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笑顔が愛おしくて ~ベトナム恋愛奮闘記~ 作者:KON
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心のわだかまり

ホテルを出て、マイクロバスから見る市内の情景にみんな目がてん!である。

「すごいバイクの数ですね。」

「ココノヒトタチノ、イドウノ・・アシトシテ・・
バイクハ、セイカツニ、カカセナイ、ヒトツデスネ。」

.....今は、自動車も多くなってきたからホーチミンのような市街地では当たり前の光景だよ。

.....ほら、あそこに申し訳なさそうに走っている・・あれ、シクロっていうんだ。

「テレビで見たことある!」

「ゴトウサン、シクロニ、ツイテ・・・シッテイルコト・・キカセテアガテクダサイナ・・」

......え?.....あ、ぼくが....そう...そうだね。
僕は、みんなに知っている範囲でのことを話し始めた。

......シクロ乗りは....一日中仕事しているんだよ。
てゆうか、ほとんど休んで客待ちしているんだけどね。

......そして気ままに客を求めて街を流すんだ。
これは個人事業だからできることなんだ。

.....だからって誰でもシクロの運転を出来るって訳じゃないんだ。
ほら、前にナンバープレートらしき番号がついているでしょ。
自動車と同じナンバー登録してあるし、免許だって必要なんだよ。

「人力タクシーってこと?」

.....そうだよ、うまいこと言うね。


「乗ってみたい!」

.....辞めといた方がいいと思うよ、まずトラブルになること間違いないからね。


「トラブル?」

.....うん、金銭トラブル。
相場なんてあったもんじゃないんだから、フツーにボッタされる。

......そうでないシクロ乗りもいると思うけど、
街を流すシクロ乗りはほとんどと思ってもいいんじゃないかな。
いまやシクロがバイクに変わって、
同じようにボッタクリするしつこいバイク乗りの人たちがいるけどね。

「モシ、ノリタケレバ・・ワタシノホウデ・・テハイ、シマショウカ?」

.....そうだね、ラムさんのような旅行会社の手配なら安心だよ。


「ほんとですか?」

「モチロン、ベット・・リョウキンガ、ハッセイシマスケド、、」
ラムさんが笑顔で応対した。

.....良かったね。


「うん。」

「ほら、あそこの木にもシクロが止まっているよ。」

「まるで虫が木にとまっているような言い方じゃな~い。」

「そう言えば、ここの道を挟むようにして立っている樹木の下部分が白く塗られているけど・・・・・」

.....あれは、そこで立って用をたさないための防止策だね。
と、僕が言いかけると、

ラムさんが口を挟むようにして、
「ソンナコト、イウヒトモイマシタケド・・・アレハシロクヌルコトデ・・ニホンデイウ、
ガードレールノヤクワリヲモチマス・・・ソシテ、ジュモクニ、ムシヲ、ヨセツケナイ・・タメデモアリマス。」

......あれ?......立ちションって、、そう聞いたんだけどなぁ~
違うの?・・と、ラムさんの顔を見て・・

.....あの~皆さん、白いからって僕を白い目で見ないでください。
・・・・・・と言った。
とりあえず、サービスのおしぼりをみんなに配ってごまかした。

「あれ、このおしぼりっていい香りがするのね」

「あ、ほんとだ。」

.....ベトナムは、香りフェチが多いからね。


「ソレッテ、ゴトウサンノコトデスネ!!」

・・・・・・・・・・・

.....あ、これラムさんの旅行会社からのサービスね、それと、ミネラルウォーターも。
.....(^_^;)

僕は、小さい声でまた、ラムさんに問いかけた。
本当に立ちションをしないための防止策じゃないの?って・・・
それを聞いていた運転手までも笑っていた。

「ゴトウサンモ、アシモトヲ・・シロクヌルトイイデスネ。」

.....え?


「ワルイムシガ、ヨリツカナイヨウニデス。」
みんなが顔を縦に振ってうなずき、笑っていた。

「ワタシノ彼氏にも塗ってあげようかしら・・」

「代わりにさぁ、白い靴下を履かせるって・・どう?」

「ソレモアリデスネ・・・」
ラムさんが笑って答えた。

「シロイトイエバ、ホラ・・ミギニミエルタテモノミテクダサイ。」
僕たちが乗せたマイクロバスはナムキーコイギア通りをゆっくりと走っていた。

「サイショニ・・アノシロイタテモノニヨリマス。」
ラムさんがそう言うと・・・
僕らを乗せたマイクロバスは、
その建物を右手に回り込むようにして
グエンユー通り側にある入り口へと入っていった。

そこは、統一会堂・・・・・
南ベトナム政権時代の旧大統領官邸だ。

統一会堂

独立宮殿とも呼ばれ大小あわせて100以上の部屋がある。
僕たちはバスを降りて、統一会堂の正面中庭へと歩いていった。

「皆さん、せっかくですからここで写真撮りましょうよ。」

「そうですよね。」

......じゃ、僕が皆さんを撮りますよ。
.....ラムさんも入ってください。


「ゴトウサン、モウスコシ・・サガルト、イイデスネ・・タテモノゼンタイガ、ハイリマスネ・・・」

.....そ、そうだね。
と、いって芝生との境の段に足を取られ転んだ。


「だいじょうぶですか?」

.....あ、はい(;´_`;)
じゃ、撮りますんで。

.....チ~ズ!


......はい、OKです!


「ちゃんと、撮れました?」

.....たぶん。

ラムさんが小さな声で、
「シッカリ、マワリヲミテナイカラ・・ツマズイタンデスヨ・・ゴドウサンノ、レンアイトニテマスネ。」

今日はラムさん、いやに僕につっこむなぁ~
と、静かにつぶやいた。

「ナニカ、イイマシタカ?」

「あれ後藤さん、恋愛につまずいているんですか?」

「そうなの?」
ツアー客の女性陣からもつっこまれた。

.....あの~僕のことはいいですから中へ入りましょう!
と、いってまた、統一会堂正面の階段にまたつまずいた。

みんなが振り返って僕の方を見ると・・
あの~気にしないでください。
と、言ってズボンの汚れを取り払った。
それを見ていた統一会堂のアオザイのガイドさんたちが笑っていた。

統一会堂の中へはいると僕は、ラムさんのガイドに耳を傾けた。

「ココ、トウイツカイドウハ、フランスノベトナムショクミンチ、シハイニムケテ、
1868ネンニタテラレタ、インドシナソウトクノ・・キュウデンデス。」

「ソノゴ、サイゴンセイケントナリ・・メイショウヲカエテ・・1976ネン、
ナンボクトウイツヲモトニ・・トウイツカイドウ・・ト、イウヨウニナリマシタデスネ。」

「今もここは使われているんですか?」
僕にツアーの女性陣が聞いてきた。

.....そう、今はこうして僕たち観光客などに、
ここは一般に解放されているけど、
国賓が来るときなどは使われていて中には入れないんだよ。

「ふう~ん・・そうなんだ?」

さらにラムさんが、ひとつひとつの部屋を廻り、一部屋一部屋を
案内して丁寧に説明をしていった。
応接室や会議室・・・ただ大きなテーブルと椅子が配置よく並んでいるだけの殺風景な部屋なのだが、
そこ一部屋一部屋には、その当時のままの風景・歴史があった。

そして・・・・・
部屋との合間の通路に飾れていた額の絵にラムさんが言った。

「コノエハ、アオザイノ・・・ルーツデスネ。」

.....そ、アオザイはベトナムの民族衣装なんですよ。


「やっぱり、ルーツの絵を見ると、青い材料で作った生地からアオザイっていうのかな~」

.....違いますよ、アオはベトナム語で上着、ザイは長いと言う意味で、直訳すると長い上着ってこと。
学生さんの制服にもなっていますよ。

「ゴトウサンハ、アオザイスキデスヨネ?・・トクニシロイアイザイスキデスネ。」
また、ツアー客の女性陣たちに白く見られた。

.....あ、あの~先に進みましょ。

階段を上ってまた、似たような部屋の数々をのぞき込むと、

「熱いですね。」

.....基本的に空調設備など効いてないですからね、滞在ホテルとは違いますよ。

その暑い部屋の一室で
ベトナムの民族楽器を使った演奏が流れはじめてきた。

僕たちはしばらくそこの部屋に立ち止まり、
優雅な音楽に耳を傾け浸っていた。

(^^)//""""""パチパチ
演奏が終わると、僕たち以外の観光客たちみんなも拍手で答えていた。

なのに・・・
民族楽器の前に置かれているCDは、
きれいに陳列されたままだ。

まあ、買う人はいないだろうな。

じゃ、次は屋上へ・・・

「それいくら?」

.....え?
高橋夫妻が問いかけた。

......買うの?


「思い出に買おうかしらね。」

「そうだね、帰りのスーツケースには、
買えることが出来る思い出なら・・いっぱい詰め込んで買って帰らなきゃもったいないな。」

「私たちも便乗して買おうかしら?」

「うん。」

「ゴドウサンハ、カワナイデスカ?」
ラムさんが言った。

.....え?..ぼく?....い、いいや...


「ソウデスカ・・」

するとラムさんが・・・
「トキトシテ、オモイデハ・・ツラスギマスカ?」

.....うん、
・・って、何言わせるんだよ。
ラムさんは笑っていた。

そして・・統一会堂の最上階から吹き付ける暖かい風が
ここでの遠い記憶を思い起こすように僕らを包みこんだ。

そうだよ、思い出はつらすぎるよ・・・
ここで起こった戦争の傷跡、着弾した証の印やヘリ・・戦車・・
平和を願おうと残す過去の風景がそこにあったからだ。

しばらく僕は、統一会堂の最上階から見上げるレユアン通りを眺めていた。

「ゴトウサン・・・」
ラムさんが話しかけてきた。

.....ん?


「キョウ、ワタシノツアーニキテ・・ヨカッタデスカ?」

.....良かったよ。
こうして統一会堂の中からこの通りを眺めることもできだしね。


「ソレハヨカッタデス・・」

......ラムさん、ぼくね、まだベトナムへ来たばかりのときに
このレユアン通りをバイクの後部に乗って走ったんだ。


「ソレ・・ベトナム、ヒト、ジョセイデスカ?」

......うん、その時はまだ、このホーチミンの街も、
僕を乗せて夜の街をドライブさせてくれた彼女のことも・・

これほどにね、好きになるとは思わなかったよ。


「・・・・・・・・・」

.....でもね、今でも思い出すんだ、
あの時の甘い香りに包まれた暖かいこのサイゴンの夜風・・・
その時、僕はきっと、いつしかこの街を、
このホーチミン、このサイゴンを好きになるんだろうだろうなぁ~って、感じたんだ。


「ゴトウサン、イマモ・・コノマチ・・スキデスカ?」

......好きだよ、大きな声で言えるよ。


「ソレデハ、オオキナコエデ・・サケビマセンカ?」

......ここは、まずくない?


「イイジャ、ナイデスカ・・・セーノデ、イッショ・・サケブイイデスカ?」

.....ま、まじで?

「モッ、ハイ、バ、・・・」
ラムさんのかけ声とともに僕は大きな声で叫んだ。

.....好きだー!


......!!??!?!?!?、ず、ずるいよラムさん。
ラムさんは叫ばなかった・・・・・・
でも、僕は胸のわだかまりを払うようで少し心地よかった。
しかし、大声で叫んだモノだから、周りの人たちみんなの目線が僕に・・・・・

......だましたね。
僕は、ラムさんに静かに言った。


「ゴメンナサイ・・デモ、スコシ・・キブンハレマシタデスネ。」

・・・・・・・・・。


「イマノコトバ、ホントウニ・・スキナヒトニ、イッテアゲテクダサイネ。」

「ソノヒトハ・・キット、ソノコトバ・・マッテイルネ・・・」
そう言うと、ラムさんは遠くレユアン通りを眺めた。


「ソレデハ、ツギヘマイリマショウカ?」
・・・・・・と、
ガイドの顔に戻って統一会堂を後にした。

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