Episode 12.最終話
「なっ、何をするのだ貴様!?」
ハヤタの自宅にて彼に縛られた偽ナギは、ハヤタを睨み付けた。
「何って、お前を俺の物にするのさ。マリアさんじゃツンデレ度が足りないからな」
「ロリコンか、お前は?」
ハヤタは懐から例の禍々しい首輪を出した。
「これをすればお前は俺の思い通りに為る」
そう言って偽ナギの首に巻くハヤタ。すると、禍々しいオーラが偽ナギの体に侵入し、瞳を真っ黒に染める。
「ナギ、お前が生涯愛している人は誰だ?」
偽ナギは頬を赤く染め、
「そ、それは、は、はは、ハヤタに決まってるだろ」
(な、何を言ってるんだ私は?この首輪の所為で私は操られているのか?)
「俺の事、好きか?」
「ああ、好きだ。大好きだ」
(私は、お前など・・・)
「成功だ」
ハヤタはそう呟き、縄を解いた。すると、
「ただいま」
と、マリアが帰って来た。
「一寸ハヤタ?何でナギ此処にいるのよ?」
「連れてきた。安心しろ、向こうには下田の効能で分身した偽物がいる」
「あ、そう。で、何で連れて来たのよ?」
「それはハヤタを愛しているからに決まってるだろ」
(違う、私はお前なんか・・・)
「待て、ナギはハヤテが好きだったんじゃないのか?」
「否、私はハヤテよりハヤタの方が魅力があると気付いたのだ。それに、ハヤテにはヒナギクと言う立派な恋人がおるではないか」
(違う違う!)
「兎に角そう言う訳だから、私も此処に住む」
(この娘、ナギじゃありませんわね・・・。所でこれは何かしら?)
マリアは偽ナギの首輪に触れた。刹那、首輪は外れ、マリアの首に填った。
「キャー!」
禍々しいオーラに体を乗っ取られ様としてるマリアは悲鳴を挙げた。
「バカッ、何触ってんだ!?」
「マリア!?」
オーラは、マリアに入り込み、意識を完全に支配した。
「マリア、さん?」
ハヤタはマリアの顔を覗いた。
「大好きよハヤタくん!」
マリアは抱きついた。
「一寸待て!ツンデレはどうした?」
「すみません、ツンデレは疲れますのでやめました」
(すげえなこの首輪。マリアさんの本性曝け出してる・・・)
「おいマリア、その首輪を外せ!」
「無駄ですよ、ナギ。今、マリアは完全に眠っている。ですから、ナギの声は届きません」
偽ナギは沈黙した。
「どうでも良いけど放して?」
「あら、ごめんなさいハヤタくん」
そう言ってマリアはハヤタを解放した。
「こんなのマリアさんじゃない!首輪を外せ!」
「嫌です。この体とても気に入りました。ですから、私がマリアとして生きて行きます」
「外せ!」
ハヤタは首輪に手を掛けた。
「良いんですか?ハヤタくんに乗り移りますよ?」
ハヤタは手を放した。
(クソ、一体どうしたら・・・?)
「頼むっ、マリアを返してくれ!」
偽ナギはマリアに土下座をした。
「あら、ナギが土下座をするのは初めてですわ。でも駄目です。折角自由に操れる体を手に入れたんですもの。そう簡単に手放したりなど出来ませんわ」
(何、自由?と言う事は、今までの肉体は不適合だったのか?)
「どうでも良いですけどハヤタくん、ナギを元の体に戻してあげて下さい」
「じゃああんたも首輪を外せ」
「御断りしますわ」
「そうか。なら俺も断る」
「そうですか。では私があなたの体を乗っ取ってナギ戻しますわ」
マリアはそう言うと、首輪をハヤタの首に移した。
「なっ!?」
ハヤタの体に禍々しいオーラが侵入した。
「あれ、私どうしてたのかしら?」
マリアは意識を取り戻した。
「マリアさん、一寸此処で待ってて下さい」
ハヤタはそう言って偽ナギと共に出て言った。
(ハヤタくん・・・直ぐに戻りますよね?)
「ただいま」
ハヤタが帰宅。
「早かったじゃない。30秒も経って無いわよ」
「ハヤタですから。では、申し訳無いですが、マリアさんの体拝借します」
「えっ?」
ハヤタは首輪をマリアの首に移した。
「キャッ!」
マリアにオーラが侵入した。
「あれ、俺は一体何を?」
「ごめんなさいハヤタくん、体借りて・・・」
「あっ、そうだった!てめえ、マリアさんを返せ!」
「御断りしますわ」
「首輪目・・・!」
「ハヤタくん、落ち着いて下さい。もしハヤタくんが私の子を産ませて下さったらこの体はお返ししますわ」
(マリアさんと俺の子ども?)
ハヤタは妄想した。
(良いかも・・・って、駄目だそんなの!)
ハヤタは首を横に振った。すると、ハヤタの携帯が鳴った。ヒナギクからだ。
(こんな時に電話か)
「はい、もしもし」
「もしもし、私。一寸聞いてよ。ハヤテくんったらデート断ったのよ!?ナギにボロクソ言われたのが理由なんですって!」
「はあ、そうですか」
「ねえ、今からそっち行って良いかしら?」
「良いけど?」
「解った。じゃあ行くわね」
(ヒナギクが来るのか・・・)
「どなたからですか?」
「ヒナギク」
(ヒナギクか。ヒナギクは確か、御主人様好みのツンデレ)
ピンポーン──チャイムが鳴り、ヒナギクが入って来た。
「ターゲット捕捉!」
マリアは首輪を玄関先のヒナギクに飛ばした。
「ごめんね、こんな夜中に」
「避けろヒナギク!」
「えっ?」
刹那、ヒナギクの首に首輪が填った。
「ヒナギク!?」
ハヤタは叫んだ。
「五月蝿いわね!何よ、急に大声出して?」
「それより・・・」
ヒナギクはそう言ってハヤタに近付いた。
「あんた好みのツンデレを乗っ取ってあげたわ」
「何、ヒナギクをか!?」
「勿論、完全にね」
「恐るべし首輪・・・」
「どうでも良いけど胸貸して頂戴」
ヒナギクはそう言ってハヤタの胸に顔を埋め、思いっ切り泣き出した。
「ハヤテくんのバカ!最低!」
「おい、お前首輪か?それともヒナギクか?」
「ヒナギクよ!」
「あっそ。で、何で泣く?」
「ヒナギクがあんたの胸で泣きたがってるからよ!」
「首輪か・・・」
「ねえ、私を抱いてくれない?」
「嫌だ。お前ヒナギクじゃねえもん」
「何言ってんのよ?あんたの大好きなツンデレのヒナギク様よ、ツンデレの」
「見た目と喋り方がな」
「信じて、くれないんだ?」
「解った解った、信じてやるからヒナギクから離れろ」
「嫌よ、私はこれからヒナギクとして生きて行く。べ、別にあんたの為とかじゃないからね」
ヒナギクは頬を赤らめた。
「やめろ。ヒナギクを返せ」
「だから嫌って言ってるでしょ?」
ピシッ!──ハヤタはヒナギクの頬を叩いた。
(御主人様・・・)
「てめえの御都合主義で人の体使われちゃ困るんだよ。解ったら出てけ!」
「・・・ごめん」
ヒナギクがそう言うと、首輪が灰と化して崩れ去った。
「あれ、私どうしたのかしら?」
ハヤタはヒナギクを抱擁した。
「ちょっ、いきなり何すんの?」
「悪い、こうさせてくれ」
「(ウヮーオ)」
マリアは小声で言った。
(そうですか。ハヤタくん、ヒナギクさんが御好きなんですね?となると私は邪魔者?)
マリアは気付かれぬ様静かにあの場所へ帰って行った。
「ヒナギク、俺じゃ駄目か?ハヤテの代わり、俺じゃ駄目か?」
途端、ヒナギクの心臓が高鳴った。
「ご、ごめん!急にそんな事言われても私何て言ったら良いか!」
「ヒナギク!」
ハヤタはヒナギクを抱擁し続けた。何時間も、何時間も。
「ハヤタくん・・・。私、ハヤタくんでも良い」
See you again, somewhere. |