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第四十三話 熾天その七
「どうしてもわからないものだしな」
「仕方ないのかもね」
「とにかく今はだ」
「うむ、学生の間は勉学に励め」
「その間はね」
 祖父母はこうも告げる。
「いいな、今はな」
「卒業してからだよ」
「卒業して就職してからか」
 実はその就職もだ。半分決まっていた。そして次の日だ。若奈とトレーニングをしながらだ。その場で彼女に話すのであった。
 今二人は公園で休憩を取っている。若奈の差し出してきたそのスポーツドリンクを飲みながらそのうえでだ。彼女に問うた。
「マジックだが」
「お店のこと?」
「俺が来てもいいのか」
「っていうか今すぐ来てもいいけれど」
 こう返す若奈だった。
「もうすぐにでもね」
「すぐにでもか」
「うん、何なら夏休み終ったらお店に入る?」
 若奈は牧村にこうまで告げた。
「牧村君さえよかったらね」
「俺さえか」
「部活二つもあるから忙しいかな」
「そうだな。今はな」
「まあ。就職活動がはじまったらね」
 そこからの話になった。
「それからお店に入ってもいいし」
「就職活動はどうなる」
「だから。マジックに来てくれるんでしょ?」
 話は若奈がリードしていた。
「そうなんでしょ?」
「そうなるのか」
「なるでしょ。普通に」
「マスターや奥さんはそれでいいのか」
「妹達もよ」
 若奈は家族全体をひっくるめての話にしてきた。
「いいって言ってるわよ」
「家族全員か」
「そういうこと。牧村君が次のマスター兼シェフよ」
「兼任か」
「私が接客してね」
 接客はどう考えてもできない彼に代わってというのだ。
「それでどうかしら」
「そうだな」
「妹達がウェイトレスしてね」
 このことを言うのも忘れない。
「それでどうかしら」
「俺が店に入ることはもう決まっているのか」
「それだけじゃないわよ」
 ここで若奈の顔が少し赤らんだ。
「ねえ」
「ねえ?」
「わかってるわよね」
 その赤らんだ顔での言葉である。
「二人でお店やっていこうね」
「二人でか」
「うちのお店はそこそこ評判もいいしお客さんも多いし」
「美味いし安いからな」
「忙しいけれどそれでもいいよね」
「繁盛している方がやりがいがある」
 こう返す牧村だった。
「そういうことだ」
「そう。だったらね」
「そしてそれから」
「あの、大学卒業してからだけれど」 
 若奈の顔がここでさらに赤らんだ。
「いいかな、それで」
「二人になるんだな」
「そういうこと。それでいいわよね」
「宜しく頼む」
 牧村はその言葉に静かに頷いた。今彼は公園のベンチに座っている。そして若奈はその横に止めた自転車に乗ったままである。二人共そのスポーツドリンクを水筒のストローで飲み首のタオルで汗を拭いている。
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