挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
笑顔が愛おしくて ~ベトナム恋愛奮闘記~ 作者:KON
14/73

それぞれの休日

今日はベトナム滞在時にして初めての休日(日曜日)である。
昨日の夜は休み前ということで、みんな遅くまで飲みに出かけたようだ。

よって、思う・・・

まだ、みんな寝てるんだろうなぁ~と、

もちろん昨夜は、僕も寮の何人かに誘われてはいたが、
ちょうど寮に戻ったときに、日本にいる彼女から国際電話がかかってきたために、
みんなのお誘いを低調にお断りしたのである。

なぜなら、電話での彼女の声を聞くと、とても飲みに出かける気分になれなかったのだ。

電話の向こうの声はとても近くに感じるのに、とても遠かった。


「休み前なのに予定のない週末・・・寂しいよ。」と、彼女の声。

.....僕だって。

お互いが共感した淋しい週末なのだ。


さてと、日曜日・・・昨夜同様、僕には辛い休日となりそうだな、
なんたって予定がないし・・
それにまだ、一人で街へ出掛ける勇気もない・・・・・・

そんなことを思いながら、
寮の一階にあるリビングに降りると、
一日遅れの日本の新聞を見ていた部長がいた。

.....あっ、部長、おはようございます!..お早いですね。


「おはよう!・・・朝食はもう食べたか。」

.....いいえ、まだです。


「日曜日はお手伝いさんも休みだから、朝食は個々に適当に食べないとな。」

.....はい。


「冷蔵庫に何かあるから勝手に台所を使うといいよ。」

.....そういえばまだみんな起きてこないんですか?


「もう、とっくに起きて出かけてるよ。」

.....えっ。


「課長は英会話教室、北沢君はダンス教室、工場長は朝のジョギングだろう・・・・」

.....そんな朝、早くから・・・


「後藤君は、何か今日は予定があるのかな?」

.....い、いえ、もちろん何もありません。


「だったら、一緒にホーチミン市内をぶらついてみるか?」

.....はい!是非、、お願いします。


ジリリリリリリリリリリィ・・・・・・・

「ん?インターホンだな・・・工場長が帰ってきたのかな?」
部長が、腰をおさえながら立ち上がろうとすると、

.....あっ、部長、僕が出ますよ。


「あ~そうか、頼むよ。」

寮の門を開けるとそこには両手いっぱいの袋を持った工場長が立っていた。

.....おはようございます、工場長!


「おはよう!」

.....何をこんなにいっぱい買って・・・?


「カレーライスの材料だよ、本格的に作ろうと思ってなっ、後藤も手伝うか?」

.....はい、あっ!、、いえ...これから部長とホーチミン市内に・・・


「そうかぁ~」

.....すいません。


「あやまることはない、いいんじゃないかな、ベトナムに来て初めての休日なんだから・・
定番の市内観光をするといい。」

......はい。


しかし、みんながみんな、休日の過ごし方を心得ているんだなぁ~
まだ、みんな寝てるんだろうなぁ~なんて、少しでも思った自分が恥ずかしい。


ジリリリリリリリリリリィ・・・・・・・

「また、誰か帰ってきたのかな?」

.....そういえば、工場長も含め、なんで、みんな寮の鍵を持ってないんですか?


「普段はお手伝いさんやウォッチマンがいるからなぁ~
今、持ってるのは寮長でもある課長だけ、そのうちみんなに渡せるよう手配中だよ・・・。」
そういって今度は部長が扉の門の方へと駆け寄った。

すると、扉の門の外から部長が、

「後藤君!・・お客さんだよ。」

と、大きな声が飛び込んできた。

.....誰だろう?

「さぁ~、誰でしょう?」

部長が僕の方へと、羨ましそうな笑顔を浮かべて僕の肩を叩いて行った。

.....な、なに??

「かわいいお客さんだよ。」

そこには、亜麻色の香りとアオザイが眩しかった・・・・あのトゥイちゃんが立っていた。

「どうやら、今日の市内観光へ行くお相手は私ではないようだな、若いっていいねぇ・・」

.....部長。


「ほら、後藤!早く着替えてこんかい!」

.....工、、工場長まで!!!??!

彼女は扉の前で笑っていた。・・ほんとに僕を誘いに来たらしい。

しかし、どうして?

工場長が片方だけ目のしわを寄せ、
怪しい笑みを浮かべたのだ。

....工場長?

どうやら工場長と課長が組んで呼び出したらしい。

「ほら、レディを待たせるもんじゃない!」
工場長が僕の尻を叩いて言った。

彼女は、また笑っていた。

その彼女の笑顔はものすごく自然で、屈託がなかった。


しかし、このときの彼女の笑顔がこの先の長いベトナム生活の中で、
どんなに心強く励まされることになるとは・・・・・

思いもよらなかっただろう。

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ