プロローグ
険しい山々に囲まれた、迷宮の奥深く。
漆黒の騎士と魔神の王の闘いは続いていた。
人の子に生まれながら、異常ともいえる魔力を備えていた漆黒の騎士。
召還によってこの世界に生まれ落ちた異形なる魔神の王。
異質な存在とゆう意味で、彼等は似ていたのかもしれない・・・
膨大な魔力を拳に乗せて、相手に直接叩き込み、叩き込まれ
肉体が破損しては 魔力を用いて瞬時に、復元・再生・・・
永遠に続くかと思われた彼等の『殴り合い』は終局を迎えつつあった。
残る魔力を振り絞り、互いに距離をとり『タメ』に入ったその、刹那。
『ヒトノコヨ ナゼ我ヲホロボス?』
漆黒の騎士にとっては予想外の問い、一瞬戸惑いながらも
『あんた話せたのか?魔神の王が命乞いするとも思えぬが・・・』
真意を計りかね思わず呟く漆黒の騎士、再び問う魔神の王。
『ナゼ我ヲホロボス?』
『何故だって?あんたを滅ぼさなきゃ人が滅ぶからに決まっている!!』
苛立ち紛れに答える漆黒の騎士、三度問う魔神の王
『デハ 我ヲホロボセシノチニ ニンゲンヲホロボスノカ?』
『・・・!?』
言葉に詰まる漆黒の騎士、尚も問う魔神の王
『ヒトノヨヲホロボサントスル我ヲヨビダセシハニンゲンゾ?』
『黙れ!!』
大きく首を左右に振り、自身に言い聞かせるように叫び、突進する漆黒の騎士。
『人の世の全てが悪ではない!!!お前は俺が倒す!!』
残る魔力の全てを込めて、魔神の王を撃ち貫いた漆黒の騎士 その「血」を全身に浴びて・・・
『コレデシズカニネムレル』
安堵の声にも似た声を発し、崩れ消えゆく魔神の王。
独り立ち尽くし、自問自答する漆黒の騎士。
『望まぬ破壊を課せられ、召還されし魔神の王も人の世の被害者なのか?』
彼の呟きに答える者はなく、
十六に満たない少年は迷いの中、力尽き、意識を失った。
少年の周りは「歪み」を帯びていた・・・ |