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Wing ~哀しいセカイの優しいハナシ~ (予告編)

作者:相香山人
当作は体験版としての「予告編」です。
従来の本作品は冊子にて頒布しております。

また、内容は開発中のものであり、冊子版とは若干の差異がある事、また予告ゆえに完結までに至っていない事をご了承くださいませ。
「ぎゃん!」
 左ワンレンの髪型をした少女の口から、その見目には相応しくない濁った悲鳴が響く。
 もっとも背中から勢いよく河川敷の大地に叩きつけられたのだ。
 やむないコトかもしれない。
「大丈夫!? つばめっ!」
 少し離れた場所にいる、モノシニヨンの髪型をした、もう一人の少女が声をかける。
 つばめ、と呼ばれたワンレン少女はフラつきながら立ち上がって。
「うん……ごめん、こだま」
 うん、と応じながらも、その息は荒い。
 とにもかくにも。
 つばめ、こだま、と互いに呼び合う二人の少女は、自らの通う学校の制服であるフランネル地のブラウンブレザーに身を包み敵に対峙する。
 二人の目の前では、件の敵が前後左右にと、そのアメーバ状の体を広げる。
「よこせ……」
 うねうねと気持ち悪く地面をたゆといながら、声を発するアメーバ。
「よこせ。おまえたちのハート。『レジェンド・ハート』を」
 この言葉と共に、少女たちの胸がドクン…と大きく拍動する。
 互いの胸部に浮かぶハートの形の輝き。
 二人は自身の服の上から、それをぎゅっとつかむ。
 こだまが呟く。
「冗談じゃない……っ。誰が!」
 つばめも頷いて。
「渡すものですか……そうしたら、あたしたちが死ぬと解っていながら!」
 二人は互いにアイコンタクトをとって頷くと、敵を見据えながら声を合わせて。
『目覚めてハートピース!』
 そして右につばめ左にこだまと位置どって立つと互いの両手を繋いで。
『サンライト・オーバードライブ!』
 叫びと共にそれぞれの外側となる腕を天にかざす。
 すると二人がかざした腕の手首から大きな。
 それは大きな翼が生える。
 生えた翼が二人を包み、次の瞬間、羽を散らして弾ける。
 舞い散る羽の中から姿をあらわした二人の姿は、それぞれ翼を持つ手の側の髪型が一部の髪を下に垂らしたシニヨンアップに、服はふりひらながらもシンプルで動き易いズボンルック。
 違いはスタイルやデザインが鏡に映したように対照的な事。そして色。
 こだまは朝焼けのような黄色、そして同色の右目。つばめは夕焼けのような赤色、やはり同色の左目。
 しかし、もう一方の瞳の色は変わっていない。いわゆるオッドアイだ。
 その姿を見た者は間違いなく某有名バトルヒロインアニメのシリーズタイトルを挙げて「まるで」「みたい」と例えるような。
 そんな姿に変わっていた―――。

 男はポケットから携帯電話を取り出すと、二人の少女の姿をカメラのフレームに収める。
 携帯電話のプログラムが捉えた画像を元に二人の分析を始める。
 表示されていくデータに、笑みがますます強くなる。
「なるほど……一人一人の強さは以前の『ソリッド』よりも低い。だが、二人が合わさると相乗効果によって『ソリッド』一人分よりも強い力を示す。これは怪我の功名だ」
 満足するような独り言。
「ヤツめ今際(いまわ)に自らの命を……『レジェンド・ハート』を見知らぬ異世界の小娘どもに与えるとはな。無駄な足掻きをと思ったものだが、なるほどコレなら納得だ。やれ! エンジェビーストよ! 小娘どもを葬り『ソリッド』の『レジェンド・ハート』を奪うのだ!」

 アメーバが動き出し少女たちの立つ位置を襲う。
 だが、その時には既に二人は大地を蹴って上空へと飛び上がっていた。
「ブレイクっ!」
 一方の少女が叫ぶと飛び上がった宙を蹴る。
 すると最初からそこに足場があるかの如くセットの動きが軌道を変えてブレイクの方へと近づく。
「セット!」
 再び繋がれる手。
 セットが宙を蹴り、さらに上へと逃れようとする。
 しかし。
 がくん、と妙な抵抗を感じる二人。
『!!!?』
 ブレイクが足元を見る。
 視線の先は抵抗を感じた自分の右足首。
 そこにはアメーバの触手が巻きついていた。

 二人の少女の苦境を眺めながら男は笑う。
「はぁっはっはぁ! 所詮は小娘! いくら伝説の魂を受け継ごうとも『伝説』そのものを熟知する我々に叶うハズもあるまい!」
 男は上機嫌でセットとブレイクの姿を見つめる。
 その頃にはアメーバは二人の肩口まで、その体を侵食させていた。

 男は小さく。少女たちにも聞こえぬ程に普通の人間には出来ぬ発音で小さく呪文を唱える。
 ブレイクとセットの体に軽いショックが断続的に走り出す。
『うあああぁぁぁぁ!!!!』
 二人の瞳に涙が滲む。
 最早、絶対絶命。男はニヤリと笑い叫んだ。
「さぁ! 今日こそ、戴くぞ『レジェンドハート』を!」

 しかし、次の瞬間、二人の少女は見た。
 他ならぬ男のアタマが瞬間的にひしゃげて吹っ飛んでいくのを。
 同時に電子音のメッセージが鳴り響く。
『Preset. Whip』
 そしてバシュ! と閃くような音。
 二人を包むアメーバがバラバラに刻まれ、ブレイクとセットが解放される。
 二人は落下するが、それを何かが受け止める。
 ブレイクは誰かがお姫さま抱っこのように。
 セットは宙に浮いた大ぶりのスケボーみたいな板に受け止められるように。
 苦しそうに胸を押さえるブレイクとセット。
 ハート型の輝きが二人の胸から消えていく。
「大丈夫か?」
 ブレイクを抱えた人物が二人に尋ねる。
 セットは彼を見上げた。
 オールバックの頭にかぶっているのは赤く輝くサンバイザー。
 顔に巻きついているのはハチマキの如き真っ黒のフェイスガード。
 白いドレスシャツの上に真っ青なデニムの上下。特に上のデニムジャケットは前をはだけているためシャツが見えている。
 手に持つのはトウモロコシのように平坦ではあるが突起に彩られた柄の鞭。これでアメーバを切り裂いたのだ。
 セットは思わず呟く。
「あなたは……」
 すかさずデニム少年が答える。
「G。前にも、そう名乗った」

 動くアメーバ。G、ブレイク、セット、それぞれに触手が飛ぶ。
『ひっ!』
 身構えるブレイクとセットだが、Gは無言で手元の鞭の柄についたボタンを操作。
『Preset.Blade!』
 瞬間、鞭が柄を残して光の粒子となって消えうせる。
 その代わりに柄の鞭が生えていた方とは逆側の端が輝きを放つ。
 輝きはやがて修練し、細長い剣へと姿を変えた。
 そしてGはブレイクとセットをかばう様に剣を振るう。
 再び、ばしゅ! と軽い音がするが、アメーバはいったん切れたかと思うと、切られた体の一部を再び取り込んで元に戻る。
「これじゃ、きりがないっ!」
 悲鳴のように叫ぶブレイク。

 しかし、Gの叫びが力強く轟く。
「こいつらは、俺が守る!」
 その振るわれる剣が切り開かんとするのは、守らんとするものは、果たして―――!
2010年8月15日、コミックマーケット【東5ホール フ-41a】にて頒布しました!

同人誌版(A5版・コピー誌)の頒布を希望される方は作者までダイレクトメッセージをいただきたく思います。頒布価格は 200円 です。

入金方法や送付方法などは返信メッセージにて詳述させていただきます。

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