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噂はそよ風の様にその二
「それはね」
「咲達そんなに多いかしら」
「お店に来る度に何枚も撮ってるじゃない」
 このことを咲に告げた。
「まあお店としてはそれが一番嬉しいんだけれど。特に」
「特に?」
「凛ね」
 ちょうど後ろで茜と話をしている凛に目をやる。
「一番プリクラ好きよね」
「んっ!?呼んだ?」
 その凛が明日夢に顔を向けて尋ねてきた。
「少年、今呼んだかしら」
「ああ、ちょっとあんたのプリクラのこと話してたのよ」
 くすりと笑ってその凛に告げる。
「ちょっとね」
「プリクラ好きなのは隠さないわよ」
 凛の方から言ってきた。
「プリクラと陸上は私の生きがいだから」
「生きがいなの」
「そうよ。何かあれじゃない?」
 凛の顔も笑ってきていた。
「プリクラ一緒に撮ると友達って感じで」
「そうそう」
 奈々瀬も話に入って来た。
「そうなのよね。私も大好き」
「けれどあれよ。凛のプリクラ好きはまた極端よ」
 静華はこう言って苦笑いを浮かべる。
「私も好きだけれどね」
「おかげでよ。あたしのサイト」
 春華も参戦する。
「画像はプリクラばかりになってるんだけれどよ」
「あれっ、あんた自分のサイト持ってるの」
「ああ、そうだよ」
 明日夢の問いに答える。
「これでも有名なブロガーなんだぜ。女子高生ブロガーなんだよ」
「随分柄の悪い女子高生だけれどね」
「柄はいいじゃねえかよ。姉ちゃんや妹だってやってるしよ」
「しかも三人姉妹だったの」
 これまたはじめてわかる衝撃の事実だった。
「そうそう、春華のところは美人姉妹なのよ」
 咲が笑顔でこのことを語る。
「お姉さんも妹さんも凄い奇麗なんだから」
「そうだったんだ。驚き」
「驚きって少年のところはどうなの?」 
 仇名はもう完全に定着していた。
「兄弟誰かいるの?」
「妹が一人いるけれど」
 こう咲に答える。
「まだ小さいからお店には出てないわよ」
「そうなの」
「ついでに教育中」
 何故かここで言葉が真面目なものになる。
「何か最近巨人の原監督が気になるみたいだから村田修一選手の素晴らしさを家族全員で教育中なのよ」
「やっぱり巨人は駄目なの」
「北乃家の家訓なのよ」
 明日夢の巨人嫌いは家訓の域にまで達していた。
「巨人を応援するべからずよ」
「いい家訓なのは確かね」
「そうね」
 ここにいる全員がアンチ巨人だからこれは頷くことができた。
「巨人に行った奴は裏切り者」
「七代祟れってね」
「全く。あんなチームは平壌にでも行けばいいのに」
「平壌読売イルソンズ」
 また物凄いチームの名前が出て来た。
「あの会長の銅像立ててマスゲームしてね」
「もうぴったり」
「しかしね」
 ふと恵美が明日夢と咲のプリクラを見つつ言ってきた。
「咲、あんたの格好って」
「何か変?」
「変っていうか何よ、これ」
 見れば恵美はクールな面持ちだが少し引いている感じだった。
「ピンクハウスって。物凄いわね」
「ピンクハウスはいい服よ」
 しかし咲も咲で負けていない。
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