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笑顔が愛おしくて ~ベトナム恋愛奮闘記~ 作者:KON
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究極の選択

それは、9月のまだ暑い夏の終わりのことー
僕が働いている工場の正社員みんなに、
本社の専務と各社員との面談が設けられていた。

面談の内容は、みんながうすうすわかっていることでもあった。
この時期に給料改定や昇給の話ってこともないのだから。

噂では、僕が働いているこの工場がそのままベトナムという国に移行することだ。

つまり、経営・管理や開発などを日本の本社で行い、
労働力を必要とする生産部門をすべてベトナムに集中させるわけである。

よって、ここの工場で働く正社員10名とパート、アルバイト30名のほとんどが解雇されるのだ。
(目の前の現実が、うそのようで・・この数週間、不安で仕事が手につかなかった・・)

でも今の世の中、賃金が安く多くの人材を確保して生産力を高めるには中国やインド、ベトナムといった国で工場を立ち上げるしかないのかもしれない。

わかっているんだけど・・

つ~か、僕が働いているような中小企業(工場)での生き残る選択技なのかもしれない・・・

僕の名前は後藤、誠 25歳。

いま、僕が働いているこの職場は、元は倉庫を利用して改装した町工場である。
本社は都内のオフィスビル内にあるが、入社以来・・

足を運んだことがない。

仕事はというと、眼鏡を設計から仕上げ工程、眼鏡アッセンブリ及びセットまで一連の処理行程をする製造業。

そんな僕だって、いちようは彼女だっている健全な青年だ。

・・・と、思う。

そんな健全で、映画好きの僕にとって、
ベトナムと聞いて最初にイメージするのは・・・・・

戦争

映画の中でのベトナムは恐ろしいぐらいによく知っている。

「プラトーン」に「フルメタル・ジャケット」、「ハンバーガー・ヒル」、「グット・モーニング・ベトナム」・・・
そしてランボーやフォレスト・ガンプだってベトナム戦争を切り抜けてきたヒーローだ。

古い!?・・・~って、言われてもね。

昔の古い洋画好きの僕にとっては、戦争と枯葉剤というイメージでのベトナムしか知らないんだから!!

それにあまり流行に疎い僕は、グルメや雑貨といったイメージはベトナムに持っていない・・・
ほかの年配社員だってそういうイメージをベトナムという国に抱いているに違いないと思うんだ。


.....失礼します。

「お、後藤君、そこに座ってくれないか・・」

専務との面談である。

「もう、分かってると思うんだが、生産の拠点をすべてベトナムに移行するんだ。」

.....はい。


「すでに半年前に、選抜メンバー4人とここの前工場長を含めた5名が
ベトナム工場立ち上げのためホーチミンに行ってることは知っていると思うが・・・・・」

.....はい。


「実は、後藤君の若い力も借りたいと思ってるんだ。・・・どうだろう、ベトナムに行くことについて。」

................。
(分かっていることで、どうだろう?・・って言われても。)

もちろん、僕のような製造分野で長い間、仕事をしてきたものに、
本社への配属などあるわけがなく、自主退社か、ベトナム行きしかないのだ。


「ベトナムの中心街ホーチミンだ。いい場所だし、なにも困ることはない。」

...............。
(ホーチミンって、首都じゃないとこだよな~)


「ところで、後藤君は彼女、いるんだっけ?」

.....はい?、   は、はい。


「えっ!!、い、いるのか・・・!!」

.....!!??。
(そんな驚くほど意外なこと?・・いちゃ~いけないんすか?)


このとき僕はまだ、目の前に起きている現実を、やはり受け止められなかった。

なんたってベトナム行きを断れば会社を止めるしかない。

この職場の、みんなとのお別れ、
さらに・・・・・彼女とも・・・・・・

・・・究極の選択だったからだ。

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