《映画クレヨンしんちゃん&銀魂》大嵐を呼ぶ!踊る暇がありゃ映画を救え!!(4/30)縦書き表示RDF


偶然にも風間くんと遭遇してしまった銀さん一行。そして家に帰った風間くんに迫る危機………!?そして定春が、ちょっとだけ(?)役に立っちゃいます!!?
《映画クレヨンしんちゃん&銀魂》大嵐を呼ぶ!踊る暇がありゃ映画を救え!!
作:虹純晶



その四:犬は耳と鼻がめっちゃいいけど目が悪い


その夜、ベッドの中で、風間トオルは悩んでいた。
理由は二つある。母親のこと、そしてもう一つは塾の帰りに出会った、あの妙な人々のことだ。
本当に変な人たちだった。格好もおかしかったし(チャイナ服や和服、はかまを着ている人もいたようだ)、一人はなぜか、まだ若いのに髪が完全に銀色だった。染めるにしても、普通ならあんな老人っぽい色に染めたりはしないだろうに。あのでっかい白い犬も気になるし…。
それに何で、自分の名前を知っていたのだろう?考えれば考えるほど分からなくなる。
そして………ママのこと。
もえピーを見ていた時、トオルは見てしまった。はっきりと目にしたわけではないが、不気味な、何か引きずるような音と共に、赤黒い長い物体が、母親の切っていたチキンの一切れを持ち上げていくのを………。
その後振り返った母親は何の変わりもない様子だったものの、トオルは不穏なものを感じずにはいられなかった。今もその気持ちは、消え去っていない。
(…ったく、一体何なんだよ……)
勉強は得意だが、こういう未知の、意味不明な現象について考えるのは好きではない。幼稚園でもニセモノとやらの話を聞かされたし…。
(ふんっ、そっくりさんか…ばかばかしい。)
そう考えて嫌な気分も捨て去ろうとしたトオルだったが、うまくいかなかった。これではとてもじゃないが眠れない。何か冷たいものでも飲むか………。
それにしても、あの変な人たち。どうしてか分からないが、見覚えがある気がする。会ったような感じはしないのに………どうしてだ?
…ダメだ、これじゃいつまでも頭がこんがらがったまま。もうやめにしよう。
早く水を飲んで…寝なきゃ…。

考え込んでいたせいだろう、トオルはいつのまにか後ろに立った影に気がつかなかった。
足音がなぜか重なることに気づき、反射的に後ろを向く。それが幸運だった。黒い影が、すごい勢いでつかみかかってきたのだ。
身をよじるようにして逃れるのと同時に、トオルは大きく悲鳴を上げていた………。



















「ちくしょー、腹減ったぜ………」
「まずいですね。誰もお金持ってませんからねえ。」
「こうなったら、私の身体で払うしかないアルナ。」
「神楽、早まるな!とにかくだな、戻る方法が分からない上に、金がないとなると…何とかここで、仕事を見つけるしかねーな。」
───銀時たちは、夜の春日部を闊歩していた。
もちろん定春がいるのだから、表通りを堂々と歩くわけにはいかない。あくまで目立たぬよう、最初目覚めた時にいたような路地裏を選んでいるのだが、定春がでかいだけにあまり楽なことではなかった。
そして全員、春日部ここに来てから何一つ口にしていない。これが何よりこたえるのである。
「こうなりゃどっかへかっぱらいにでも行きますかィ、土方さん。」
「早まらないで下さいっ、沖田さんも!」
目に殺気が宿ってきた沖田を、山崎が必死でなだめている。
「困りましたね、本当に………」
「今はとりあえず、寝る場所を探さなくちゃいけないわ。」
新八とお妙がため息混じりに話し合っているとその時、思いもかけないことが起きた。
定春が顔を上げ、耳をピンと立てた。しばらくその態勢で固まっていたかと思うと、
「わん!」
大きな吠え声を上げ、一直線に走り出した。こんなでか犬が狭い路地を駆け抜けていくのだから、当然色んなものが次々と倒れ、跳ね飛ばされ、どんがらがっしゃんと音を立てる。たまったものではない。
これにはさすがの銀時たちも度胆を抜かれた。
「さ、定春ぅ!待て、ちょっと待て!!」
「定春!何かおいしいもの嗅ぎつけたアルカ!?」
全員慌てて定春について駆け出した。定春が嗅ぎつけたのが何か、知る由もなく。















「ううっ………くそ……!」
トオルは悔しげなうめきを上げたが、どうにもならなかった。
まるで悪夢のようだ。いや、いっそ悪夢であってほしい。自分の母親に襲われ、抵抗した挙句こうやって押さえつけられているなんて………。
こんなの、現実じゃない!
頭上から、母親の息づかいが聞こえる。何とも不気味な呼吸音だった。
「フシュウゥゥゥ…全く、てこずらせてくれたわね。」
そう言う声も、何だかおかしい。今のママは、一体どんな顔をしているんだろう。想像したくないのに思い浮かべてしまい、トオルは身震いした。
「本当はもっと遅かったんだけどね………あのお方に感謝しなくちゃ。こんな楽しい思いをさせてくれたんだもの。」
「………?」
トオルには、その言葉の意味がまるで分からなかった。何が言いたいんだ?
「まあいいわ、とにかく私と………。」



ドガシャーン!!!

「…!何!?」
母親の、慌てた声が響いた。
「何なの!?」
押さえつけられたままの体勢で、トオルも音のした方向へ顔を向けた。

あんぐりと口が開いた。
ベランダに通じる窓のガラスが割れ、そこに人影がたたずんでいる。月光と街灯に照らされたその姿から、少女と判断できた。傘を持ち、中国風のドレスをまとった少女…。
トオルは目をしばたかせた。え?中国服?
「あ、あんた、何者よっ!?」
母親の問いかけに答える代わりに、少女の身体がこちら目がけて飛んだ。信じられないスピードで。
「ほあたアァァァァ!」
威勢のよいかけ声と共に、傘が大きく振られた……。













「大丈夫?」
「は、はあ………」
眼鏡をかけた少年の心配そうな問いに、トオルは困惑気味に答えた。
今風間家は、この時刻にしては異常なほどの人口でにぎわっていた。
しかも全員、あの時出くわした変な人たちばかりだ。銀色の髪の男、眼鏡に袴の少年、チャイナ服と傘の少女、和服を着たきれいな女の人、制服みたいな同じ服装をした三人の男に、そして………巨大な白い犬。
本当ならここはペット禁制なのだが、助けてもらったからには文句は言えなかった。

さっきまでトオルを押さえていた母親は………完全なまでに叩きのめされた上に縛り上げられ、制服みたいな服を着た三人のうち一番若そうな茶髪の青年に、さんざんいじめられているところだった。今は小さなチューブ入りマヨネーズらしきものを顔に突きつけられ、なぜかさるぐつわの下から悲鳴を上げている。何であんなに怯えているのかと不思議に思ったが、よくよく見ると………赤いキャップの上に火が灯っていた。
(えっ………何で!?)
その時、突如怒鳴り声が響いた。
「総悟ォ!てめっ何俺のライター持ち出してんだァァ!!」
怖い目つきの、茶髪の青年と同じ服装をした男が怒った顔で走ってくる。たちまち逃げ出す茶髪。部屋の中がますます大騒ぎになった。
「おいやめろ、お前ら。他の住民さん方に聞かれたらどーするよ。またトオルくんに説明させる気か。」
銀髮が、たしなめるように言った。そうなのだ。あの窓ガラスが割れる音を聞きつけたマンションの住人に、トオルはいちいちもっともらしい説明をせねばならず、大変だったのである。二度もするのはごめんだ。
そして…彼らには聞きたいことが、たくさんある。
「あの………。」
「ん?」
「聞きたいことがあるんです。どうして僕を、助けにきてくれたんですか?」
どういうわけか、それを聞いた眼鏡の少年の顔が、すこしほっとなったのをトオルは見逃さなかった。
「ああ………こいつのおかげさ。」
銀髮が、巨大犬の頭をぽんぽんと叩いた。
「定春が…あ、こいつ定春っていうんだけどね……何か感じたらしくてさ、一目散にここまで走ってきて、お前んちの窓を見上げて吠えたんだ。それで神楽が助けに行ったってわけ。」
「神楽?」
「私のことアル。」
チャイナ娘が振り返った。きれいな青い瞳をしている。
「そうですか…」
はっきり言ってまだよく分からなかったが、トオルはそれ以上突っ込んでは聞かなかった。もっと大事なことがある。
「じゃあもう一つ聞きます。………何で僕のことを知ってるんですか?」
そう聞いた瞬間、眼鏡の少年の顔が変わった。しまったぞ!という表情に。
「ええ………え、どうしても説明しなきゃダメ?」
「はい。」
「もえPの特製ストラップあげるからさ、それで勘弁してくんない?」
「え、本当………て、何で僕がもえP好きなこと知ってるんですか!ちょっと!!」


…このままでは、いくら頑張っても会話が泥沼化してしまうだけだと悟ったのだろう。眼鏡の少年がため息をつき、銀髮の男の肩を叩いた。
「銀さん、やめましょうよ。この子、賢いんでしょ?ごまかしてもダメですし、多分説明すれば分かってくれますって。」


風間くんを助けた銀さんたちは、彼に真実を語ることに…。それを聞いた風間くんの反応は?そして、次回はなんと銀さんが、幼稚園の○○に!?どうぞお楽しみに!!











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