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笑顔が愛おしくて ~ベトナム恋愛奮闘記~ 作者:KON
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香取 拓哉です。

気になる異性っています?

その人のことを、つい・・・

考えてしまう時間、、多くなっていませんか?

食欲がなくなったり、勉強や仕事など、物事に集中できなくなったり・・

ぐっすり、眠れます?

もうそれは・・・・・どうしようもないことだよね。

だって・・誰にも話せないことだからさ。


僕がいない十日間、トゥイは僕のことばかり考えていたらしい。

もう、僕がこのホーチミンに戻ってこないんじゃないかと・・・


そう思うと・・・・・

眠れない毎日が、続いたという。


ここは、トゥイの姉が経営するレストラン_____

寮のみんなと、レストランに入る前で、
トゥイが僕に寄り添い・・・囁いた言葉がある。
その言葉は、はっきりとした日本語だった。

まるで、何度も何度も・・言葉にしていたかのように・・・

「・・ス・キ。」

僕はそれにどうやって応じればいいのだろう。
「すき」、なんて言葉をストレートに言われたことなどない。

もちろん、僕もトゥイのことが好きだ。

事実・・トゥイが、北沢さんや課長たちと仲良く話してると嫉妬、
やきもちみたいなものを、感じてたりしているのだ。

それは明らかに僕もトゥイのことを意識し始めている証拠なんだし、
知らずに、目の前の料理よりトゥイの方に目がいってしまう・・

ここ(ベトナム)にきて、こんな気持ちになるなんて思いもしなかったことだ。


「これからどうする?」

そうだ、この先どうするんだ・・・


「後藤!聞こえてるのか!」

.....えっ?


「この店を出た後、これからどうするって、聞いてるんだよ!」

僕の帰国、誕生会兼ねてのトゥイの姉が経営する店で、
課長が言った。

「何、考えてたんだ?・・日本の彼女のことか?・・・それとも・・・・・・」

.....すいません。


「これから、トゥイちゃんと一緒にどこが消えるか?」

.....あのねぇ!

.....今日は、このままホテルに戻ります。


「そうか・・・・・じゃ、付き合え。」

.....はぁ?


「いいところに連れて行ってやる。」

...............。


いいところ・・・・・



そこは店を出て、タクシーで10分ぐらいの場所にあった。
後に、そこへ課長と行ったことが間違えだったと自覚することも知らずに・・


「オッケー、、オッケー、ストップ!!」
課長が、タクシー料金を払って降りると、、

.....ここ!?


「そうだよ、!」

閑静な場所にひときわ目立つネオン・・・・・
そのネオンの敷地内に止まっている高級外車。

課長が、店の前に立つ正装したボーイに、手帳から取り出したカードを見せると、
そのまま店の奥へ案内された。

そう、ここは高級ディスコクラブ。

店内は真っ暗で、
ものすごい音量とともにダンスナンバーが耳をつんざく!

さらに、ダンスミュージックと無関係なアニメや映像が、
天井からつり下がっている巨大なスクリーンに投影され、その映像が目に入る。

ボーイがペンライトを足下に照らし座席へと案内してくれた。
しかし、ものすごい音量だ!・・おなかにまで響く。

中央のステージには、レインボー色に照らされライトを浴びた若い女性たちが踊っている。
それを心地よく干渉しながら、演奏している生バンド・・・

座席に着くと・・店のママさんらしき女性が、僕たちの方へ歩み寄ってきた。
ものすごくきれいでスレンダーなママさんだ。

僕に笑顔で、挨拶を交わすと・・・・・・
課長の横に密着するように座り、課長の耳元で何か話しかけている。

この店内では、手を覆って相手の耳元で話さなければ聞こえないのだ。
この賑やかな演奏(BGM)が会話の妨げになっているからだろう。

いや、お互いがいい感じの密着度を高めさせてくれるのだ。

しばらくすると、課長がキープしていたボトルが運ばれてくる。
このボトルキープにしても、ここに入るのに取り出したカードのフリーパスにしても・・・
相当、課長はここに通いなじんでるとしか思えないのだ。

「どうだこんな雰囲気・・いいだろ!」

.....えっ.....今何か言った。


「い・い・だろう!」

.....はぁ。

またしばらくすると、ママが一人の女性を連れてきた。


「どぉ~?・・この?」

課長が僕の耳元で大きく囁く。

.....え。

ママさんが、僕のためにエスコートしてきてくれた女性だ。
とてもきれいでスレンダーな女性だ。

その女性が僕の横に座ると。

「How do you do !」

.....チャオ、エム。

「Oh!・・・」

チャオと簡単な挨拶をしただけなのに、
ベトナム語うまいですねと言わんばかりに驚いた様子だ。

「Ten toi la Lan.・・・・Rat vui duoc gap anh.」
(ランです、お会いできてうれしいです。)

彼女は自然とベトナム語へと切り替えてきた。
そして彼女が僕の名前を聞き出すと・・・・・

「Ten cua anh la gi?」(あなたのお名前は?)

.....Toi ten la KATORI TAKUYA. (香取 拓哉です。)

なぜかスマップのメンバーを組み合わせた名前が口からこぼれた。

自然と自分の名前が、彼女に対して・・・出てこなかったのだ。
明らかにここにいる自分の存在を否定している証拠だ。

「Let's dance!」

ここでの数時間は僕にとっての別世界だ。
真っ暗の中にひときわ輝くミラーボール。

腹にまで響いてくる音。
胸元が大きくあいた刺激的なドレス。

そして、彼女から奏でる甘い香水の匂い。

そんな中、もちろん僕がダンスなど踊れるわけもなく、
人が踊っているのをただ、ただ眺めているばかり・・・・・・

それを横で見ている彼女は、
僕の隣で、いかにも踊りたいという様子で、
僕の手を握りリズムをとっている・・


ふと、部長のことを思い出した。

部長の彼女もバーで知り合ったと言うが、
こういう場が長期駐在員の息抜きの場でもあるのかもしれない。

でも、今の僕にはただ、うるさいだけの場であった。
そして、ものすごく場違いな場所に来てしまったことに後悔する僕がいた。

.....課長!帰ります。

とにかく、服にもしみ付つくような彼女の香水のにおいを早く脱ぎ捨てたい気分だったのだ。

いや、この場に長くいたら・・・
僕が僕でなくなるようで怖くなったのかもしれない。

むろん、僕も男。

単純だからこそ・・ここに長く留まれば、まじ誘惑に負けると思う。

横に座った彼女にはものすごく、すまないという気持ちで、
多くのチップを渡し、店を出た。


店を出ると、バイクの音が気にならないほど静かなベトナムを感じた。


タクシーを待っている間、

「後藤~!」と課長の声が追いかけてくる。


「なんか、すまなかったな。」

.....いいえ、僕があやまらなけりゃならないほうだし、、


「なんでだ?」

.....課長の彼女は、あの店のママさんなんでしょ?


「ん?」

....課長にだけは唯一、あの店の中、横に女性がつかなかった。


「はは・・・するどいね。」

.....それにあのママさん、ちょこちょこ他のお客のエスコートの合間に、
課長の横に座って手を握ってたし.....


「まぁ・・・そういうことだな。」

.....だから、あのランっていうおんなの子にも、
そのを紹介してくれたママさんにも、、

.....わるいって言うか、すまないって言うか、、、


「ランって娘、とってもいい感じの娘だと思ったんだけど・・・・・」

.....課長、何で僕に、ほかの女性を紹介したんですか?


「あ~後藤とトゥイちゃんを見てたら、なんか・・・ねっ!」

.....なんかって、意味がわかんないんですけど!


「このままおまえたち二人を見守っているとさ、先が怖くてさ。」

....どう意味です?


「トゥイちゃんのこと、この先どうするんだ?、日本で待っている彼女は?・・・・」

.....えっ。


「ま、なんだ、、トゥイちゃんを紹介したのは私だし、
日本で総務に入った彼女を後藤に紹介したのも私だから・・・」

...............。


「結局、このままだとどっちかが悲しむことになるよ・・・・責任は私にもあるからね。」

.....責任とか、どっちとか、そんなこと、、


「だからさ、だったら他にたくさんの女性を後藤に紹介して・・・・
さっき後藤が彼女に言っていた名前・・・香取拓哉という名を変えてさ、仕事以外、、
このベトナムでは、その名前でいていいんじゃないかなと。」

...............。

「こんなこと言える立場じゃないけど、、トゥイちゃんを忘れろとは言わないが、
日本で待っている彼女のことだけを考えていられるんじゃ・・・」

.....課長、言っていること無茶苦茶じゃないですか?


「だから、仕事以外では、香取 拓哉でいればいいんだよ。」

....無理、無理だよ、そんな起用じゃないし。


「事実、トゥイちゃんは真剣に・・後藤のこと考えているよ。」

「普通の女の子が普通に恋をしているように・・・・」

...............。

何も言えなかった。



たった十日間、会わなかっただけで、より募ってしまうトゥイとの関係。
ほんの半年間も会わなかっただけで、ぎくしゃくしてしまう日本の彼女との関係。

僕はこのベトナム・ホーチミンの夜の町に思いっきり叫びたかった。


.....情けねぇ!

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