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笑顔が愛おしくて ~ベトナム恋愛奮闘記~ 作者:KON
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僕のガイドツアー(心の架け橋)

「おまたせ!」

..........!!!!!


「何が言ってよ!」

.....え?......あっ、、そ、そだね。


ここは、ルネッサンスリ・バーサイトホテルのロビー。
彼女たち(課長の姪っ子とその親友)が滞在しているホテルだ。

クチのトンネルを見学した後、
サイゴン川ディナークルーズに一緒に行くために、
7時にこのロビーで、また会うことにしていたのだ。

「昨日、仕立ててもらったのが出来上がったの。」

「どう?・・・似合ってる?」

.....うん。
彼女たちは、ここホーチミン市内の店で仕立てもらった服を着ての登場なのだ。
それはアオザイのように体の線を強調し、とても美しく見せる服だった。


「ちょっとアオザイ風ドレスに仕立ててもらいました。」

......それを着て、出かけるの.....マジ?


「それ、どういう意味なんですか!?!?、さっき、似合ってるって言ったよね!!」

.....いや~、目のやり場に、、、つ~か、僕が照れる。


「ふーん、後藤さんって、いやらしい目でアオザイを見てるんだ?」

.....そうじゃなくてさ、意外と、


「意外と!?!??、、なに?」

.....さぁ、いざディナークルーズへ!......お嬢様たち!


「は、はなし、、話そらさないでよ!!」


サイゴン川の船着場。

ホテルからタクシーで、数分も乗れば行けるところにある。

タクシーから降りてすぐ、
サイゴンの川沿いに、イルミネーションに飾られたクルーズ船の灯りが
華やかに光の色を変えながら僕たちを歓迎しているように輝いていた。

ここでは、船上から眺めるサイゴンの夜景、ベトナム料理を堪能しながら、
伝統音楽や歌謡ショーを楽しむのだ。

僕たちは、その何隻かの一つに乗船すると、

「この船で正解だったね!」と、彼女たち。

.....なんで?


「だって、さっき一階で出迎えてくれたここのボーイ(スタッフ)素敵だったじゃない?」

「そう、そう・成美も・・あたしも好み!」

.....なんなんだよ。


「あ!」

.....な、なんだ、急に。


「あのさ、さっきの顔面偏差値の高そうなボーイと写真撮ろうよ。」

「そ!・・そうね!・・賛成!、賛成!!」


スタッフに2階席へと案内されたが、また僕を引き連れて一階のボーイがいるところへ・・・

.....チュン ター クン チュップ チュン ニェー (一緒に写真撮りましょう)

と、、、結局、僕がボーイに語りかけると・・・・・・

「ねぇOKだって?」と、彼女たち。

.....うん、いいってさ!


「ほんと!・・・じゃぁ、後藤さん・・・これ!」

彼女が持っていたカメラを、僕に差し出して、

.....え?.....僕が撮るの。


「え?、、じゃ、誰が・・・・・・」

......あ、そうだね、、、、、

.....撮りますよ。顔面偏差値の低い後藤君がね。

僕は、ガイド兼カメラマンか。

しかし、フェンダー越しに覗く彼女たちの笑顔は、
思ったよりもこのサイゴンの夜景に溶け込んでいた。

そして、彼女たちに挟まれて真ん中で照れているボーイの笑顔もイケていた。

僕は心のなかで、
この笑顔をいつまでも忘れないでほしいと言う想いでシャッターを切った。

艦内の2階席に戻ると・・・・・・

「ねえ~ここは何がおいしいのかなぁ・・・」

とりあえずビールと一般的な海鮮料理をオーダーした。

「隣の席のあれ、なに?」

「なんか、おいしそう・・・・・・」

.....シンロイ、カイ ナイ ラー カイジー?(すいません、これは・・・・)


「・・・・・chao tom.」(チャムトム)

隣席のおじさんが、チャオトムと言って一本僕たちに差し出してくれた。

.....カム オン。(ありがとう)


僕たちは、一本のチャムトムを3等分してほおばった。

「The nao?」(どう?)
おじさんが僕たちが食べている様子を面白そうにうかがっていた。

「ゴーン!」(おいしい!)
彼女たちが、声を合わせて言った。

おじさんの笑い声が響いた。

ビールが運ばれてくるとスタッフに、

.....チョートイ カイナイ。(これをください).........と、僕。

早速チャオトムを追加注文!
いわゆるエビちくわのようなものだ。

.....さぁ、まずは乾杯しようか?

「うん、この素敵な夜景に!」

「あの素敵なボーイに!!!」

「そして、隣の素敵ななおじさんに!!!」

かんぱ~い!( ^_^)/□☆□\(^_^ )

彼女たちの口から、僕の名前がでなかったのが残念であるが、
・・まぁ、いいや・・・である。

そのあと僕たちが乗船した船は、ゆっくりと動き出した。
それと同時に船内のステージが、あわただしく演奏の準備を始めていた。

心地よい夜風。

心地よい音楽。

このベトナム料理を前にして、
艦内の笑い声がこのサイゴンの夜風に流されるように・・・

次第に彼女たちの話題に入り込めなくなると、
僕は、一人デッキに出てサイゴンの夜景を眺めてた。

あ~気持ちいい。

心の中でつぶやく。

「後藤さん。」

ん?

しばらくすると、課長の姪っ子さんがデッキの方へ現れた。

.....あれ、ともだちは?


「ほら、あそこで(ステージ前で)踊っている・・・」 

.....ほんとだ、彼女、結構お酒入ってたけど....だいじょうぶ?


「うん、お酒飲むといつもああなの・・」

.....そう.....それより、どう?今日一日.....僕のガイドは......


「私たちにとっては最高のガイドさんだったよ。成美もそう思っている・・・」

.....そう、よかった。


「本当にありがとう・・・感謝しているんだ。」

.....なんだよ、急に改まって。


「だって・・・・このベトナムへ来たのだって・・」

.....ん?


「忘れたいから・・・」

........!?


「彼氏のこと・・・」

.....なんかあったの?


「別れた・・」

.....別れた?


「毎日のメールや食事とか、付き合っているうちにあらゆる場面でね、
互いに価値観が合わなくなったってゆうか、彼の頼りないところや悪いところばかりが目につき、
・・・冷めちゃったのかな。」

.......。

僕には何も言う資格がなかった。


「だからね、ここ(ベトナム)へ来て、こうして自然に笑うことができて感謝しているんだ。」

.....それは、良かった。


「あ~、、、ほんと、久々に声を上げて笑った。」

.....君って、面白いだね。


「よく、そう言われる。」

.....そ、そうなんだ。


「それより後藤さんは、このサイゴンがすき?」

.....ん?....どうだろうね、
嫌いだったら、ガイドのまねごともできないんじゃないかな。


「そうなの・・」

.....ほら、あそこに見える橋を見てごらん。
カン・ホイ橋っていうんだ。


「カン・ホイ橋・・・」

.....あの橋の向こうに僕や、君のおじさんが働いている工場があるんだよ。
毎朝、あの橋を渡るときにね、仕事モードに切り替われるんだ。

.....あの橋は、このベトナムでの日常と仕事を支えている橋だから。


「後藤さんには、その橋のような人はこのベトナムにいるの?」


.....うん。.....いるよ。

.....君のおじさんもその一人だけど、
たくさんのスタッフやここで知り合ったサイゴンの人たち。


「そう、うらやましい・・・・」

.....そうかな?.....長く滞在していると、
ここの空気、ここの人並み、ここの時の流れに、、、、もう自分自身、染みついちゃたね。


「そういえば、後藤さんで、ベトナム臭い!」

......え?.....なんか、匂う?


「うん、私の大好きな匂い!」

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