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笑顔が愛おしくて ~ベトナム恋愛奮闘記~ 作者:KON
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言葉にならない告白

本日は一時帰国のため、タンソンニャット空港に近い寮にいる。
半年ぶりに日本へ帰国するのである。

日本への帰国は仕事も兼ねているけど、
有給を使っての休暇をいれて10日間・・・
それでも、久しぶりの日本での帰国が楽しみである。

ある意味プチ浦島太郎になってなければいいけどね。

寮へ挨拶に行ったら・・

「日本に帰ったら、彼女によろしく。」

「おみやげは、日本酒と明太、塩辛でいいよ・・・」

「最新の洋画のDVD、忘れんなよ。」

みんな言いたい放題なのである。

そう、僕が泊まっているホテルで荷物をまとめて、
ここホン・ハーの寮のリビングで、飛行機の時間待ちをしているのだ。

なんたって、この寮から空港まで10分とかからないし、
深夜の飛行機に乗って帰るので、
10時頃に、ここを出ても間に合うというわけだ。

.....もうそろそろ行くよ。

「じゃ、我々もお送りに行くか・・・・・」

ここでは、寮の誰かが一人でも帰国する際には、
みんな(日本人スタッフ)が空港まで足を運んでくれる。

自然とそんな寮のルールができている。

タン・ソン・ニャット空港・・・・・・・・・。

夜中の十時にもなるのに空港は活気づいていた。

「ここから中に入って、一番右奥がベトナム航空の成田便の搭乗手続きをするところだからね。」

工場長が心配そうに案内してくれている。

「じゃ、われわれはここからは入れないから・・・・・」

.....うん、ありがとう。

ゲートの中と外はガラスの壁で仕切られているので、
外からでも中の様子がうかがえる。

よって、中に入ってチェックインの列を待っている間にも、
ガラス越しの外から、
みんな(日本人スタッフ)僕を見守ってくれているのが分かるのである。

ほんと、うれしい限りだ。

「ここ、ベトナム航空の成田便の列でいいんですよね。」

.....えぇ、そうみたいですね。
若い日本人の女性が僕に話しかけてきた。

「こっち!、こっち!」

女性が手招きしている方から、スーツケースを2つも持った男性が駆け寄ってきた。

「航空券とパスポート出しといて・・・」

「あ、あ~・・・」

どうやら若い夫婦らしい。

二人のやりとりが、まるで夫婦漫才でも見ているかの如く笑わせていた。
ベトナムの人と同じ・・女性上位かな?

「あの~空港施設使用料って用意しといたほうがいいですか?」

..... 空港使用税は航空券の金額に含まれてますよ。


「ありがとう!」

.....コン・コー・ジー。(どういたしまして)


「えっ?」

.....あっ。

つい、ベトナム語が自然に口から出てしまっていた。

おそろしい・・・・・・・。

搭乗手続きを済ませて、少し歩いたとこで、

今一度、ガラスの向こうに目を向けると、
まだみんな(日本人スタッフ)が手を振っているのが見えた。

すぐ戻ってくると言うのに・・なんか寂しい感情に包まれた。

じゃ、行って来るね。

・・・・・と、僕は心の中でつぶやいた。

ん?・・・・すると、

ガラスにカタカナで書かれた二文字が目に飛び込んできた。

ス・キ・

そこにトゥイの姿があった。
ありったけの息をガラスに吹きかけて
日本語カタカナの二文字を指でなぞっていた。

思わず僕は、前の柱に衝突しそうになった。

「だいじょうぶですか?」

さっきの若い夫婦が声を合わせてたずねてきた。

そこには、とてもやさしく仲がいい夫婦の笑顔があった。

そして、その二文字ともに
少し、トゥイと目線を合わせ、声を出さない言葉で
あ・り・が・と・う、、と伝えた。

トゥイも、僕の姿を確認するように・・
ガラス越しになぞった指で喉のあたりを、親指と人差し指を広げながら
軽くつまむようにして下に降ろす動作をした。

そう、トゥイはうまく言葉が伝わらない時に、
よく手話を使って伝えようとする。

ベトナムで障害者のために色々と勉強しているからだ。

.....トゥイ。

それは、トゥイからの言葉にできない告白だった。

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