あれはガキの頃の話や。
あたしと平次は、屋根裏部屋でおっちゃんの手錠を見つけたんや。
あたしと平次は手錠でふざけて刑事の真似をして遊んでいたら、外れなくなってもうて大変やったで・・・
ーーあれからいろいろと苦労して手錠は外したんや。
それから,あたしはその手錠の鎖のかけら御守りの中に入れて今も大切にとっとてる!
あたしは御守りを見るたび、幼かった過去を思い出す。
−−−回想−−−
屋根裏部屋に入って探検している。
「なぁ・・・平次。」
「和葉・・・なんや」
「さっきから何探しとるん?」
「別に、たいしたもんじゃないで。
確かこの辺にあったんや!」
平次はなんか探しておる。
ーーなんやろう?
「あったで。これや!」
平次は手錠を差し出した。
「なんや・・・それ手錠やろ?
そないもんなんに使うの?」
「これか?
刑事の真似事をやるんや。
一度やってみたかったんや。
親父はケチりよって手錠貸してくれへんからな…」
「じゃあ・・・平次を捕まえるで・・・」
和葉は平次から手錠を取り上げた。
そして平次の腕に手錠をつける。
「平次。逮捕・・・」
「あ、あほお前いきなりなにやるんや・・・
和葉の腕にも手錠をつけてやるで。仕返しや。
和葉容疑者逮捕!」
次は平次が和葉の腕に手錠をつける。
「これで和葉も捕まってもうたな。」
「平次が先に捕まったんやで・・・
あと、手錠外してくれん?」
「ああ今外すわ。
・・・・っておれも手錠外れへん・・・」
必死に外そうとしたんやけど
外れへんかった。
「ちょっと平次あんたまで
手錠外れへんの?
まったくあほや。」
和葉は呆れている。
平次と和葉2人とも手錠でつながってしまった。
引っ張っても鎖が伸びるだけ。
鎖がちぎれない。
「なぁ・・・平次ぃなんとかならへんの?」
「なんとかはなるんやけどしばらくまっとらなアカン。
大人に外してもらうしかないんや。
親父が帰ってくるまでの辛抱や。
まあおれは親父にしごかれけどな・・・」
和葉は、少し黙っていた。
ちょっとした時間は、一言もしゃべらんかった。
少し経ってから和葉が口を開いた。
「なぁ・・・平次。」
「なんや!?」
「平次、トイレ行っていい?」
「まあええよ・・・・」
和葉は、トイレへ向かう。
その時に平次も引っ張られる。
自分のペースで歩く和葉に
平次はついていけなかった。
「和葉、引っ張るな!
痛いわ・・・」
トイレまで引きずられている平次。
「じゃあ平次はトイレの前でまっとてえや。
絶対に後ろ向いたらアカンで。」
「あほ・・・誰も向かんわ!
覗きなんてせえへんわ。」
あたしと平次。
その時間お互いに
そっぽを向いていた。
でもあたしにとっては平次との
距離が近く感じたんや。
なぜなら平次は私の
すぐ近くにいるからや。
トイレに行っていたその時間は
おさえきれないほど
ドキドキしていた。
初めてこんな気持ちになった。
このドキドキ感。
これが最初の
平次との思い出。
あたしはトイレから出た。
手を洗っている。
平次は手を洗うのが遅い
ーーあたしに怒っている。
あたし達は、まだ手錠が外れへんまま。
あたし達の鎖の絆のエピソードはこんなもんやない。
ーーこの出来事は、『鎖の絆』の最初の思い出である。
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