Episode 4
三千院家の屋敷、ナギの部屋にあるベッドには、ナギが横になって眠っていた。
その傍らで、ハヤテがナギの様子を見ていると、ナギが目を覚ました。
「此処は何処だ?」
ナギがそう聞くと、ハヤテが答えた。
「お嬢様のお部屋ですよ」
「そうか・・・。そう言えば、何だか頭がズキズキする。あの後、マリアが紫色の禍々しいオーラ放った後、私の身に何があったのだ?」
「それはですね、マリアさんがお嬢様の、マリアにツンデレは無理だ、と言う発言にぶちギレて、お嬢様の頭に拳を思いっ切り落として気絶させたんですよ」
「で、その肝心なマリアは何処にいるのだ?」
「それが、外の空気吸って来ると言って出て行きました。しかも、こんなの残して行きましたよ」
ハヤテはそう言って、懐から辞表と書かれた封筒を取り出した。
「じ、辞表だと!?ハヤテ、今直ぐマリアを捜して連れ戻して来てくれ!」
「はい、お嬢様!」
ハヤテは急いでマリアを捜しに言った。
(マリアの奴、急に辞めるなんてどう言う事だ?)
「それはナギお嬢様に嫌気が差したからである」
すると、ナギは天に向かって睨み付けた。大方、天の声でも聞こえたのだろう。
三千院家のお屋敷から数メートル程離れた所にあるオンボロアパートの疾風荘。此処の2F、205号室に、ハヤタとマリアはいた。
「此処がハヤタの家か。屋敷とは全然違うんだな」
「マリアさん、それは自慢ですか?」
「否、屋敷と違って庶民の住む部屋がとても狭いのに驚いているだけだ」
「確かにあの屋敷は凄かったですね、最初見た時は皇居かと思いましたよ」
グゥー──マリアの腹の虫が鳴いた。
「お、お腹空いたな、何か食べさせてくれないか?」
「うーん、それじゃあ、何処か食べに行きましょうか?」
この時、マリアはこんな妄想をした。
あるレストランでハヤタと二人っきり。そしてハヤタからの愛の告白、及びプロポーズ。
マリアは自然と頬が赤くなった。
「マリアさん、顔赤いですよ」
ビクッ!──マリアは驚いて体が反応した。
「き、気のせいだ!」
「そうか?じゃあ行こうか」
ハヤタはそう言って、玄関の前に行ってドアを開けた。
「あ、ハヤテ・・・」
「やあ、朝月くん」
「こんな時間に何の用だい?」
「うん、ちょっと人を捜しててね。つり目でツインテールの子なんだけど・・・」
「それって、ひょっとしてあの子?」
ハヤタは部屋の隅で小さくなっているマリアを示した。
「マリアさん、どうしてこんな所に!?」
ハヤテがそう言って、中に入ろうとすると、ハヤタがそれを制した。
「ハヤテ、マリアさんの事知ってるみたいだが、どう言う関係だい?」
「どう言うって、ただの仕事仲間だよ」
するとマリアは、
「どうせ私の事迎えに来たんでしょ?私帰らないから!」
「マリアさん、そんな事言わないで、お嬢様が心配してますよ」
「あんな奴知らない!」
その時、ハヤテの顔を黒い影が覆い被さった。
(奴・・・今お嬢様の事を奴って・・・)
「兎に角、早く帰って!」
「解りました。では、気が向いたら、帰って来て下さい」
ハヤテはそう言って、去って行った。
「行った?」
マリアはハヤタに顔を向けて訊ねた。
「行きましたよ」
そう言いながら、ハヤタはマリアの下にやって来た。
「マリアさん、帰らないで良いんですか?」
「良いのよ、あんな所」
(この人・・・意外と強情っ張り?)
「それより、ハヤテとはどう言う関係?」
「えっ、どう言うって、潮見高校の元クラスメート」
マリアは目を点にした。
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