《映画クレヨンしんちゃん&銀魂》大嵐を呼ぶ!踊る暇がありゃ映画を救え!!(7/30)縦書き表示RDF


久しぶりの投稿です。今回は沖田がメインな感じですが、ちょっとキャラが変わってるかも…。あとクレしんのあのキャラが沖田と遭遇します。映画アミーゴを見てないと、イマイチ分からないところがあるかも知れませんが、そこは受け流してください(汗)。
《映画クレヨンしんちゃん&銀魂》大嵐を呼ぶ!踊る暇がありゃ映画を救え!!
作:虹純晶



その七:就職活動って時々大学受験より苦しい


風間家の夜は、これまでにないほどにぎやかなものになっていた。
「新八さん、お料理上手なんですね!」
「え?あ、うん。まあね…」
「新ちゃんたら、一人でご飯作るって言って聞かなかったのよ。私も手伝ってあげようと思ったのに…」
「いやいや、姉上は掃除とかお買い物を頑張ってくれてるんですから。」
なんて言いながら、新八の本心は別のところにあった。
姉・お妙は、驚異的なまでに料理が下手なのだ。どういうわけか、お寿司を握っても黒焦げにしてしまうという破壊的腕前の持ち主なのである。

住む所を用意してくれたトオルに、そんなものを食べさせるわけにはいかない!
「ん?神楽、お前今日はあんま食わねーな。どーした?」
「え…いや、銀ちゃん、私いつもこのくらいアルヨ。」
「このくらいじゃねーよ。いつもはその千倍ぐらい食ってるよ。」
銀時の言う通り、今夜の神楽の食欲は異様なほどにおとなしかった。食べる物の嗜好は地味な神楽だが、その身体のどこにそれだけの量が入るんだと思えるぐらいよく食べる。それなのにまだご飯のおかわりを一回しか頼んでいないばかりか、えらくちびちびと食っているのである。
「あれれ、本当にどこも悪くないの?神楽ちゃん。」
「大丈夫アル!これでいつも通りアルヨ!!」
なぜか怒ったように言い返す神楽。新八はおや、と思った。神楽の視線が、ちらちらとある人物の方を時折向いていたからだ。
銀時もそれに気づいたらしい。
「ん?神楽おめ、何さっきからトオルのことじろじろ見てるんだ、おい。」
それを聞いた途端、神楽ときたら白い顔を真っ赤にしてしまった。そこへさらにたたみかける銀時。
「ははーん、お前さては、愛しのトオルくんの前で醜態をさらすまいと、猫かぶりの努力を………」






バシン!






銀時の言葉はそこで止められた。
神楽のとびきり痛い平手打ちを食らい、椅子から転げ落ちてしまったのである。
「いてえぇぇぇぇぇ!」
「お、女の子をそんなふうにからかうなんて、サイテーアル!」
「神楽さん!食事中にケンカはやめて下さい!!」
間接的な原因が自分とはまるで知らないトオルが、神楽を控えめに叱った。
「ハイアル!」
にこにこ顔で応じる神楽。どんな状況であれ、トオルに話しかけられるのはとても嬉しいらしい。新八は誰にもバレない程度に苦笑を漏らした。
「おーいて…」
頬に赤い手形をくっきりと残し、鼻血を垂らした銀時が再び食事に参加した横では、山崎がこれまでにないほどの食べっぷりを見せていた。土方が目を丸くしている。
「山崎、お前………今日はよく食べるな。どうした?」
「いえ、別に………なんともないですよ。」
「ふうん……」
内心、こいつまたどこかでミントンにいそしんでたんじゃねーかと思っていた土方だったが、あえて言わないことにした。五歳の少年の前で暴力を振るうのは、いかに鬼の副長といえども気がひけるし、何と言っても山崎はちゃんと仕事を見つけてきたのである。お妙の言い方を借りれば『チンカスみたいな』給料しか出ない、コンビニのバイトとはいえ………。
そう、お妙と新八がトオルの保護者代わりとなり、銀時と土方が幼稚園での、神楽と定春が日常生活でのボディーガード(?)役となり………そして山崎に課せられた役目とは、適当な仕事を見つけて生活費を稼ぐことであった。
トオルの家はかなりお金持ちな方だが、さすがに金にはがめつい銀時も、母親がいなくなってしまった子供のすねをかじって生きようとするほどプライドを失ってはいない。しかし幼稚園の方の稼ぎは、銀時が園長になってしまったから皆無であり(まつざか先生たちには自腹で何とか払うことにしている)、誰か他の奴が働かなくてはならないのだ。何とも地味な役回りだが、もともと地味なことで定評がある山崎にとっては、別に不満でもなんでもなかった。
あと念のために言っておくと、山崎がミントンをしていてしんのすけと会ったのは、ちゃんと仕事を見つけてからである。

そんなふうにして、銀時ファミリーと新選組を加えた風間家での夕食時間は、のどかに過ぎていこうとしていた。


















いや、一人だけのどかにしていられない人物がいた。

「総悟…おめぇはもっと食ったらどうだ?」
土方が言う横では、沖田が食事にほとんど手をつけようともせず、とある冊子を丹念に眺めていた。
トオルもそんな彼に向かって、少し心配げに言った。
「あの、沖田さん。そんなに悩まなくてもいいですよ。明日だって捜す時間はたっぷりあるし…。」
沖田は山崎と同じく、何かの職に就いて家計を助ける役目をおおせつかったのだが………。
まあ自己中心的な沖田のこと、そうすんなりと性に合う仕事が見つかるわけもなく、すごすごとここへ舞い戻ってきたのである。
それまではいつもどおり、へらへらしていた沖田だったが、山崎が首尾よく仕事を見つけてきたことを知ると、態度が一変した。
ともかく沖田にとっては、部下である山崎にそういう面で負けたのが悔しかったらしい。何としてでも(山崎より)いい仕事を捜してやろうと、さっきからろくにご飯も食べず、熱心に求人雑誌を読みふけっているのだった。
「ねえ、沖田さん…。」
「トオル、ほっとくアル。このアホがからっぽの頭を回転させてる貴重な時間をつぶすのは、もったいないネ。」

いつもならば神楽のその言葉に反応し、なりふりかまわず大ゲンカをおっぱじめる沖田だったが、今夜はもう何も耳に入っていないのか、雑誌のページから目をあげようともしていなかった。

「まあ、そうかもな…。」
土方も何やら納得(?)し、ご飯の上に、さらにたっぷりとマヨネーズをかけまくった。



































気にくわねェ。

沖田は川原をぶらぶらしながら、むしゃくしゃした気持ちをもてあましていた。
畜生、山崎のやつ。俺より先に仕事を見つけてきたからって、あんなに得意そうな顔をしやがって………。
別に山崎としては得意げにしているつもりはなかったのだが、沖田の目にはどうもそのように映ってしまうようだった。
しかし、仕事に就けないのが自分の性格のせいだということも、何となく分かっている。これまでは新選組一番隊隊長として、何も考えずに犯罪者相手に剣を振り回していればよかった。普通の店とかと違って、警察は潰れる心配がないからだ。
でも、ここでは違う。沖田は警察でも何でもない、ただの18歳の青年だった。
「ハアーァ、だりィ…。」
結局今日も、収穫はなしだった。らしくもなくため息をつきながら、ぼんやりと道を歩いていく沖田は、気がつくとでっかい塀の前に立っていた。
「………?何だ、ここ?」
どこか、大きな家の塀らしいということは分かる。ここ春日部で、そんな大きな家に住んでいる奴といえば…。
塀に沿って歩いていき、やがてこれまた巨大な門の前に出た。
やっぱりだ。これには見覚えがある。

酢乙女すおとめ邸か………」
しんのすけに一方的な恋心を抱くお嬢様・酢乙女あいのお屋敷だ。でもこの映画の中では、彼女はもうニセモノに替わられているはず………。






「あのぉ…」
「あァ?」

後ろから聞こえてきた声に、沖田は顔だけねじ曲げて振り返った。























びっくりして、束の間声が出なくなった。

「お、お前は…









オニギリくん!」

「えっ?どうして僕のことを………ていうか、僕そんな名前じゃないですよお!佐藤マサオです!」
「あ、そうだよな…ごめん。」
「ところでお兄さん、どうして僕のこと知ってるの?」
さて困った。考えるより先に身体が動くタイプの沖田は、こういう時のうまいごまかしが思いつけないのだ。土方への嫌がらせ方法を考え出すのは得意だが…。
「そ、それはだな…俺の妹が、お前と同じひまわり組だからでィ。」
「ふーん…」
どういうわけか、マサオはじーっと沖田の顔を見つめてくる。不愉快な視線ではなかったが、沖田は思わず後ずさりした。
「な、何だ?」
「いや…お兄さんの顔に、なんか見覚えあるから。どこかで会ったことあるっけ?」
会ったことはあるけど毎週テレビでお前の顔は見てるぜ、なんて言えない沖田は、黙って答えなかった。頭の中ではどうやってこの状況から抜け出そうか、彼なりに必死で考えていたのだが。

幸いなことに、二人の会話はここで打ち切られた。
門の所に取りつけられたスピーカーから、聞き覚えのある声がしてきたのである。

『あらマー様、来て下さったんですのね。そちらの方は、どちら様ですの?』
そちら様?
一体誰のことだと一瞬考えて、沖田はようやく自分のことを言っているのだと理解した。こんなんだから銀時や土方や神楽に『頭がカラッポ』と称されるのだ。
「あ、俺は通りすがりの沖田ってもんだから、気にせんでいいですぜ。そんじゃ。」
マサオを残し、さっさと歩み去っていく沖田。その背中を見つめながら、マサオは少し首をかしげた。

「沖田………?」






















やれやれ、あんなとこでマサオに会うとは。
沖田はだいぶ離れた所まで来ると、もう一度酢乙女邸の方を振り返った。
門が開いている。もうマサオの姿はそこから消えていた。
門が閉じていくのを眺めながら、沖田は次第に、何とも言えない不安な気持ちに襲われるのを感じた。
酢乙女あいはマサオのことを、『マー様』と呼んだ。ということは、やはり彼女はニセモノにとってかわられているのだ。
そしてマサオが、酢乙女邸に一人で呼ばれている………。
どうも引っかかる。映画の中には、こんなシーンはなかった。それとも単なる偶然だろうか。いや、それか………。

沖田は頭を振り、再び歩き出そうとしたが、数メートルも進まないうちにまた立ち止まって振り返った。









そして、辺りに誰もいないことを確かめると、酢乙女家の屋敷の高い塀の一角へ、きびすを返して走り始めた…。





















「沖田さん、大丈夫かなあ…」
神楽にああ言われても、トオルはまだ沖田のことを心配し続けていた。
(無理しないでくれるといいけど…)
窓から外を見下ろして、ため息をつく。日曜日の空は、彼の心の中とは裏腹に、きれいに澄み渡っていた。
トオルはもう一度、沖田がいい仕事を見つけられますように、と祈った。



当然、彼が職探しよりもっと厄介なことへ首を突っ込もうとしていることなど、まるで知る由もないのだった。


風間くんの心配をよそに、酢乙女邸へ走る沖田………。その中では、一体どのような展開が?肝心の仕事探しはどうなっちゃうのか!?次回は沖田とマサオくんが、大活躍の予感!!どうぞお楽しみに!!久しぶりでしたが、感想もどんどんお願いします。これまでにも暖かい応援メッセージ、ありがとうございます!!











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