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掌編小説集7 (301話~350話)

壊れたテレビ

作者: 蹴沢缶九郎

タイムマシンで過去へとやってきた少し間の抜けた青年。青年は、数軒の家庭の茶の間の風景を見て回り、首を傾げた。


「どの家庭のテレビも色のない白黒。どうやら、この時代のテレビはどこも壊れているようだ」


それから青年はしばらく何かを考え、ある計画を実行した。適当な一軒の家に狙いを定めると、家主が席を外した瞬間を見計らい、元からあったアナログテレビを回収して、()わりにタイムマシンに積んでいた立体五次元テレビを備え付けたのだった。


「あの家の人、喜んでくれるかな。なんたって、最新型のテレビだからな…。良い事をした後は気分が良いな」


ご満悦の様子で、青年は一人未来に帰っていった。一方、トイレから戻ると、白黒のアナログテレビが最新の立体五次元テレビに換わっていた家主。その時代にそぐわない五次元テレビの存在に、初めこそ驚いたものの、あまり深く考えない性格。「これは神様からの贈り物だ」と、物珍しげに観に来る人々から視聴料を徴収する商売を始め、全国的に大ヒットし、一代でそれなりの財を成した。






「お孫さんがお戻りになられました」


秘書からの報告を受けた高齢の社長は、未来から戻った孫である青年を迎え入れ聞いた。


「おお、帰ったか。一体何処に行ってたんだ?」


尋ねる祖父に青年は、


「ちょっと過去に行って、良い事をしてきた」


と、過去から持ち帰ったアナログテレビを見せて答えた。アナログテレビを見た祖父は、懐かしさに思わず感動の声を上げる。


「これは懐かしい!! ん、ちょっと待てよ、今の時代、白黒のアナログテレビはとても珍しい。…そうだ、これを大量生産すれば必ず売れるぞ。新しい物に溢れた今の時代だからこそ、人は懐古するのだ」


祖父は自慢気に続けた。


「何しろテレビで財を成した私が言うのだから間違いない」

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