ」

「広くないなぁ……何が混信してんだ? CB、トランシーバー、業務用無線……」

 後輩が、十和田に話かける。

「昨日、摘発した軽トラックが、原因じゃないんですか?」

「俺達、電波監視官は、見えない物を追ってるんだ。そう簡単に答えは出ねえぇよ……あの軽トラは、普段は渋滞を回避する為、申告者の地域とは、逆方面の北側を抜け道を使ってるらしんだ。
今回は、渋滞してなかったから抜け道を使わずに、道なりに走っていて、申告者の無線にたまたま混線したらしい」

「じゃぁ、振り出しですか?」

「残念だが、そういうことだ」

 銀のワゴン車が、昨日と同じ場所、線路より南側で、申告者の家から約二百メートル圏内の、住宅地へ来ると、車内のDEURASデューラスで、監視を行う同期の櫻木を残し、十和田が月宮後輩にレーザー銃の形をした計測器を持つよう指示。
 二人は車両から降りて、周辺を探索した。
 後輩が計測器の先を、北へ南へ、東へ西と、あらゆる方角に向けるが、液晶画面の数値は周辺地域の認可が、下りた無線電波を拾うだけで、探している違法無線らしき物は現れない。

 反応が現れない、測定器に飽きた十和田は、後輩に話し掛け時間を潰す。

「なぁ、お前は何で、この仕事を選んだ?」

 彼女は振り向き、目線を宙に仰いで、記憶が下りて来るのを待ってから、話始めた。

「父が、電子機器や無線を専門にした修理屋だったので、子供のころから、機械には慣れ親しんできました。父の影響で、大学も工学系を専攻して、将来は技術者を目指していたんですけど、今はネットが主流なので、時代に取り残された、無線機の数が減ると共に、店の仕事が減るのは自然な流れで、つぶれるのは、あっと言う間でした」

「世知辛いね」

「在学中に、父の店がつぶれたことを機に、安定した職を考えるようになり、公務員を目指すことにして、電波監理局なら、親しんだ無線機器や工学技術の知識が生かせると思って、勉強してたんですけど、私の頭じゃ、地方公務員試験がやっとで……」

 彼女は、その時の苦労を思い出しているのか、肩を落とし言葉を区切る。

「でも、私、この仕事を選んでよかったと思ってます。
開局手続きや周知で、今も無線を利用して、興味を持つ人に出会えたり、違法電波の調査は、探偵みたいでワクワクします」

「へぇ~、真面目だねぇ。こんな地味な仕事に、そこまで思い入れがあるとは――――彼氏いないだろ?」

 後輩は彼の言葉に眉を上ずらせ、小さく舌打ちした。
 十和田は、それを聞こえないふりをして、先へ進む。
 そして、待ちわびた結果が現れ、後輩が呼び止める。

「―———―———―———―———エターナル先輩!」

 十和田は、呼ばれた方へ振り向くと、眉寄せながら、彼女に近づき、文句を言う。

「変な呼び方するな! 何か見つけたのか?」

「もっと、東の方角みたいです」

「よし、新人。貸せ!」

 十和田は、後輩から測定器を奪い取ると、少年のようにはしゃぎ足を運ぶ。
 月宮後輩は呆れながら、その足に付いていった。
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