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第六話 大天その十七
 跳んだ。向かって来るやまちちに向かうように。右手のその剣で精気を吸いに来る相手を一気に貫くつもりだったのだ。勝負もつけるつもりだった。
「来るのね」
「むざむざやられるつもりはない」
 一直線にやまちちに向かいつつ言った。
「やられるのならその前に」
「いいわ、その意気よ」
 やまちちもまた髑髏天使のその意気を受けて言う。
「そうでなくてはね」
「決める、一気にな」
 絡め取られそのまま吸い殺される危険が高かった。だがそれでもこれしかなかった。そう決断しての行動だったのだ。ところがであった。
 不意に髑髏天使の身体が光った。眩い黄金色に。そしてその背中から二つの巨大な翼が生え左手には剣とはまた別のサーベルが出て来たのだ。
「!?翼が」
「これは・・・・・・しかも」
 それまで己の動きを鈍いものにさせていた傷もまた消えた。みるみるうちに消え去ってしまった。
 そして翼が羽ばたき。今まさに迫らんとするやまちちをかわしたのだった。攻撃をかわされたやまちちはそのまま降下したがすぐに上に上がりまた髑髏天使と向かい合った。
「翼が生えた!?どうして」
「まさか」
 ここで彼は。数日前の博士との話を思い出していた。あの天使に関する話を。
「これが大天使の力か」
「大天使!?確か」
 それが何なのかはやまちちにもわかった。
「あの天使の第八の階級の」
「そうらしいな。どうやら俺は大天使として覚醒したらしい」
「くっ、こんなところで」
「まさかな」
 覚醒した彼が最も驚いていた。
「しかし。この力は」
「!?これは」
 やまちちもまた髑髏天使から感じられる気を受けていた。
「これまでよりも。遥かに強い」
「ただ翼を持ち空を飛べるようになっただけではないらしいな」
 空に羽ばたきやまちちを見据えながら言う。
「この力、これまでよりも」
「比較にならない。それが大天使の力だというの?」
「やれる」
 右手の剣、そして左手のサーベルを握りながら呟く。
「この力なら。俺にも」
「勝つのは私よ」
 しかしここでやまちちが彼に言ってきた。
「私でなくてはならない。そして私は」
「よせ」
 意固地に自分に言い聞かせているやまちちに対して告げた。
「貴様では今の俺には勝てはしない」
「勝てない!?この私が」
「それは貴様が一番わかっている筈だ」
 やまちちを見据えて言う。今髑髏天使はやまちちよりも上に位置している。それがそのまま今の二人の強さを象徴しているかのようだった。
「違うか?」
「戯言ね」
 やまちちはこう言って髑髏天使の言葉を否定した。
「私は。勝つ」
 血走った目での言葉だった。
「何があっても。そして力を」
「ならば行くぞ」
 自分から攻めると告げてみせた。
「これで決めてやる」
「吸ってあげるわ」
 空中でそれぞれ身構える。そして。
 先に動いたのはやまちちだった。風に乗って一直線に二人に向かう。
「これで・・・・・・終わりよ」
「これまではこれで終わりだった」
 髑髏天使は自分に対して突っ込んで来るそのやまちちを見て言う。
「だが今は」
「どうだっていうの?」
「やれる」
 両手にそれぞれ持っている剣を構えての言葉だった。
「これでな。やれる」
「戯言ね」
 今ののぶすまの言葉には虚勢も入っていた。
「そう簡単に私がやられると思って?」
「俺にはわかる」
 やまちちの言葉をこれで打ち消してしまった。
「よくな。だからこそ」
「むっ!?」
「これで」
 間合いに入った。するとすぐに動いた。
 まずは右手の剣を前に繰り出す。それでやまちちを突く。
「なっ、速い!」
「この速さ、そして力」
 髑髏天使は今その力を自分自身の中からはっきりと感じていた。
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