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優しい魂よその三
「しかも行く度に」
「それってどうなの?」
「っていうか柳本よ」
 野本がその咲に問う。
「御前ってお嬢様なんだよな。家に美味いもの一杯あるだろうが」
「ああ、そういえばそうだよな」
「けれどこいつ何かいつも適当なもんばっか食ってるよな」
 坪本と佐々がここで言う適当なものとは特に高いものではないという意味だ。咲の食べるものは実は皆と全く変わりないのである。
「それで何で教会で御馳走になってんだよ」
「何かあるのか?そこに」
「美味しいからだけれど」
 これが理由だった。
「だったら駄目?」
「っていうかそれでもな。行き過ぎだろ?」
「あんた小学生からでしょ」
「まあ会長さん笑顔で迎えてくれるけれど」
「それでもねえ。入り浸りだから」
 四人がまた突っ込みを入れる。どうやら本当に咲はその教会にしょっちゅう行っているらしい。
「けれどあの教会今娘さん一人おられないし」
「千里さんね」
 咲は今度は未晴の言葉に応える。
「今天理におられるわよ」
「そうなのよね。それで会長さん御夫婦少し寂しいみたいね」
「まあ子供が一人いないとね」
 桐生は未晴のその言葉に頷いた。
「やっぱり寂しいよね」
「だから私達が来たら笑顔で迎えてくれるのよね」
「私達っていうと」
 竹山がその言葉であることに気付いた。
「君達皆その教会に行くこと多いの」
「ま、まあ浴衣貸してくれたりするしな」
「やっぱり御馳走してくれるし」
「会長さん達本当にいい人達だし」
「雰囲気いいし」
「同罪じゃねえか、御前等」
 正道が春華達四人が視線を泳がせつつ言ったのを見て突っ込みを入れた。
「柳本だけじゃねえじゃねえか」
「っていうか浴衣まで借りるって」
「それはちょっとねえ。図々しいわよ」
 明日夢と茜も言う。確かにそれはお世辞にもいいとは言えないものがあった。
「貸してくれるのよ」
 しかし咲がこう弁明する。
「だからなんだけれど。それに」
「それに?」
「その今おられない娘さんだけれど」
「ええ」
「小柄で。浴衣も」
「少年よりまだ小さいのよ、これが」
 凛が明日夢を見つつ皆に述べる。
「一五〇あるかしら」
「多分あるんだろ?」
「どうしあら。あの小ささだと」
「かなり疑問じゃないの?」
 春華、静華、奈々瀬はそれぞれ言う。
「まあ小さい人だよな」
「本人さんも気にしてるけれどね」
「けれどやっぱり」
「私よりも小さいの」
 明日夢はそれを聞いて少しだけ嬉しい感じを見せていた。
「そうなんだ」
「まあ明日夢はね」
 背の高い恵美が横からにこりと笑って明日夢に言ってくる。
「小柄なのは昔だからね」
「伸びないのよね」
「そうよね。ずっとね」
「けれどね。それでも」
 ここで明日夢は言うのだった。
「背は正直まだいいのよ」
「いいのかよ」
「それよりもベイスターズよ」
 話をここで野球に変えてきた。見れば明日夢はまだベイスターズの帽子を被っている。似合っていることは似合っている。ショートヘアがまた実にいい。
「私は大きくならなくてもいいけれど」
「背はともかく横浜は無理だろ」
 春華が素っ気無く言った。
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