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アゲハの開拓街 作者:天界

第1章 長いお散歩編

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005 1日目の終わり、2日目の始まり



 ベースレベルが2になって増えたのはスキルポイントだけじゃなかった。
 魔力もちょっとだけ増えてそれが『魔力強化』でさらに増え、すごい事になっている。

 でも増えたことが実感できたのは魔力だけで、ステータス的なものが見れないのも相まって何がどれだけ増えたのかまったくわからない。
 もしかしたら増えてない可能性だってある。

 現状では魔力の量とベースレベルと所持スキルと所持スキルポイントくらいしかわからない。
 わからないことだらけといってもいいくらいわからない。困ったものだ。

 さて魔力も回復したし、スキル構成を変更してまた『魔法:創造』の実験を開始する。
 何度も言うけれど魔法はイメージ。
 牛丼はよく食べていたけれど、実はもっと食べていた食べ物がある。
 食べ物であって、料理ではないところがポイントだ。
 あれはちょっとお手軽すぎて、料理とは言えないと思うし。

 でもよく食べていただけあってイメージするのは簡単だ。
 さぁ……どうかな……?

「むんっ!」

 ごっそりと魔力が減る。
 つまりは成功。
 ボクの手の中には銀色のパッケージと回して蓋をするタイプのキャップがついた飲み口。
 そしていつも通りのぶにょぶにょとした感触。

「やったー! ウイ○ーインゼリーゲットー!」

 パッケージの印刷なんかがなくなっていて、銀色と帯の2色になっているなどの違いはあってもパッと見た感じではまさにウイ○ーインゼリー。
 飲むコンディショニングアイテムであり、10秒チャージでお馴染みのアレだ。
 ボクはこのお手軽な食べ物を大変気に入っていて毎日1食はこれなのだ。特に朝。
 さすがに昼食や夕食にこれだけだとちょっと足りない気がするけど、朝ならちょうどいい。

 ちなみに今回創造できたウイ○ーインゼリーはエネルギー補給にぴったりの青の帯のやつだ。
 さっそくキャップを回して外していつものようにぐいっとやる。
 10秒チャージのCM通りあっという間に喉を通り、胃に収まった。

「はふー……」

 味も想像通りでまったく違いがない。
 お腹が空いていた割にはウイ○ーインゼリー1つで大分膨れた。
 やっぱり10歳の少女の体だから相応に胃も小さくなっているのだろう。今の状況では好都合だ。
 ウイ○ーインゼリーは腹持ちもいいし、『魔法:創造』で作れるとわかった以上は一安心。
 毎日3食ウイ○ーインゼリーというのはちょっと勘弁してほしいけれど、街や村が見つかるまでの辛抱だ。

 お腹も膨れてひと心地つけたので……問題点を考える。
 問題なのはかなり多いはずのボクの魔力ですら、ウイ○ーインゼリー1個作るのに9割方(・・・)消費してしまった点だ。
 9割である。9割。

 『魔力回復強化』Lv3をつけても満タンにするのに20分以上かかるだろう量だ。
 まぁ食後の休憩と考えればいいんだろうけれど、その間は魔力が大分減少した状態となってしまう。
 1割近くは残っているからそれでなんとか出来るだろうとは思うけれどやっぱりちょっと不安だ。
 早々にベースレベルをあげて魔力を増やしておきたい。
 それに今は安全だけど、毎回こんな安全地帯を作れるわけでもないだろうし、ここに留まるつもりもない。
 予備も含めて何個か作っておかなきゃなぁ……。

 ……ポケットの中に入れるとしても2個くらいしか入らないけど。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 時刻はすでに5時を回っていたけれどまだ夕暮れ時には少し早いみたいだ。
 スマホの日付では9月13日。
 夏も終わり、秋がやってくる時期だ。

 ……まぁ日本ならっていう注釈がつくけど。

 ここに四季があるのかすらわからないけれど、暑くもなく寒くもない過ごし易い気温だ。
 もうじき日も暮れるだろうし、今日はここで野宿だろうか。

 安全面と言う意味ではそれなりだろう。
 今は寒くは無いけれど夜になってどれくらい冷え込むかがわからない。
 やっぱり火を焚いた方がいいのだろうか。

 『魔法:火』を使えば火なんてすぐに点けられる。
 でも燃やし続ける方法が問題だ。消えないようにするには薪なりなんなりの燃料がいる。
 燃え続けるようにイメージして魔法を発動させてもそう長い時間は燃え続けないのだ。
 せいぜい10分が関の山だろう。

 仕方ないので薪なり何なりを探しに行く事にした。
 まだ外は明るいとはいえ、あと1時間もしたら日も暮れてしまうだろうから急がないとね。

 まず『魔法:土』で壁にボクが通れるくらいの穴を開ける。
 覗き窓で確認して周囲にファンタジー生物がいないことは確認済みだ。
 そのまま堀に土の橋を架ける。壁に開けた穴だけでは量が足りないので魔力で生み出した分もプラスされる。

 10歳の少女の体はかなり軽いのでそこまで頑丈な橋でなくても大丈夫だ。
 ささっと渡って今度は壁に開けた穴を埋め、橋を崩しておく。そのままにしておいて中にファンタジー生物が侵入しても怖いしね。

 適当に見回して燃料になりそうな木を探して『魔法:風』でさくっと伐採する。
 木を見つけるまでに一角兎を1匹見つけたので倒しておいた。

 それほど大きな木でもないが、運ぶのは無理だ。
 『身体能力強化』Lv2の他にも『腕力強化』あたりが必要になるだろう。
 でも安全なわけでもないのに生命線の魔法を解除する事は出来ない。
 仕方ないので『魔法:風』で細かくして、何往復かすることにした。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






「あったかい……」

 『魔法:土』で新たに壁際に暖炉と簡単な煙突を作って、天井を閉じ換気用の小窓を増やしておいた。
 一酸化炭素中毒にでもなったら怖いしね。

 日が暮れて夜になるとやっぱり冷え込んできて、すぐに暖炉に薪を入れて『魔法:火』を使ったのだけど生木だったみたいですごい量の煙は出るわなかなか火が点かないわで大変だった。
 最終的になんとか火は点いたけれどこれでは厳しい。

 換気用の窓をいくつも開けているとはいえ、壁に囲まれているし壁も厚いので1度中が温まるとなかなか快適だ。
 暖炉の明かりで割と明るいけれど、読書が出来るほどではない。
 まぁスマホは画面自体が発光していて明るいから関係ないけど。
 何か使えるスキルはないかスキル辞典を眺めていると用途のわからなかったスキルの使い道が見えてきた。

 例えば『製材』。
 これってもしかしなくても木を乾燥させる手間を省けるスキルなんじゃないだろうか。
 つまりは薪ができる。

 間違っていても別に何かが減るわけでもない。
 さっそく試してみるとやっぱりその通りだった。

 元となる材料は必須だけど、様々な手間隙を魔力によって省けるスキルなのだ。
 実際にやってみたところ、風の刃1回分の魔力で薪を10本は乾燥させることが出来るみたいだ。
 かかった時間はなんとわずか5分。乾燥させる時間を考えたらすごい短縮だ。

 取得した『製材』はLv1なので10本程度なら1回でいけるけど、数が増えるとそうもいかないようだ。それでも便利この上ないけどね。

 『製材』は魔力を使うけれど、ハイエルフの種族特性の範囲外のようで適用はされなかった。
 それでも魔力がいっぱいあるボクにとって薪を乾燥させるのにかかる魔力なんて微々たる量どころか回復する方が早い。

 あっという間に持ってきた薪の乾燥が終わると他にも何か出来ないかスキルを検証する。
 でもその前に『魔法:創造』で今日の夕飯を作っておく事も忘れない。
 『魔力回復量強化』Lv3はスキルポイントが8で済むので残り2ポイントを生産系スキルの検証に回せる。

 生産系スキルは軒並み1ポイントで済むようだし、とりあえず初めて取得する際に流れ込んでくる知識を得るだけならLv1で十分だ。

「さぁ何かいいのはなぁいかなぁ?」






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 昨日の夜は実に有意義だった。
 生産系スキルだけでもかなりの事がわかった。
 もちろんそれだけじゃなくて色んなスキルも取得して色々知識を手に入れた。

 その中でも1番役に立ったのがコレ、『製紙』スキル。
 そのまんま紙が作れるスキルなんだけど、色んな材料を元にして色んな紙が作れちゃう。
 もちろん材料は必須だし、魔力に応じて手間隙を省けるとは言っても一瞬ではない。
 Lv1では材料も悪かったのか品質もいいものではなかったけれど、別にすべすべの紙がほしいわけでもないからね。問題もない。
 Lvを上げて材料をいい物に変えればきっといい紙も作れるだろう。

 生産系は全部この法則が適用されるみたいだ。

 そしてボクは知っている。
 新聞紙って結構暖かいんだよね。
 いや別に毎回新聞紙を布団代わりにしていたとかそういうわけじゃない。
 試しに実践してみたことが1度あったってだけ。

 なので薪を材料に紙を作って布団代わりにしてみた。
 うん、なかなか暖かかった。
 寝る前に薪を大量に暖炉に入れておいたけど当然朝には完全に消えていたし、紙布団がなかったら風邪くらいは引いていたと思う。
 朝には焚きつけ代わりにして薪に火をつけたりと、紙布団大活躍。

 ……まぁ焚きつけなんか無くても『魔法:火』ですぐ点くんだけどね。

 朝ご飯も10秒で終わり、『魔法:生活』で汚れを落とす。
 『魔法:生活』は異世界小説によくあるアレだ。
 火種や少量の水を出したり、簡単な汚れを除去したり。

 『魔法:生活』でお湯を出して体を洗って、たくさん作った紙で拭いたり暖炉に当たって乾かしたりもしたけどやっぱり大変。タオルとか布とかほしい。
 簡単ではあるけれど汚れを除去できる『魔法:生活』は非常に便利だ。
 体の汚れだけじゃなくて服とかの汚れも除去できるのはすごく助かる。
 『魔法:生活』は生産系スキルと違って決まった分の魔力しか消費しないようで、魔力を追加することはできない。追加して効果が向上したら『魔法:火』とか『魔法:水』とかいらなくなっちゃうしね。

 トイレも隅っこに作ってある。
 まぁ食べているものがウイ○ーインゼリーだけなので小さい方しかしてないけれど。
 紙もあるし、『魔法:生活』だってある。何も問題はなかった。……なかった。

 終わったら『魔法:土』でちゃんと埋めたしね。

 だからなくてもいいんだ……うん。

 ――さっぱりしたところでさっそく移動だ。
 早いところ街なり村なりに着きたい。

 もうここには戻ってこないだろうから、ウイ○ーインゼリーのゴミや薪の燃えカスなんかと一緒に『魔法:土』で一気に崩して埋めておいた。
 一晩を過ごしたボクのお城はもうない。お城っていえるほど大層なものでもなかったけどね。

 さぁ異世界生活2日目が始まる。
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