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笑顔が愛おしくて ~ベトナム恋愛奮闘記~ 作者:KON
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つらすぎる

部長と遅くまで飲み明かした翌日。

ここはヴィンギエム寺・・・・・・

そこは、まだ僕がこのホーチミンの右も左も知らないでいるとこに
初めてトゥイに連れてこられた場所だ。
今、仕事の帰りに僕は、

一人ここへ立ち寄っている。

あの時、

トゥイが何をここで願っていたのかを
少し分かるような思いだった。

僕は、本堂の角に座り心の中で呟いていた。


つらいよ・・・・・・(´^`)


めちゃくちゃ、つらいよ。


このサイゴンを離れること、
みんなと離れること、
トゥイと離れること。


こんなにもこの街の仲間を好きになるなんて・・・・・
こんなにも異国の女性を思うなんて・・・・・・


こんなに苦しいこと?

・・・仕事が手につかないんだ。


ほんと、何やってんだ・・・俺。



人を好きになるのは初めてじゃないだろう。

でも、どうすりゃいいんだ?


ほんと、苦しい・・

こんなの初めてだよ。


遠く、このホーチミンを離れると、
・・・・・心まで離れてしまいそう。

それが怖い?・・そうじゃない。

今までの出来事が・・・ひとり、部屋に戻ると
妙に切なくなってしまう。

夜・・一人になると、
ほんと弱気になるんだ。


僕は、この本堂のなか、
思いっきり心の中で、呟いていた。

そして・・・

気がつくと、ヴィンギエム寺を出て、
前の通りの道(グエンバンチョイ通り)をひとり歩いていた。

タクシーを拾うのでもなく、ただ、多くのバイク・車が行き交う道路の端を歩いていた。

そこへ一台の車が、僕の少し手前で止まった。
大きなクラクションとともに。

そのクラクションに驚くと。

ん。

......ラ、ラムさん?


そこには、以前ミトーのツアーでガイドをしてくれていたラムさんがいた。

「ゴドウ・・サン・・デスヨネ。」

僕は、首を縦に振った。

「ヤッパリ・・・ヨカッタ・・・ヒトチガイデワ、ナクテ。」

僕は、ここで誰か知っている人に出会ったことが少し救われたような思いだった。

「クルマカラ、ドコカ・・ミタアル・・・オモッタ!」

.....シン、チャオ。


「ノッテ、イキマセンカ?」

.....ありがとう。

これから、空港まで行くと言うことで寮の近くまで車に乗せてもらうことにした。
運転手の方も僕を覚えていたらしく笑顔で挨拶を交わした。

.....よく、僕・・分かったね。


「コンナコウツウリョウ、オオイミチ、ヒトリアルク、アマリイナイネ・・ダカラ、ワカッタネ。」

............................。


「ソレニ、・・アブナイネ。」

.....あぶ...ない?


「ソウデス!・・スリ、ヒッタクリ・・ヨッテクルネ、キヲツケル・・・イイデスカ?」

僕は、また顔を縦に振って返答した。


「ゲンキナイデスネ?」

.....そうかな。


「メ・・・アカイデス!」

なんかお見通しの様子だ。

僕はラムさんに、
....お仕事?と聞いた。


「コレカラ・・ツアーノ、カスタマ・・・オデムカエデス。」

.....日本の?


「モチロン、ニホンノカタタチ。」

車の中に、日本人の名前が書かれてあるプレートが無造作に置いてあった。
そこには、漢字で4人の日本人の名前が大きく書かれていた。
それに目線を向けると・・

「シッテイルヒト・・イマスカ?」

もちろんいるわけなどない。

.....ツアー、4人って少ないんじゃ?


「ヒトリ・・トキモ・・アリマスヨ。」

.....一人って?


「ニホンノ、ダンセイト・・」

.....ふたりだけ?


「デートシテイル・・ミタイデスネ(^_^;)」

.....でも、楽しそう。


「ゴトウサンコソ・・ナンデ・・ヒトリ、アルイテイタ?」

.....え?....あ....なんかね~

僕は言葉を詰まらせた。


「アオイトリ、ニガシタ?」

.....え?


「ジョウダンデス・・ゴメンナサイ・・」

....い、いや..べつに.....いいんだよ(。ヘ°)

......ラムさん。


「ハイ?」

.....僕ね.....ここを離れるんだ...この街、サイゴンをね。


「エッ?」

.....来月のはじめに。


「デモ、ヨカッタデスネ、ニホンデ・・カノジョ・・マッテイル、デハ・・」

......逃がしちゃった。


「エッ?!」

.....あの時、ミト―で捕まえられたのに逃しちゃった。


「・・・・・・・!?」

しばらく沈黙が続いた。



すると、ラムさんが、

「イッショウケンメイ・・オイカケマシタカ?」

僕は、静かな声で、

....そうだね...でも。


「モウヒトツ・・アオイトリ・・・イタ?・・」

.....いた。


「イタアリマスカ!!!?」

.....ここサイゴンで見つけた。


「ダカラ・・カタホウノ・・アオイトリ・・ニガシタ?」

....馬鹿だね、自分自身が情けない...だって、もう一つの青い鳥だって。


「ゴトウサン、バカデス!!」

.....!!?!?!


「ハジメカラ、アオイトリ・・・ヒトツデスネ!」

.....え?


「ペイント・マイ・ラブ、オボエテマスカ?」

.....うん。


「ソノウタ・・イミ、ワカッテマスカ?」

.....う、うん、分かるよ。


「ワタシ、オモウ・・ゴトウサンハ、
ココニイルヒトタチニ、アイジョウトイウ、シキサイヲ、クワエテホシガッテマスネ。」

......。


「ココ(ベトナム)ニクルマエハ、モノクロナ・・セイカツデシタカ?
キット、チガウ、オモイマスネ、カノジョイタデショ。」


それは一緒に行ったミトーツアーの時のように、
ラムさんの一言一言が・・僕の心に突き刺さった。


「ゴトウサン・・・アシタ・・オシゴトデスカ?」

突然、ラムさんが話題を切り返してきた。


.....仕事あるよ..日曜じゃないしね。


「モシ、ヨケレバ・・ツアー・・イッショ・・マワル・・イイデスカ?」

....ミトーのツアー?


「シナイカンコウ、デス。」

.....サイゴン市内?


「イマサラ、オモウケド・・・・・キット、・・タイセツナモノ・・キヅクネ。」

ラムさんは少し厳しい口調でサイゴンの市内観光を誘ってきた。

「ゼヒ、イマノ・・ゴトウサンニ、ドウコウシテモライタイデス。」

そこには僕を思いやる優しさがあった。


僕は、窓ガラスに映る情けない自分に憤りを感じた。
車が夜の空港の前をゆっくりと走ると、ラムさんが言った。

「ゴトウサン、ココノ・・コウケイヲ、ドウオモイマスカ?」

そう、夜になるとこの空港前の大通りの路肩には何組かのカップルが目に入るのだ。
バイクの上で男女が寄り添っている光景が目に飛び込んでくる。


デートスポットと、いえばいいのかもしれない。

「トオイガイコクハ・・ココノミンナモ・・アコガレデスヨ。」

....そうだね。・・僕はぽつりとつぶやく。


「ソウデス。」

.....大きな夢や期待、希望...そんな思いで、飛び交う飛行機をお互いが仰いでるのかな?

僕は静かな声で言った。


「コレカラハジマル・・オタガイノ・・ドラマ、ミライソウゾウシテイルネ。」

.....僕にもドラマあるのかな?


「イマノママ、ハッピーエンド、ムズカシイネ。」

空港の灯りが不器用な僕を照らし続けた。



-----夜のタン・ソン・ニャット空港-----

空港に着くと、まっすぐ寮には戻らず、
僕はラムさんのお手伝いを少しした。

僕は、4人の名前が書かれたプレートを高く上げて
こちらに気づくツアーの人たちを待った。

到着ロビー外は、相変わらず出迎えや見送りなどの人たちでごった返している。
そう、いつ来ても変わらぬ空港の風景がそこにあるのだ。
しばらくすると、僕の方へ大きなスーツケースを持った男女の日本人が、

「あ、あった、あった!・・・私たちの名前・・・!!」

と、僕が持っているプレートを指さしながら近づいてきた。


.....あの~高.........と、名前を確認した。


「はい、高橋です。」


そこへガイドのラムさんが脇から

「タカハシ・・ユウキサン・・」

「はい。」と、男性の方が答えた。


「エ~ト、タカハシ・・」

「真理です。」と、女性の方もプレートを指さして答えた。


ガイドのラムさんは、

「オツカレサマデス。」

と仕事の顔に戻って出迎えた。


60ぐらいの夫婦だろうか・・・・

僕は、.....スーツケース持ちますよ。と言って、

残りの二人を待った。


ラムさんも、「シバラク、オマチクダサイ・・」と言って、
僕からプレートを取って空港から出てくる人たちの方へまた歩き出した。

女性の方が
「暑いですね。」と、
僕に向かって質問してきた。


.....夜はまだいい方ですよ...日中はもっと暑いです。....と、僕は返答した。


「あら、たいへん日焼け止めの対策してこなかったわ。」

すると、隣の男性が

「その年で必要ないだろうに・・・・・・」
と、笑って答えた。


......ベトナムへは初めてですか?

「ええ。・・旦那が現役を退いてからフルムーンを国内で楽しんでいたけど、
ここベトナム・・海外は初めて・・とても楽しみよ。」

.....思いっきり、楽しんでいってくださいね。


「ありがとう・・・そういえば、お名前を聞いてなかったわね。」

....後藤です。


「後藤さん、これからの旅よろしくお願いしますね。」

.....え?

どうやらツアーコンダクターと勘違いされているようだ。
しばらくすると、ラムさんが女性二人を連れてこちらに向かって来た。

20代半ばぐらいだろうか・・・落ち着いたOL風の女性たちだ。


「コレデ、ミナサン、ソロイマシタネ。」

「ワタシ、ガイドノ・・ラム・・ト、イイマス。」

「ソシテ、コチラ・・オトモダチノ、ゴトウサンデス。」


......(^_^;).

僕を紹介してくれたことにとてもうれしかった。


「ワタシノニホンゴ、フジュウブンデスカラ、ワカラナイ、ゴトウサン、ニキク・・
ミナサン、オネガイイタシマスネ。」


「よろしくお願いいたしま~す。」

ツアーの4人が僕たちに頭を下げて会釈してくれた。

おい。おい。
心の中でとまどった。

ラムさんが優しい笑顔で僕に相づちをした。

なぜか、ガイドのラムさんの好意に感謝したくなった。
きっと、僕を勇気づけるためにこうして、ツアーへと誘ったんだと思ったからだ。

僕は思い切りその好意に甘えようと思った。

だって・・、このサイゴンで・・こんなすばらしい人たちに
いつもこうして出会えているのだから・・

滞在中も・・支えられてきたのだから・・・・・

僕はラムさんに向かって、
言葉に出せない「ありがとう!」と、

笑顔をもって返答した。

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