挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
笑顔が愛おしくて ~ベトナム恋愛奮闘記~ 作者:KON
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

59/73

想いよとどけ!

一番近い人と一緒にいる時間が長いと、
その人のことを自然と考えてしまう時間も長くなる。

ましてや、それが異性であったり・・・

ときに心癒される存在なら・・・

それは苦しいくらい胸が痛むんだ。

そう、僕がこうして彼女の家まで足を運んでしまったって事は、
僕の中でのトゥイの存在が大きいってことだろう。



日曜日ー

今・・僕は、彼女の家に近いチョロンの覚林寺(ヤック・ラム寺)に来ている。

覚林寺(ヤック・ラム寺)
ホーチミン市で最古といわれているベトナム仏教寺院だ。

そう、あの日・・・・・

トゥイのお姉さんに案内され、
彼女の家に行った夜のこと。

着いたそこは、とてもこぢんまりとしている食堂。
彼女たちの両親の家だった。

店の看板の名前には、、
お姉さんがホーチミン市内に店を構えている王宮料理店と同じ名前が書かれていた。

そして、そこに彼女の両親たちの
やさしい笑顔があった。

僕が異国の人であるにも関わらず・・・・・

両親の温かい歓迎は正直・・・驚いた。

いや、戸惑った。

ただ、気持ち的に救われたものがあった。。

僕は、両親に導かれ小さなテーブルが置かれている椅子に座り、
彼女を待った。

トゥイを・・・・・・

あの日・・あの夜・・・

すると、しばらくして・・髪を短く切った飾らないトゥイが僕の前に。


通り過ぎた時間ときが巻き戻したようによみがえった。

僕が滞在しているホテルで、
最後に会った夜の出来事が・・・・・

ひさしぶりに会ったトゥイを目の前に・・・

僕は、何の言葉も出てこなかった、ただ、ただ、

.....会いたかった。

....会いたくて....会いたくて............ごめん。

それは、心の奥底からの思いを込めた、
僕の大きなつぶやきだった。


トゥイも、何も言わなかった。

ただ、彼女が流す涙を・・・そのとき僕は、初めて見た。

お姉さんは、何も言わずトゥイちゃんを抱きしめていた。

それからの時間・・・とても長く感じた。
日を改めてまた来てくれと言う両親の言葉に甘えた。


次の休みの日。

久しぶりに・・このベトナムの街をトゥイと歩いている。


ここはチョロン。

チョロンとは、ベトナム語で大きい市場という意味。
けして、チョロンという名の住所があるわけではない。

中心には、大きい市場としてビンタイ市場がある。
解放前には、チョロン市場としても呼ばれていた代表的な市場だ。

18世紀に中国人商人がこの地に住み着いたことから、
華僑・華人系のベトナム人が多く住んでいる地。

ベトナムの中華街といえばいいだろう。
だからといって、レストラン街ではない。
ひたすら、たくさんの商店が建ち並んでいるのだ。

そこには、もちろんトゥイたちの家もある。

今、僕の横には、
清楚に民族衣装アオザイを着こなしたトゥイがいる。

なぜ、アオザイを着て来たかって?

それは分からない。

ただ、彼女の中で、
僕に対する何か思いを示したかったんだろう・・・・

チョロンの覚林寺(ヤック・ラム寺)にやってきた僕らは、

「イッショニ・・トリ・・ネガイヲ・・イイデスカ?・・ミスター・ゴトウ。」

.....うん。

それは、寺の境内で売られている
大きなかごに入った何羽もの鳥のことだ。


この小さな鳥に願いを込めて空に放つと、願いが叶うというのだ。

僕たちは手にあふれるくらいの数羽の鳥を掴み、腕を大空に伸ばした。

「イッショ・・・トバスヨ・・・イイデスネ・・」

....じや、僕が1,2,3って言ったら飛ばすんだよ・・・いいね。


「ハイ!」

....じゃ、モッ、ハイ、.....バード!
(1,2,3はベトナム語でモッ・ハイ・バー)

僕たちの手から放した鳥たちは、
青い空に吸い込まれるように羽ばたいていった。


そして、
僕の横には、あの青い空に負けないくらいの健やかな笑顔があった。

「ナンデ、サイゴ・・バード、ナンデスカ?」
トゥイが言った。

.....鳥を飛ばしたから、バードだよ。


「・・・・・(^o^)」

......ほら、笑った。

....トゥイは、やっぱり笑った顔が一番だね。


「・・・・ソウデスカ?」

.....今の僕の願いはね、
その笑顔のままでいつまでもいつまでも・・・


「・・・イツマデモ?・・ナンデスカ?」

.....僕の横で笑っていてほしい。


空を見上げながら僕は言った。
彼女は、黙ったまま僕の手を握った。
その手のぬくもりは、あの鳥たちを掴んだときのぬくもりよりも温かかった。

「オモイ・・イッショ・・キット・・ネガイ・カナウネ。」

....そうだね。

僕も強く手を握り返した。
その手を・・もう、離さないように・・・・・

この先、何があるか、どうなるかなんて考えず、
いまはただ、そばにいるトゥイを・・・
手放したくなかった。

このまま・・・ずっと・・・・・ずっと。

このサイゴンで見つけた・・大切な青い鳥だから・・・

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ