妙なる調和その十
「どうしてもそうなるさ」
「そうかしら」
しかし未晴は彼の今の言葉には懐疑的な目を向けてきた。
「私はそうは思わないけれど」
「そうか?」
「ええ」
静かに彼に頷いてきた。
「確かに個性は強いわね、皆」
「強過ぎるんじゃないのか?」
今度は何かよくわからない理由で言い合っている男組と女組を見て言う。
「っていうかな」
「個性があることはいいことよ」
未晴はまた言う。
「それはいいのよ」
「いいのか?」
「個性が強いのとまとまりがないのは違うわ」
「まとまりないのは事実だろ?」
「だから。違うのよ」
正道がどれだけ否定してもこう言う未晴だった。
「それはね。違うの」
「そうか?俺はどうしても」
「見て」
今度は彼等を見るように告げた。今言い合っているクラスの面々をだ。
「何だかんだでそれでもいつも一緒よね」
「そういえばそうか?」
かなり疑問的ではあったがそれでも未晴の言葉に応えた。
「言い合いだけれど後腐れはないな」
「喧嘩ってところまでいかないわよね、いつも」
「まあそうだな」
言われてみればその通りであった。
「そういえばな」
「個性が強いだけでまとまってるの。ほら、あれじゃない」
未晴は微笑んでクラスをあるものに例えてきた。
「サラダ。あるじゃない」
「サラダか」
「野菜をそれぞれ入れてあるわよね」
「ああ」
「それなのよ」
微笑んで彼に言うのだった。
「このクラスってね」
「サラダなあ」
こう言われても今一つわからない正道だった。
「それってどういう意味なんだ?」
「だから。色々な野菜が入れられてできるじゃない、サラダって」
「ああ」
これはわかるのだった。
「レタスやらトマトやら胡瓜やらブロッコリやら入れてな」
「他にも色々入れたりするわよね。サラダの種類によって」
「まあな」
また頷くことができた。
「それはな」
「だからそれなの。うちのクラスは」
「だから何でサラダなんだよ」
「色々入っていて個性もしっかりしているけれどそれでもやっていってるじゃない」
「そういえばそうか」
少しずつだが頷くことができるようになってきていた。
「まだはじまったばかりだけれどな」
「いけるわよ、このままね」
「いけるか?このままサラダで」
「ドレッシングもあるから」
サラダといえばこれである。ドレッシング、若しくはマヨネーズがなければサラダとは言えない。もっともどちらがなくても食べることはできるしそういう人もいるのだが。
「大丈夫よ」
「ドレッシング!?」
「先生達よ」
ドレッシングはそれだというのである。
「あれでしっかりしてるじゃない」
「かなり放任じゃないのか?」
ここで二人の担任の先生達を見る。見れば二人でなにか色々と話をしている。
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