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アゲハの開拓街 作者:天界

第1章 長いお散歩編

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007 ボクの主人公坂は! かん!



「ふあぁぁ……」

 精神的にすっかり疲れてしまった解体だったけれど、お昼寝したらずいぶん調子も戻ってきた。
 スマホで時間を確かめると2時間くらい寝ていたっぽい。
 もうすぐ3時になりそうだ。今日はもうここで1晩過ごそう。
 でも夕暮れまではまだ時間はあるので周辺のファンタジー生物を倒してこよう。レベル上げは大事だ。
 きっと『耐性:精神』のLvが1だったからこんなに参ってしまったんだろう。ならレベルを上げればいい。そのためにもスキルポイントが必要だ。頑張らねば。

 解体で得られる素材は有用だ。
 毛皮で紙じゃない鞄だって作れるだろうし、毛皮を『皮革』で加工する前に『紡績』を使えばきっと紙じゃないまともな糸が作れる。
 その糸を『製布』で布にして『裁縫』を使えば、服だって作れるだろう。
 『魔法:生活』で綺麗にしているとはいえ、ずっと同じ服と下着なのは精神的に……ね?

 というわけで鞄の中身をベッドに空けて軽くして、さっそくレベル上げに向かった。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 もうすぐ日が沈む。
 途中で見つけた木で薪を作って持ち帰ったりもしたけど、3時間ちょっとで結構な数のファンタジー生物を倒している。
 でもまだレベルは上がらない。

 ……ボクの今のベースレベルって3だよ?
 確かにベースレベル1から2、2から3での倒す量の変動から見ても100体近くは狩らないとだめな気がするけどさ……ほんとに100体近くとかちょっと気が滅入る。
 でも3時間で半分くらいは狩れたからこの調子なら明日の午前中には上がってくれるかな?

 計算が狂ってレベルが上がらなかった時のためにウ○ダーインゼリーを作りながら暖炉の火でぬくぬくする。

 あぁ……こたつほしいなぁ。

 ベッドに敷いていた毛皮を『裁縫』スキルを使って形を綺麗にして床に敷きそんなことを考える。
 風の刃でところどころ切れちゃっていた毛皮は魔力を目一杯注いだおかげである程度は『皮革』でマシになっていたけど、それでもやはり綺麗な形ではない。
 こういうのは気になり出すと止まらないのがボクなので、ちゃちゃっと綺麗な長方形にしちゃいました。
 余った部分は再度『皮革』を使うと、品質が劣化するけれど一枚の毛皮になった。綺麗な四角ではなかったので、これも『裁縫』で形を整えて簡単なタオルにしておく。

 生産系スキルはこういうところも便利だ。
 切れ端なんかを集めてスキルを使うと品質が下がる代わりに1つにまとめることができるのだ。
 もちろん魔力を注ぐ量が少ないとうまく1つにならなかったりするようだけど、ボクには関係ないよね。

 あと一角兎の角を『武器作成』で『一角兎の角のナイフ』にしておいた。
 石のナイフよりは切れ味が鋭いと思う……たぶん。
 まぁどうせ解体でしか使わないし、その解体だってレベルがあがってからの話だ。

 早くも前言撤回。
 さっそく夕飯で角ナイフを使ってみたところやっぱり石のナイフよりは切りやすかった。
 でもボクが通販で買って使っていた『よく切れる包丁セット9800円、番組終了後30分以内なら更に2本特殊包丁がついてくる』よりは切れ味悪かったけどね。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 明けて翌日。

 さてそれではさっそくですが、今日の予定を発表します。
 本来ならボクのお城パートツーも早々に土に戻ってしまう予定でしたが変更です。
 昨日の解体で参ってしまったことや、思っていた以上にベースレベルが上がらないこともあり今日はここを拠点にしてレベル上げに励む事にしました。

 ボクのお城が作れなかったら、きっとこんな悠長に危険がいっぱいのところでレベル上げなんてしなかっただろう。
 でもこの2晩、ボクのお城にはファンタジー生物の襲撃はなかった。
 きっとこの幅が広くて深い堀がいい仕事しているに違いない。

「というわけでさっそく『鷹目』さん出番ですよー」

 堀にパンパンと手を合わせて感謝し、『鷹目』でファンタジー生物を探す。
 昨日周辺でいっぱい倒したせいなのか、放置された死骸を漁りに結構な量が集まっているみたいだ。
 群れはいないみたいだけど、同じ種類のファンタジー生物は仲良く死骸を漁っている。うぅ……気持ち悪い。

 違う種類が来ると威嚇したり、逃げたりしているみたいだ。
 ファンタジー生物達の中にも上下関係があるみたいだ。
 6本足が来ると大体どのファンタジー生物も逃げている。
 大きな群れを作ったりもするみたいだし、6本足がこの草原の支配層なのかな。

 ……まぁ風の刃でオーバーキルだけど。

 死骸を餌に得物を集めてさらに死骸を増やすという、無限ループははっきりいってボクのグロ耐性では無理がある。
 なので『鷹目』で確認した場所を順番に回って、死骸をみないように集まって来ていたファンタジー生物達を倒していく。

 途中でぐちゃぐちゃの死骸を見たときは朝ご飯をリバースしそうになったけどなんとか踏みとどまった。
 貴重な10秒チャージだからね……。

 ルートを決めて回ったおかげでかなり効率的に狩りは進み、2時間もかからずにベースレベルが『4』にあがった。
 推測通りスキルポイントは4ポイント取得。
 やっぱりレベル分のポイントがもらえるみたいだ。

 4ポイントもらえたおかげで『体力強化』Lv1、『身体能力強化』Lv2、『魔法:風』Lv1、『魔力強化』Lv1と同時に『解体』Lv1と『耐性:精神』Lv2を取得できるようになった。
 『身体能力強化』Lv2と『魔法:風』Lv1と『魔力強化』Lv1は外では欠かせないボクの生命線だから、『解体』をするならコレを前提としてスキルポイントが必要になるのだ。
 ちなみに『耐性:精神』Lv2は合計でスキルポイントが7必要だからぴったりちょうどだった。

 これでどのくらい解体での精神的疲労を軽減できるだろうか。
 まずは試しに食い散らかされている死骸を視界に収めて見た。

 目を覆いたくなるような惨状ではあったがさすがは『耐性:精神』Lv2。いい仕事しています。
 気持ち悪いとは思うけど、思うだけだった。
 実害もなく、これならいけるんじゃないだろうか。

 さっそく死骸を最後に食い散らかした本人である元白芋虫を風で適当に転がして、惨状が広がる現場から引き剥がす。
 この白芋虫は口から粘着性の糸を吐き出して得物の行動を封じて食すファンタジー生物だ。
 解体したら糸が取れるのではないだろうか。

 『解体』に導かれるままに角ナイフをぶにょぶにょの肉に侵入させていった。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 白芋虫から取れたものは魔石、牙、粘着糸が入っている器官の3種類だった。
 『解体』がLv1と低かった事もあり、途中で粘着糸が入っていた器官を傷つけてしまって中身が出てくるというハプニングはあったもののだめになった粘着糸は3割程度で済んだ。

 ちなみにお肉も取れるみたいだけどボクには無理だ。
 ……テレビで芋虫はクリーミーな味わいという話を聞いた事があったけど、無理なものは無理だ。

 解体が終わってすぐに粘着糸に『紡績』を使うと、粘々だった糸が綺麗な真っ白な糸に変化した。
 魔力を注げる量も一角兎の毛皮よりもずっと多く、それだけでこの糸が素材として優れているものだとわかった。

 生産系スキルで魔力を注いで手間隙を省く方法は素材自体が優れていると注げる限界量が増える。
 スキルLvが高くなると出来上がる際の品質なんかがあがったり、必要な魔力消費が少なくなったりもする。

 出来上がった糸を見てみると肌触りがとても良い。そしてなんとも覚えのある肌触りだ。

「この肌触りは……もしかして絹?」

 あの粘々の糸がまさかの絹に大変身である。
 絹糸の量はそれほど多くは無いけれど、下着1着分くらいはありそうだ。

 やったね、シルクのパンツが作れるよ!

「よし……白芋虫乱獲じゃー!」

 無事解体が出来るようになり、さらに絹が獲れるという喜びから変なテンションになってしまったボクは絹糸を握り締め、天高く突き上げて咆哮を上げた。

 ボクの主人公坂はまだ始まったばかりだ! かん!






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 ボクのお城パートツーに戻ってきた時には紙の鞄から絹糸が溢れそうになっていた。
 白芋虫以外は無視して狙った甲斐もあり、お昼までに7匹ほどの白芋虫を倒し解体することができた。

 ホクホクと上機嫌でボクのお城パートツーに入り、毛皮の上に絹糸を広げる。
 これだけの量があれば下着どころか服も上下セットで作れそうだ。
 ちなみに色は純白で、他の色に染めるには『色染』のスキルと様々な材料が必要になる。
 もちろんそんなものはないので髪の毛も合わせると全身シルバー少女になってしまうけど、着替えが手に入るのは大変喜ばしいことだ。

 お昼ごはんは10秒で済ませ、さっそく『製布』を取得する。
 今は安全な拠点の中なので、『魔力強化』Lv1だけを残して――1度解除しちゃうと再取得すると回復するまで時間がかかる――『製布』を限界まで取得してみる。
 その結果、『製布』はLv5まで上がった。
 必要なスキルポイントはなんと『14』ポイント。

 『魔力強化』Lv1で2ポイント必要なので残りは3ポイントしかない。
 この際なのでこの3ポイントで『製布』Lv5を補助できないかとスキル辞典を漁ってみた。
 色々取得して知識を手に入れているとはいえ、その数は結構な量だったので大分忘れてしまっている。

 もちろんスキル名を見れば思い出す程度の忘却具合だよ? いくらなんでも1日2日で記憶の彼方からすっ飛ばしたりしないよ?

 結果としてよさげなのは『集中』、『精密動作』、『器用強化』くらいだろうか。
 でもよく考えると糸を布にする作業は魔力で短縮してしまう。
 『集中』はまだしも、『精密動作』と『器用強化』は意味がないんじゃないだろうか。

「ふむぅ?」

 首を傾げて悩んでみたけど取得した時に得た知識にはこの辺の適用範囲まではなかった。
 痒いところに手が届かないもどかしさがあるけれど、完璧主義者というわけでもないので今回は『集中』を選択してみた。

 あまりは3ポイントなので『集中』Lv2を取得して、いざ絹糸加工!






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 ……はっきり言いましょう。

 Lv5という領域はLv1とは月とすっぽん以上の差がありました。
 出来上がった絹の布はただの布のはずなのにソレ自体が輝いているんじゃないかと思えるくらいに美しく、肌触りは極上。
 触っているだけで癒されるほどの素晴らしいものだった。

 さらに調子に乗ってそのまま『製布』Lv5を解除して『裁縫』Lv5を取得。

 ……日本でならきっと1着数十万はしそうな素晴らしい紐パンとスポブラ、上下のパジャマができました。
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