ひとまず「小説家になろう」200本記念作品です。春晴秋明先生の作風の影響を受け、今回は夢で見たかのような話にしてみました。では、どうぞ。
オレは家の前にある電柱の影にいる。理由は聞くな。ストーキングってやつだよ。春子って女の家の前の電柱の影でこそこそ春子の家を観察してるんだ。
しかしね、オレ、毎回、思うんだけど、
「何でこの家、ドアがないねん!」
ドアどころか一階まったく窓なし。二階はあるけど。作為的なものを感じる。
いや、ストーカーだからね、裏口も確かめましたよ。ないねん。
春ちゃんどうやって家入んねん、と思ってね観察してたらね、庭に植えてある木によじ登って二階の部屋の窓を開けて中に入ってんの。パンティ、ン丸見え!
お父さんやお母さんはどうしてる?
これもね、もう正直呆れたよ。
春ちゃんのお父さんね、ヘリで通勤しとんねん。どんだけ金持ち!
つまり、春ちゃんの家、二階建てだけど、屋上があんねん。ヘリ停めるためなんやね。
まったく意味がわからんよ。
じゃーお母さんは????
さすがにヘリで買い物はいけんし、春ちゃんのお母さんくらいのお歳なら木に登るのも大変だろう。
オレね、この前びっくりしたよ。
春ちゃんのお母さんね、買い物の帰り、春ちゃんの家の前にあるマンホールのフタを開けて中に入っていったの。
スパイかよ! 中に通じてるのか!
まったく呆れた一家だよ。
じゃあ春ちゃんの弟もマンホールから出入りしてるのかと思いきや、そうじゃないんだ。ヘリでもないし、木にも登らない。
驚くなよ。何と!
庭にテント張ってね、そこで生活しとんねん。
意味わからん!
だって春ちゃんの家、けっこうデカいねん。部屋もけっこうあるはずだよ。
ドアを作れよ!
オレはストーキングしながらそこがもう本当に気になって気になって。
それとね、まだある。春ちゃんの家の犬。こいつはどうしてるのか。
いや、犬だから庭で寝てると思ったら大間違い!
何と木によじ登って、うまいこと春ちゃんの部屋の窓を開けて中に入っとんねん。
理解不能!
何で弟が外で寝てて犬が中やねん。
もうわからん。わからん。わからああああああああん。
オレは意を決して、木に登ろうとしてる春ちゃんに聞いてみたんだ。
「あの、春ちゃん」
「あれ、田崎くん。どうしてここに」
そんなことどうでもいい。
「何でドア作らないの?」
春ちゃんは木に手をかけながら、すごく哀しそうな顔をした。まずい。聞いてはいかんことだったか。
「うちね」
「うん」
オレはつばをゴクっと飲む込んだ。
「貧乏だから仕方ないの・・・・」
「え?」
オレは「え?」という感じ。
「あ。ごめん。今日、観ないといけないお笑い番組があるから」
春子は急いで木によじ登り始めた。
「は、春ちゃん。貧乏。え?」
パンティ、丸見えだ。(了)
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