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笑顔が愛おしくて ~ベトナム恋愛奮闘記~ 作者:KON
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初体験

ベトナムに来て、2回目の夜を迎えようとしていた。
みんな(日本人スタッフ)が僕のために、
ここ王宮料理店で、歓迎会を開いてくれた夜のこと。

ひとまずここでの歓迎会が終わり店を出ると、
けたたましいバイクの音とクラクションが、

ホーチミン市内の夜の街に響いていた。


そんな音に呑み込まれるかのように、みんなが一斉に市内の街の中へと消えていったのだ。
と言うか、、みんな早々に次へ行く場所があるらしい。

.....ひどくないっすか??、北沢さん。


「ん?そうか、そのうち分かるよ・・・」

.....分かるって?、どういう意味、、本日の主役を置いてけぼりにした意味が分かんないよ。


「みんなそれぞれ、・・あるんだよ。」

.....なにが?


「僕の口からは、言えないよ!!」

一年先輩の北沢さんが言った。
彼は、僕と年も近いこともあって、何かと話しやすいのである。

.....北沢さんもどこか行くんですか?

「あぁっ~、つぎの店へ行くけど・・・あっ・・タクシーが来た!・・じゃ、・悪いねっ・・一緒に付き合ってあげたいけど、自分にもいろいろ、、、あってね。」

.....そうなんだ。


「そぅ、寮の住所を書いたメモを持ってれば大丈夫だから・・・・・タンビェ~」
と、タクシーに乗って行ってしまった。

.....マジ~

ホーチミンのホの字も知らない街で、、このメモ残してひとりで帰れってこと・・・・

タンビェ~ってなんなんだよ!!!!!


「Alo!、アロー!」

店の前でひとり愚痴ってた僕の前に、
Tシャツ、ジーパンというラフな格好の女性がバイクに乗って現れた。
先ほどの店のオーナーの妹だ。

案内するって、本当だったんだ・・

ん?


何でもバイクの後ろに乗れと、ジェスチャーしているらしい。

えっ?・・夜の街を案内するってタクシーじゃないの?
こんな古びたホンダのカブ・・・・・??

新聞配達みたいなバイクの後ろに乗って、
怖いぐらいに走っている同じバイクの群れのなかに飛び込むなんて・・・
点検してないジェットコースターに乗るくらいに怖いよ。

しかし、もう・・どうにかなれ・・・・・である。
いまさら一人で寮に帰るにも帰れないし・・・

そんな、びくびくしている僕をよそに、
彼女は優しい笑顔でバイクから降りて声をかけてきた。

「Anh ten la gi ?」(お名前は?)

.....はあ?


「Sorry,・・・Sorry!・・・Your name?」

.....あっ、なまえねっ、いきなり、ベトナム語で話されても!!


......マイ、ネイムズ、ゴトウ...

「ゴ、ゴ・ト・ウ・・・」


彼女は僕の名前を、何度も飲み込むよう小さな声でつぶやいていた。

そして、また彼女はバイクにまたがると、
カブ独特のエンジン音を響かせた。

僕は彼女に促されるまま、バイクの後部座席にまたがると・・
このホーチミンの明かりの群れのなか、、

バイクを静かに滑らせて行った。


それは、僕が初めて体験する夜だった。
なんたって、現地の人の目線で見る
初めてのホーチミン市内の夜の町並みだったからだ。

・・・・・華やかなネオン、街頭の明かりに照らされた街路樹・・・・・

彼女の亜麻色の長い髪の香りに包まれながら、
市内の風を切って眺める町並みは、

僕がはじめて体験する 
なにより心地よい時間でもあった。



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