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笑顔が愛おしくて ~ベトナム恋愛奮闘記~ 作者:KON
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サイゴンに架かるマディソン郡の橋

.....150!、、北沢さん、、見て、見てよ、.....調子が出できた!
北沢さん、もう1ゲームやります?

「いや、もう帰るよ。」

.....じゃ、部長に、声かけてきます?、僕達に気がついてないようだから。


「やめとこう・・・・・」

.....はぁ?、どうしたんですか? 北沢さん、、急に、、

すると北沢さんは、僕の言葉を遮るように、
「いいじゃない、帰ろう、、」


僕たちは、ボーリング場から歩いて寮に戻った。
北沢さんはその間、ずっーと黙ったままだった。

部長と一緒にボーリングを楽しんでいた女性と、
北沢さんとは何か関係があったのかな?

んな、わけないか。

寮の近くまで来たところに、専務と工場長の姿が目に入った。

ホン・ハー沿いをゆっくり歩いて、タクシーを捕まえている様子だった。

「お出かけですか?」
北沢さんが専務に穏やかな口調で言った。

「さっきから、なかなかタクシーを拾えなくてなぁ・・」
と、専務が言うと。

「あれ、タクシーじゃないですか?」
黄色のタクシーが、手を振っている僕たちを見つけると、
Uターンしてこっちに向かってきた。

「お前たちも一緒に行くか?」・・と専務。

.....どちらまで?

「市内の飲み屋だよ、おごるぞ・・」

.....北沢さん、どうします?

「これから、後藤と近くの屋台に食べに行くので遠慮しときます。」

「そうか・・・・・」

.....えっ、、屋台?!?

そんなの初めて聞いたぞ。

専務たちがタクシーに乗り込んで僕の視界から消え去った後・・・・・
北沢さんのほうもさっさと寮のほうへ戻っていった。

僕は北沢さんを追っかけながら・・

......北沢さん!、これから屋台へ行くんですか?


「あっ、ごめん・・・今日は疲れたから寝るね・・・・・わりぃ~な、後藤・・・」

..........。

どうやら北沢さんのゲームは、まだ終わってないらしい。


寮の自分の部屋に戻ると・・
ボーリングと、少し暑い夜道を歩いてきた汗を流すため、シャワーを浴びた。
それから、部屋を出て・・・

一階すぐ脇の応接室でひとり、
理解できないベトナムの民放ドラマをTVで流しながら、
リビングのテーブルにおいてあった雑誌(専務が、日本から持ってきた週刊誌)を、僕は見ていた。

「おもしろい記事でも、載ってるか?」

.....課、課長、いらしたんすか?・・・・・いつから?


「なんか、慌てて週刊誌を閉じるってことは・・・袋とじを・・」

.....い、いや、、


「み・て・た・・・・・・・彼女に教えちゃおうかな?」

.....ってゆうか、この袋とじ切ったの課長じゃないですか!!、僕、見てましたからね!


「なかなかのもんだったぞ!」
課長が、楽しそうに笑って言った。

「どうだ、DVDでも見るか?・・・・・さっき借りに行ってきたんだ。」

.....ベトナムのDVDですか?


「新しく日本人向けのレンタルビデオ屋が、市内にできたんだよ。」

.....ほんと!?


「会社のポストの中にチラシが入ってたんだ。・・・・・ほら、これ。」

.....ん?

そのチラシには、アクションからSF、そして日本の大河ドラマまで、
豊富なタイトルがラインアップしていた。

.....レンタル料一本、3ドル!、、日本と変わりない料金!


「洋画はちょっと前の旧作ばかりだしね。」

.....ほとんど見ているのばかりだ。


「そういえば、ボーリング・・どうだったんだ?・・いやに早く戻ってきたから・・・」

.....1ゲームしかやらなかった、、部長も来てたよ。


「若い女性と一緒だったか?」

......え?.....どうして、知って!?


「綺麗なお姉ちゃんだっだろう?・・あいつの好みじゃないかな?」

.....あいつって!!?


「ん、他にだれがいるんだ?」
課長が北沢さんの部屋の方を目で指しながら言った。

.....そういえば横顔が少し誰かに似てたような...タ、タムさん?


「はじめて北沢を市内のバーに連れて行ったときに、横に座った子だよ。」

.....バーのお姉さん?

「少しタムさんに似ているけど似つかない商売の娘・・・若い北沢には相手にならないよ。」

.....遠目でしか見てなかったけど、きれいだったよ。


「一緒にいてもお金を吸い取られるだけ、何も残らない。」

言葉が出なかった。

TVのブラウン管の中には市内から外れたベトナムの農村のような風景が映し出されていた。

マディソン郡の橋・・・・・
平凡な夫婦生活の中で、ふと訪れたもうひとつの恋愛映画だ。

.....課長。

.....ところで、何でこんな古いの借りてきたの?

「ん?うん、、、」
課長から、言葉にならないようなため息交じりの返事がかえってきた。

課長もベトナムに来て半年・・・・・
やはり、さびしいのかなぁと思った。

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