Episode 11
毎度お馴染、ナギお嬢様の部屋では、ナギハヤタとナギのドッペルゲンガーがお話しをしていた。
「成る程な。それでお前はあいつに変装してハヤテをヒナギクの下へ送ったのだな?」
「そう言う事だ。それにしてもあの白虎は何だ?あれ、人間語話すぞ?」
「タマが人語を話す?」
この時、ナギハヤタは思った。
(こいつ、タマが喋る事を知らぬのか?)
「否、今のは冗談だ。それより奴はどうしてるかな?」
ナギハヤタは独り言を言うかの様に、洋服ダンスを開けた。
い・な・い──なんと、ナギが消えていた。その代わりと言っちゃ難だが、執事長のクラウスがいた。
「クラウスッ、お前何時からそこに!?」
と、偽ナギ。
「おや、お嬢様が二人・・・?」
クラウスは眼鏡を外し、目を擦って掛けた。
「むむっ、目の問題では無い!」
バタン!──ナギハヤタは扉を閉めた。
「何だ、あのクソじじい?」
「執事長のクラウスだ。何時も何処からか現れる。きっと抜け道があるんだろうな」
「抜け道ねえ。それより本物は何処へ?」
「本物なら此処におるだろうが!」
偽ナギは怒鳴ってそっぽ向いた。
「否、お前はチビの分身であり偽物だ」
「チビ言うな!」
その時、部屋のドアが開いてナギが入って来た。
「クラウスのお陰で助かったぞ。て言うかお前っ、何者だ!?」
と、ナギハヤタを睨むナギ。
「あ、僕ハヤタ」
と、変装を解くハヤタ。
「貴様はあの時の!それに偽物まで!」
「偽物はお前だろ!」
と、偽ナギ。
「お前、ハヤタとか言ったな。あいつを消してくれないか?」
「依頼ですか分身さん?」
「何でも良いから早くやれ!」
「良いだろう。この間面白い玩具手に入れたんでね。こいつで実験してみよう」
ハヤタは懐から端が赤、もう片方が青の色をしたロープを取り出した。
「チビ、赤い方を持て!」
と、赤色の端を投げるハヤタ。ナギは疑いもせず取った。
「これで綱引きでもするつもりか?馬鹿馬鹿しい・・・!?」
刹那、ナギとハヤタの精神が入れ替わった。
「な、何が起こったのだ?」
と、疑問符を浮かべるハヤタ。
「お、どうやら成功の様だな」
と、ロープを回収するナギ。
「悪いが貴様の体は頂いた!今日からこの俺がナギだ!」
「何!?」
ハヤタはナギの方を向いた。
「貴様、一体何をしたのだ?」
「何って、肉体を取り替えたのさ。俺さ、一度でも良いから女の子になりたかったんだよね。で、手頃なのがいたから取り替えさせて貰った」
「返せ!」
ハヤタは飛び掛かった。が、不思議な力に因って弾き飛ばされてしまった。
「無駄無駄、今のお前では近付けまい」
「くっ・・・」
「おい、お前」
「わっ、私か?」
と、偽ナギ。
「そいつを監禁しとけ」
ナギはそう言ってただのロープを投げた。
「な、何だか知らんが解った」
偽ナギは受け取ったロープでハヤタを縛り付けた。
「所で先刻のロープは一体?」
「入れ換えロープだ。ドラ○もんに借りた」
「何、ド○えもんだと!?」
「伏せる場所違うぞ!」
と、そこへ、ハヤテがやって来た。
「ただいま戻りましたお嬢様・・・?」
ハヤテはナギが二人いるのを確認すると、
「ああ!」
と、叫んだ。
「お、お嬢様が二人!」
(少しからかってやるか)
「帰って来て早々何を訳解らん事言っておるのだ?私達は双子じゃないか。だよな、ユウ」
と、偽ナギに振るナギ。だがそれだけじゃ伝わらないと思ったか、アイコンタクトをした。
『俺に合わせろ。そしたら本物の体はくれてやる』
『何、それは本当だろうな?』
『ああ』
「そうだぞハヤテ。私達は双子だ」
途端、ハヤタの顔に影が覆い被さった。
(ああ、これは夢だ。夢に違いない)
「おいっ、早く助けろ!」
そう言ったのは身動きの取れないハヤタだった。
「あ、朝月くん?」
「ハヤテの知り合いか?」
「ええ、潮見に通ってた時のクラスメイトです。それより何故そんな格好を?」
「こやつ、私の服を脱がしたのだ」
「まっ、まさかお嬢様、朝月くんと!?」
「ばっ、バカ者。する筈が無いだろ!それにまだ、13だ!兎に角、そう言う訳だから、拷問していたのだ」
「ごっ、誤解だ、って言うか私がナギだ!こいつに体を取られたのだ!」
と、ハヤタは目を潤しながら言う。
「それよりハヤテ、ヒナギクとはどうだったのだ?」
「ヒナギクさんですか?明日、デートをする約束をしました」
「何!?」
と、ハヤタ。
「(お前をハヤテには近付けさせないからな)」
ナギは小声でそう言った。
「そうか、良かったなハヤテ。明日の為にも今日は早く寝ておけ」
ナギはそう言ってハヤテを部屋から追い出した。
「さて、約束だからな。お前にコレはくれてやる」
ナギはそう言って例のロープを出し、偽ナギと入れ替わった。
「これでお前は本物だ」
偽ナギはそう言い残し、ハヤタを抱えて窓から飛び下りた。
「・・・・・・」
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