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笑顔が愛おしくて ~ベトナム恋愛奮闘記~ 作者:KON
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カム・オン~ありがとう~

.....工場長、遅くなってすみません。


「戻ってこないんじゃないかと心配したぞ!」

.....すいません。


「トゥイちゃんは・・・」

.....帰りました。


「そうか・・・・・・」

.....空港まで見送られると、なんか辛くて、、、
僕は言葉を詰まらせた。


「そうだな。」
工場長がぽつりとつぶやいた。

..........。


「出会いの分、それだけ多くの別れがあるからね、・・それに最後ってわけじゃないから。」

.......工場長、もうここ(サイゴン)には戻れないの分かってます。


「・・・・・。」

.....日本に戻ってすぐ退職の手続きと新しい事業を立ち上げる新工場・関連会社の入社手続きをしたら
もう、この会社へ戻れない気がする。


「そこで頑張れるか?」

.....今は分からない、でも僕なんかよりトゥイのほうが、よほど淋しさをバネにして頑張ると思う。


「そうだね。」

......トゥイ、いっぱい勉強して、
今度、僕の街(日本)へ来るって言ってた。


「・・・・・・・・・・」
工場長は穏やかな笑みを浮かべながら静かにうなずいた。



.....工場長。


「ん?」

......僕、やっぱり



....トゥイのこと好きです。


「何を今更・・」

.....本当に好きです。


「後藤・・・」

.....そして滞在当初、日本へ帰りたくてしかたなかったこの街が、今は好きです。


「うん。」

.....ベトナムのさいごんが、大好きです。
工場長は分かったように肯いた。


しばらくすると、
寮のダイニングにまとめておいた帰りの荷物を課長が運んできた。


「後藤・・日本へ戻っても、、がんばれよ!」
課長が言った。

.....ありがとうございました、課長。


「あ~ぁ・・・今度、ワシが帰国した際には会って飲もうな。」


「そうだよ、俺だって連絡するからね。」
寮を共にしたみんなから、お別れの一言をもらった。

.....はい、課長!!!  工場長、そして皆さん、


本当にお世話になりました。
僕は深々頭を下げた。


「おい、おい、お別れの挨拶は空港で聞かせてくれよ。」


「みんなで空港まで行くんだからさ。」

......ありがとう、でも、ここでいいです。


「え?なんだよ!?」

......ここで、お別れさせれください。


「そりゃ、ないぞ!、寮のみんなで見送るのが寮のルールじゃなかったけな。」


......ひとりで空港まで、そのまま搭乗口に行きたいんです。


........でないと、
言葉が詰まった。


......すいません。



「後藤、一回りおおきくなったな。」
課長が言った。

「あ、そう、そ、、トゥイちゃんから預かっている物があるんだった。」

.....え?


「ほら、これ・・」
それは、きれいに大きな布に包まれた箱のような物が紙袋に入っていた。

.....なに?これ?


「飛行機の中で開けてほしいって言ってたぞ。」

.....飛行機。


「最後に後藤にこれを渡すために、寮で何時間も待ってたんだぞ。」

そう、僕がトゥイを探しまわっている間、トゥイはここ(寮)にいたんだっけ。


「ワタシタチモ、オナジ ズット、、マッテタネ」
そこには、一番お世話になってきたお手伝いさん二人がいた。

「そ、そうだったな、後藤に挨拶するまで帰らず待ってたんだよな。」
課長が、言った。


「Chung ta co the gap lai khong?」(また、会えますか?)

このサイゴンに来て、
一番最初に挨拶を交わしたお手伝いの子たちが
初めて会った時のような笑顔で同じ言葉を繰り返すように僕に話かけた。


「Chung ta co the gap lai khong?」(また、会えますか?)

.....Hen gap lai.(会えるよ..)
でも、その瞳は潤んでいた。

お手伝いの子達には、掃除や料理の他に、
毎日毎日たくさんの笑顔と、心地良い挨拶を貰った。


.....シン、カ~ムオンニャ!


君たちから初めて教わった言葉でありがとうを言った。


みんなにさよならを言った。


Xin Tam biet. (さよなら)


ベトナムのさいごんに・・

さよならを言った。


そして寮の前では、待機していたタクシー
黄色いVINA 24*0番
僕が滞在時に、一番お世話になったタクシーだ。

僕は、思い出いっぱいのスーツケースをタクシーのトランクに入れ、
空港へと向かった。


.....Xin loi、、I'm sorry, such a short distance.. .(ごめんね、こんな短い距離を..)
僕は、そう言うと、

「OK!、Now, this distance is very long...」(今、この距離はとても長いです。)


空港の華やかな明かりが見え始めると、
長くてあっという間の滞在の日々が終わったんだと、
改めて、淋しさが実感してきた。



タンソンニャット国際空港

深夜10時


空港でタクシー料金を払って、おつりを僕へ渡すと、
彼女(運転手)は、トランクから重い荷物とスーツケースを取り出して

「オツカレサマデシタ。」と、
日本語で最後のあいさつを満面な笑顔で見送ってくれた。


その際に僕は、渡されたタクシー料金のおつりと、
持っていたベトナムドン(ベトナムのお金)のいくらかを彼女に渡して、
こう言った。

.....no.need、、Vietnam money can not be used in Japan.....Not use it、、


僕は、その最高の笑顔にお金を払わずにいられなかったのだ。
彼女(運転手)は、驚いた様子だったが・・・
それより、もっと驚くような光景が、


僕の視野に入った。

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