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笑顔が愛おしくて ~ベトナム恋愛奮闘記~ 作者:KON
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何にでもよく効く薬

タムさんの家で、苦いコーヒーをごちそうになった後、
速攻でタクシーを捕まえて寮へと戻った。

頭がガンガンする朝帰りである。

寮に着くとみんなが朝食を摂っているとこで、

「おい、おい、連絡ぐらいよこせ!」と、
ずいぶん、工場長にどやされた。

逆の立場だと思うと・・
当然である。

工場長以外にも、みんなが心配していたのだから。

ここは日本と違う・・・・・同じように考えていたらいけないのだ。

この後、工場長が寮の規則を学校の生徒手帳並に、
門限を厳しいものへと変えたのはいうまでもない。

会社へ向かうバンの車中でも、
気まずい雰囲気が続いた。

ほとんど、みんなが一睡もしてないからだ。

連絡もせずに朝帰りした僕のせいなのだ。

会社に着くと
エンジニアのTONやワーカーたちが普段通り接してくれているのが
なによりうれしかった。

.....イエスタディ、センキュ、カモンニャ、ありがとう。

昨日の歓迎会・・僕の精一杯の言葉であった。

そういえば今日、日本の本社から専務がベトナムに来ると言ってたっけ・・
昨日のことを知ったら・・・・・よけい頭が痛い・・

・・・・・・

.....ん?

タ、・・・・・タムさん。

「This medicine works well」(この薬、効くよ)

頭を抱えてた僕に、優しい口調でタムさんが薬のような物を持ってきて言った。

・・・・・イエスタディ、ア、アイム、ソーリー・・・シン、ロイ・・・

僕は昨日、タムさんや家族に迷惑をかけたことを謝った。

タムさんの方は、何もなかったように普段通りにやさしく接していた。

そして、手に持っている小さな香水の瓶のような物を指先に塗ると、
僕の頭の額へと数回こすりつけた。

僕が頭を痛いのを知ってのことである。

風油精と書いてある緑色した液体のそれは
タイガーバームのようにすーっとした。

ベトナム版タイガーバームのようなハッカ油だ。
何にでも効くらしい。

二日酔いにも効くのかなぁ~

いろんな意味で効いた日だった。


そして昼食ー

工場の食堂で、みんなと同じものを食べるランチはとてもうまい物ではない。
ライスも箸でつかめないほど、ぼろぼろなご飯だし。
紫色した芋のスープはとても食欲がそそる色とは思えない。

市内のレストランや歓迎会でTONたちにご馳走になったベトナム料理とは
また、違った意味で全くの別物なのだ。

「おい、後藤!」
・・・・・ん。

「ほら、生卵やるよ。」

.....北沢さん・・ありがとうすっ。


「タムさんの家に泊まったんだってな・・・」

...............。


「さっき、タムさんが工場長に後藤のことをかばってたぞ。」

.....え?


「なんでも、後藤が体調を崩して泊めてあげたんだってさ・・・ほんとか?」

.....う、うん。


「後藤もベトナム来て早々、いろんなこと体験してるよなぁ~」

・・・・・・・・・・・言葉が出ない。
まさにその通りであった。

しかし、北沢さんのやさしい口調が、一年上と思えないほど大きく見えた。

.....北沢さん?

「ん・・・」

.....おなかの調子はどう?


「あ、もうだいじょうぶだよ・・お互い工場長に心配かけてんだよね。」

ほんと、その通りである。

「そうだ夕方、専務を空港に出迎えるから一緒に行こうよ?」

.....三日間.....専務が滞在するんですよね。

「その後、寮で夕食を済ませたらボーリングでも行こうか!」

.....ボーリング?


「空港近くにあるサイゴンスーパーボールだよ。」

.....通勤途中に、バンの車中から見えたあの目立つ黄色い建物


「勝負するか?」

.....何か賭けるんですか?


「タムさん・・・」

.....えっ?


「あんな子と付き合いたいと思わないか?」

...........!!??!?


「冗談、冗談だよ・・ほんとだと思った?」

・・・・・・・北沢さん。

きつい冗談で言葉が出なかった。
この時・・箸の間からは、さらにライスが・・ボロボロこぼれ落ちた。

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