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アゲハの開拓街 作者:天界

第1章 長いお散歩編

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012 お風呂と転移




 『アイテムボックス』の取得によりボクのお城パートツーで山のようになっていた絹糸やら牙やらの素材を片付ける事が出来た。
 ついでに薪がなくなっていたので近場の木を切り倒してたくさん確保しておいた。
 もちろん『アイテムボックス』の中に。

 薪をいちいち運ばなくていいのはとてもとても助かる。さっそく大活躍の『アイテムボックス』に頬が緩む。

 そして前々から欲しかった物を作る事にした。
 今までは代用できるものがあったりしたので我慢していたけれど、もう我慢しなくてもいいのだ。

 そう、それは日本人の心ともいえる『お風呂』である。

 『魔法:生活』で汚れを除去できていたから我慢していたが、『アイテムボックス』があればせっかく作っても置いていくしかないお風呂を持っていける。
 『木工』Lv5で魔力を惜しみなく注いだ結果、まるで旅館の個人風呂みたいな美しい木製の浴槽が完成した。
 薪に使うような木を使っているので素材からして大したものではないが、そこはLv5スキルと惜しみない魔力のなせる業。

 ……いい。

 思わず感嘆の溜め息が零れてしまうほど素晴らしい。
 ボクのお城パートツーにも新たに部屋を増築して浴槽をそこに設置する。
 まだ日が若干高いけれどそんなことはどうでもいいのだ。
 ボクは今からお風呂に入るのだ。
 体も髪も『魔法:生活』の汚れ除去を毎回何度もかけているのもあって凄く綺麗だけど、お風呂とは精神をリラックスさせる効果もあるのだから汚れとか関係なく入るのだ。

 浴槽はボクの小さな体には少し大きめだ。
 足を伸ばして寛げるように縦長に作ってあるので寝そべって入ることすらできる。
 実はこういう浴槽憧れてたんだよね。
 ボクのうちにあった浴槽はとてもじゃないけれど寝そべってなんて入れない大きさだったし。

 『魔法:水』で44度くらいのちょっと熱めのお湯を作り出して浴槽に一気に注ぐ。
 『魔法:生活』でもお湯は出せるけれど、1度に作り出せる量に限界がある。浴槽は大きいので『魔法:水』を使った方が圧倒的に効率はいいのだ。

 浴槽の回りにはすのこを作って設置してあるので土で汚れるということはない。
 土の地面は『魔法:土』でかなり頑丈に作ってはあるけれど、お湯が零れるだろうからとすのこを設置したのだ。
 こういうのは必須だよね。

 浴槽がお湯でいっぱいになったところでささっと服を脱ぎ散らかして体も洗わず飛び込む。

 美少女の細くてきめ細かい肌や、ささやかながらもしっかりと柔らかい双丘。
 ちょっとだけくびれて、イカを卒業しかけているお腹やその下に広がるパラダイス。
 まだまだ細いけれどそれはそれで需要がたっぷり詰まっている太もも。
 むしゃぶりつきたくなる細く美しい足の指。

 そんな美しい裸体をボクはもう見慣れたので……全然気にならない。

 気にならないよ!

「ふはぁ……」

 何日ぶりだろうか……。
 やはりお風呂はいい……。
 10歳くらいの若い体と『身体能力強化』のおかげで全然疲れていなかったと思っていたけれど、やっぱり少しは疲労も溜まっていたのだろうか。

 蕩けちゃうくらいに気持ちいい……。

 へたくそな鼻歌を歌いながら上機嫌で久しぶりのお風呂を心から堪能したのだった。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 浴槽はお湯を抜いたら『魔法:生活』で綺麗にして『アイテムボックス』に仕舞う練習をしておく。
 『アイテムボックス』は制限内であれば触れてさえいれば仕舞える。
 浴槽も内部に何か入っていると仕舞えないのでお湯もきちんと抜いておかなければいけないのだ。
 この辺の制限が地味に面倒臭い。
 お湯を入れたまま仕舞っておいて、出したらお風呂が沸いている状態というやり方はできないのだ。残念。

 ちなみに『アイテムボックス』に入れたものはそのときの状態で固定されるという定番の設定がある。
 熱い物はいつまでも熱く、冷たい物はいつまでも冷たいということだ。

 ただ移動している物を仕舞ってもそのまま運動エネルギーを固定することはできないみたいだ。
 そもそもがボクが触れていなければ仕舞えないのだからあんまり考えなくてもいい問題ではあるけれど。

 久しぶりのお風呂で心からさっぱりしたところで今後の予定を立てる。

 念願の『アイテムボックス』も手に入ったし、防御面も充実させた。
 『経験値取得量強化』のおかげでベースレベルもずいぶん効率がよくなったけれど、顎蜂の大量発生もボクがかなりの量間引いてしまったせいで打ち止め気味になっている気がする。
 これまでのようなペースでは上がらないだろう。

 あと1つか2つベースレベルをあげたら直近の村――ニルギル村を目指すべきだろうか。

「……いや、どうせだからレベル10を目指してみようかなぁ」

 今のベースレベルは7なのであと3つ上げればちょうど10となる。
 こういう区切りって何かあるよね。

 特に解放条件にベースレベルが絡んでいる以上、絶対何かある。

 それに村とはいえ、異世界人がいる場所なんだ。How to ミジェスギラで色々調べているとはいえ、常識不足のボクでは予想外のトラブルも多いだろう。
 そんな時に様々な状況に対応できるようにスキルポイントに余裕を持たせておくのは有効な方策だ。

 『アイテムボックス』もあるのだし、これからは解体して素材も溜め込んでいける。
 いや、2メートル四方のものが入るんだから死骸が無生物として判定されるならそのまま入れられるかもしれない。
 ボクが遭遇したファンタジー生物はそれぞれ大きいとはいえ、2メートルより大きいのはいなかったからね。
 解体したら種類が増えちゃうわけだし、『アイテムボックス』の枠の節約のためにも直接死骸を仕舞っちゃう方が効率がよさそうだ。
 必要な時に必要な分だけ解体すればいいわけだしね。

 もちろん最低限は解体して素材を確保しておく必要はあるだろうけれど。

 さて方針は決まった。
 ベースレベルを10まで上げつつ、ファンタジー生物の死骸が『アイテムボックス』に入るならそのまま集める。

 お風呂に入ったことにより心地よい眠気に抗えなくなってきたので今日はこの辺でおねむタイムだ。
 日課となっていたHow to ミジェスギラでの情報収集は今日はいいや……。おやすみ……なさい。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 翌日。
 新たな目標であるベースレベル10を目指してレベル上げである。

 ……まぁやる事はあんまり変わらないわけだけれどね。

 そしてさっそくファンタジー生物の死骸が無生物判定を受けるかどうか確認したところ、ちゃんと死んでいれば無生物として判定されるらしく問題なく収納できた。

 ただまぁ『耐性:精神』Lv1を取得していても死骸に触るのは気持ち悪い。

 それとちゃんと同じ種類なら大きさや形がちょっとくらい違っても1種類としてカウントされるみたいだ。
 頭が取れていた一角兎が体と頭で1つのカウントというのは納得いかなかったが、まぁ2つにカウントされるよりはいいので深く考えないことにした。

 『アイテムボックス』に注ぐ魔力はベースレベルが上がるに連れて増えていった魔力をほとんどつぎ込んでいる。
 なので現状ではベースレベル1で持っていた魔力しか使う事ができない。
 とはいっても『魔力強化』Lv1のおかげで10倍だけどね。

 『アイテムボックス』も種類数だけなら50種類以上は入れる事ができるようになっているので、Lv1の種類別最大個数である10個だと500個以上は物が入るというわけである
 でもレベル上げで倒す量は膨大だ。
 他のファンタジー生物の数が減りすぎて顎蜂が大量発生したように、顎蜂の掃討が完了したらまた違うファンタジー生物が代頭してくるだろう。
 種類が同じなら助かるが、500個程度の枠ではすぐに埋まってしまいそうだ。
 『アイテムボックス』のLvアップも視野に入れておかないといけない。

 午前中はまだ顎蜂が多かったのだが、午後に入ってからはめっきり少なくなってしまった。
 さすがにベースレベルも7に上がって次に必要な経験値の量も増えたのだろう、取得量が3倍になっていてもなかなか上がってくれない。
 さらに顎蜂の数が少なくなった事で効率もガクっと落ちてしまった。

 なので午後からはちょっと足を伸ばして拠点から少し遠くまで来ている。
 この辺だとまだファンタジー生物の分布はボクが最初来た時と変わらないらしく、色々なファンタジー生物が単体、多くても2,3匹で行動している。

 『魔力障壁』がある今は群れは倒せない事はない。
 でもやっぱり大挙して向かってこられると怖いのでなるべくならご遠慮願いたいものだ。
 その点、2,3匹程度なら顎蜂で慣れたのもあって怖くない。

 経験値効率も若干持ち直し、『アイテムボックス』の枠が3分の2ほど死骸で埋まってしまう前にはベースレベルが『8』に上がってくれた。

 さっそく『アイテムボックス』のLvを2に上げて、種類別最大個数を20にする。
 そして何かあってからでは遅いので、『耐性:精神』をLv2に上げておいた。
 これで増えた分のスキルポイントは使いきってしまっている。

 ……うーん、やっぱりポイントが全然足りない。

 そうそう、今まで拠点周辺でレベル上げをしていたのを変更して遠出をしているのは、得物の数が減ったのもあるけれど、『魔法:空間』のおかげでもある。

 『魔法:空間』は他の魔法と違ってイメージによる影響力をまったく受けない固定の魔法しか使えない。
 しかもたった2つしか使えない。

 1つ目はマーキング。
 これはマーキングした場所を座標として記憶しておくことが出来る魔法で、Lv1なら最大10個までマーキングできる。
 マーキングの解除はどこでも自由にできるが、マーキングするにはその場所までいかないといけないのとマーキング可能数が残っていなければならない。

 2つ目は1つ目のマーキングで座標を記憶した場所のみへと一瞬で飛べる『転移』だ。
 とても便利そうな転移だけれど、もちろん制限が色々存在する。この異世界はとても厳しいのだ。

 制限その1――マーキングした場所にしか転移できない。

 制限その2――魔力消費がとても多く、一定の距離ごとに消費する魔力が加速度的に増えていく。

 制限その3――自身の魔力で包んだものしか転移できない。
 魔力で包むのは『魔力制御』と『空間把握』を駆使することで簡単に出来たけれど、ボクには魔力関連全般に大きなプラス補正があるのを忘れてはいけない。つまりはその補正がない一般人が魔力で物体を包むのは……うん。

 制限その4――転移する場所の状況を予め知るには何かしら別の方法を用いなければいけない。
 要するにマーキングした場所に落とし穴やら待ち伏せやらをやられると対処できないということ。

 制限により戦闘で転移を使うのは予め準備がいるし、魔力消費からも効率も悪そうだ。
 完全に移動用の魔法と割り切るしかない。でも距離が離れれば離れるほど魔力消費が加速度的に増えるのだから微妙としか言えない。

 ……まぁ『アイテムボックス』の前提条件として割り切るしかない。『魔力強化』のLvをあげて魔力を大量に確保すれば、もしかしたらという可能性もあるにはあるけれど。

 今回の遠出はマーキングをいくつかして経由地点を作っているので、そこまで魔力消費はしないはずだ。
 まぁそれでも相当な量は消費してしまうだろうけれど、帰り道なら別に問題もないはずだ。
 もちろん緊急事態に備えてある程度は残しておくようにするけれどね。
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