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笑顔が愛おしくて ~ベトナム恋愛奮闘記~ 作者:KON
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ドキドキ!

.....ねっ、タムさん、この道(タントアンの工業地区内)だけ、
僕に運転させてもらってもいい?

後部のリヤシートじゃなくてさ、

ハンドルのグリップを全開にふかして、
正面からサイゴンの風を真っ向から浴びたいんだ、

だめかな?、、タムさん?

僕は、タントアン区域のゲートをでる少しの区間まで、
タムさんを後部に乗せ、このサイゴンの風を正面から浴びせてもらった。

それは、一瞬、無になった。
初めて車を運転した時の緊張感と爽快感。

ベトナムの人たちが暑い夜になると、なぜ行先もあてもないのに、
バイクを走らせるのかが、わかったような気がした。
それは、この生ぬるい風が爽快に心地よいのだ。

とにかくこの交通量がない工業地区内だから、そう感じることができたんだけど。

もちろんゲート手前で、タムさんと運転を入れ替わった。

.....カム、オン、ニャ、、タムさん、ありがとうね。


「ミスターゴトウ、ワタシ、、ウシロ、ノッテ・・ドキ、ドキ、シマシタネ。」

.....そんなに僕の運転、下手、ダメでした?


「ソノ、ドキドキト、チガイマスネ、、、」

そう言うと、
タムさんはこの埋め尽くすバイクの群れの街中へと軽快に舵をとった。


.....ん?!?、、雨、、、、、、。

.....タムさん.....レイン、、

「イエス、、トオリアメ、デスネ。」

ベトナムでは、急な雨も珍しくない。
周りの人たちもあまりあわてる様子もなく、
そのまま走り続ける人たちや、
路肩の屋根があるところで雨宿りする人たち、
カッパを素早く取り出して着込んでる人たちと様々である。

僕たちは、近くのカフェに入ってしばらく休憩をとることにした。
いや、昼食をとっていない僕を心配して、タムさんが立ち寄ったのだ。

「ミスタ、ゴトウ ・・Rain stops immediately.」(すぐに、やみますよ。)

カフェでは、タムさんの流暢な英語とたどたどしい日本語とゆっくり話すベトナム語を織り交ぜながらの会話にやさしさを感じ、そして暖かいコーヒーに癒された。
たしかに、西の方から見える空には日が差していた。

それより、少し雨で濡れたタムさんが、妙に色っぽい。

.....僕の方こそ、ドキドキだよ。
と、ポツリ呟いた。


「ワッツ、セイ?!、ナニ、、イイマシタカ?!?・」

.....あ、いや、、タムさん....プレゼント...サンキュねぇ。

それは今日の朝、工場に着くとタムさんから、

「I congratulate you on the birthday of you. 」(お誕生日おめでとう)と、

カラフルな包装紙に包まれたプレゼントをもらったのだ。
プレゼントはタムさん以外からも、エンジニアたちや、ワーカーたちからも。

日本で働いていた間、会社の人たちからみんなで
「誕生日おめでとう」と、祝ってくれるだろうか?

まず、僕の誕生日さえも知らないだろう。
それになぜか、現実にお返しの事など考えてしまう。

「ミスターゴトウ・・・・・」

.....ん?

「Japanese girlfriend beautiful?、、キレイデスカ?」

.....えっ?....タイ、サオ?(なんで?)


「 Now, please show a photograph.、コンド、シャシン、、ミセル、イイデスカ?」

.....写真、、あるかな?


そういえば、寮を出てから彼女の写真がスーツケースに入れ放しである。
滞在中のホテルのデスクには、トゥイからもらった帆船の工芸品と、
昨夜、誕生日にもらった花束が置いてあるたけだ。

少しずつ僕自身、ここ(ベトナム)に来て何かが変わってしまったのかもしれない。


.....バン、タイ、ティン、トイ、ニュー、テーナオ?(僕をどういう性格だと思いますか?)

タムさんにたどたどしいベトナム語で尋ねてみた。
こんなときだからこそ、自分の意見をしっかり言えるタムさんに。

「You are a person kind to.、、トテモ、ヤサシイト、オモウデス。」

それは、あまり言われたくない言葉だった。
優しいだけの男なのだ。

だから、日本の彼女にしても・・・
トゥイのことにしても・・・・・結論がでない。

舵取りが下手なのだ。

どちらかを傷づけることに臆病になっている。

「ミスターゴトウ・・・・・・・」

.....ん?


「Is Japanese she married? 、ケッコン、、カンガエマスカ?」

.....え?、きゅ、きゅうに、、タイ・サオだよ、タムさん??!?!


その重い二文字、すぐには答えられない情けない僕がいるのだ。

笑って、タムさんには、
.....どうだろうね。、、タムさんは、どうなの?、、ボーイフレンドは?
と、話を切り替えた。

「Chua co!」(いません!)

「・・・dang tim doi tuong・・」(恋人募集中です。)

.....ノイ、サオ~(うそ~).....

その言葉を、工場のエンジニアたちに聞かせれば、何人の人が立候補するだろう。
若干、一名の日本人だって・・・

「・・・ミスタ、ゴトウ、、OK?」

.....え?、なに?

「Do you remember? ・・・オボエテマスカ、、Paint My Love!」

ただその言葉は、この通り雨のように駆け抜けていった。
そして雨雲が去って、僕たちは空港へと向かった。

ところで、、空港で返したもらったDVDは三本中、たった一本。

そのうち二本は、スティーブンセガールなどのアクションものなのだが、
テロや過激な銃撃戦の内容では、だめらしい。

当たり前である。

ただ、後に・・・・・・
ベトナム市内の日本人専用レンタルショップで、
僕が、取り上げられた内容と同じDVDを、課長が借りてきたのは言うまでもない。

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